第18話 生徒会長の捜索 ~2~
すみません、遅れました……
うん、テスト週間は、更新はあまり出来ませんね……ホント、スミマセンでした……
フェルアント学園、今日の天気は快晴である。青空の下、空高く飛び上がり学園を見下ろすような形で二体の精霊が上空を旋回していた。
不死鳥の精霊コウと、ハヤブサの精霊シーパである。
二体は上空から学園にくまなく目を渡しながら、
「さて、私は奴を探すのは初めてなのだが……だいたいどの辺にいることが多い?」
「そうだね、屋上あたりで見かけることが多いかな? たまに魔術で姿を隠していることもあるけど」
それはまた厄介な……などと考えつつ、コウは学園に目を配る。もし魔術で姿を隠しているのならばーー
「……ふと思ったのだが」
「?」
そう言ってコウはシーパの方を見やり、
「何故、姿を隠しているのだ?」
疑問を口にした。魔術で姿を隠しても、それを維持するために意識を起こしていなければならない。
ぶっちゃけた話、寝ることなど出来ないのだが。
先程の歴史の授業で彼には”寝ている”と言うイメージを抱いていたコウは即座にそう思う。しかし、シーパは首を一つ振り、
「う~ん、私も良くはわからないけど……。でも彼、アレはアレで意外と忙しい身みたいだよ。一応、学園の生徒会長だし」
「……本部からか?」
「いや、だからわからないって」
ふうっとため息をつきながらそう言うシーパに、それもそうかと頷きつつ、
「ならば、難しい話をしていないことを願いつつ、奴の捜索に力を入れよう」
「わかった」
二体は互いに顔を見合わせ、学園に目を落とした。
~~~~~
一方、タクトとセシリアである。
先頭を行くセシリアの後を追うようにタクトがそれに続き、彼女は思い当たる節があるところを徹底的に探していく。
しかし、成果は今ひとつ。
二手に分かれて探しても良かったのだが、それだと互いに連絡手段がなく、加えてタクトは奴の厄介さを知らないと言うのを理由に共に探すことになったのだ。
ちなみに、それを聞いた時のタクトの感想は、「ホントに一体何者なんだろう……」と冷や汗を流しながら思ったほどだ。
「ところで、一つ聞きたいんだけど」
「はい? 何ですか?」
自分より二つ下、しかし学園の廊下を走り回って息一つ乱していないタクトに感心しつつ、セシリアは気になっていた事ーー出会った時からだがーーを、口に出すことにした。
「アナタって……男の子? 女の子?」
「それ今頃聞きますか!?」
メチャクチャ驚いたーーと言うか、信じていた者に裏切られたかのような表情を浮かべながらタクトはそう叫ぶ。
今の今まで、大抵初対面の人は性別について聞いてきた。男か女か、過去を振り返れば間違われたのは相当な数に上る。
叔父の仕事を手伝う(私用)ために従兄と共に異世界へ飛んだ事があるのだが……。そこで酔っ払いのおじさんに、服を脱がせられたのは完全にトラウマと化している。
かといって、間違われる一番の原因である長めの髪は、とある事情で切ることなど出来ずーーまさに八方ふさがり。
そのような経験があるため、初対面でそのことを聞いてこない人には少なからず好感が持てるのだ。彼女も初めは聞いてこなかったのだがーーまさかずっと思っていたとは。とても深いため息を吐きつつ、
「僕は男ですよ……。それを聞かれるの、以外と結構ダメージ来るんですけど」
「……ご、ごめんなさい」
その表情に何かを察したのか、彼女は神妙な面持ちでそう言った。しかし、タクトの顔をじっと見つめて、
「でもね、そう思われたくなかったら、その拗ねた表情の上目遣いやめなさい」
「伸長ちっちゃいから上目遣い仕方が無いじゃないですかーー!!」
うがー、と威嚇するような感じで叫ぶ彼だが、その姿さえ愛嬌があるから不思議である。苦労してるわね、と嘆息しつつ、
「もういいわ。ほら、さっさとあの馬鹿を捕まえましょう」
「……話づらしましたね?」
「何のことかしら?」
タクトのジト目に、在らぬ方に目をやって逸らすセシリア。かなりわかりやすいその反応に、何か言葉を送ってみようかと思ったその時だった。
廊下にある窓から、どこかで見た顔が通っていった。偶然その顔を見たタクトは、ふと首を傾げ、
「そう言えば、アイギットはどうしたんですか?」
今の今まで忘れていた事を思いだし、隣にいたセシリアに聞いてみる。彼がアイギットの事を最後に聞いたのは、事件があったその次の日のことであり、どうやら彼は取播き連中共々謹慎処分となったらしい。
と言うのも、取播き連中と共に色々とやらかしていたようで、決闘騒ぎはあくまでもきっかけに過ぎないと言うことをシュリアから聞いた。
先程見たのは、その彼の取り巻きの一人だった。
「彼は先日謹慎が解かれたみたいよ」
「……だからですか」
先程取り巻きの一人が通っていった窓の向こうーーつまりは外を見て、そう呟きを漏らす。すると、セシリアは突然何かを思い出したかのように、
「……そう言えば、そのことでちょっと面白い事を聞いたな」
と声に出した。その言葉にタクトは思わず彼女の方を向くと、(タクトの方が伸長が小さいため)彼女はこちらを見下ろして、
「彼、真面目にやっているみたいよ」
「はい? あの、それってどう言う……」
彼女の言葉に今ひとつ合点がいかず、首を再度傾げるタクトに、セシリアは笑いかけた。
「う~んとね……かいつまんで言うと、学園に入ったばかりの頃は、ファールド家に生まれたからこの辺は何でも知っている、と言う雰囲気だったのに、あの騒ぎの後、それが完全になくなったのよね。どうしてかしら?」
そうにこやかに笑いかける彼女に対し、タクトはしばし考えたが、やがてわからないとでも言うように肩をすくめた。
「はは、僕にもわからないですよ」
そう言ってのけたとたん、彼女はタクトの顔をじっと見つめて、やがてそれが本気だと言うことを悟ると、呆れたようにため息を吐いた。
「はぁ……。天然なんだね」
「……はい?」
意味がわからず、タクトは首を傾げた。