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精霊の担い手  作者: 天剣
1年時
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第12話 それぞれの思い

すみません、予告した通りにはなりませんでした……


もう二度と…もう二度と、予告などはしないです!!(え


……はい、ホントすみませんでした

アイギットを気絶させ、彼をそっと地面に横倒せると、タクトは証をしまった。それに倣いマモルも証を片ずけたが、二人はそこで顔を見合わせた。


「こいつら……どうする?」

「う~ん……」


マモルの問い掛けに、首を傾げる。彼等を気絶させたのは自分達なのだから、何とかしなければならないのだろうが、異様に面度臭い。

とは言え、このままほったらかしと言うのも後味が悪い。

どうした物か、と思い悩んでいると、いきなり第二アリーナの入り口が開かれた。突然のことに二人はそろってそちらの方を向き、そろって口を開けた。


『シュリア先生!?』

「ここにいたか、馬鹿ども」


入り口にいた女性ーーシュリア・ローファその人がいた。何でこの人がここにーー二人は声に出さずにそう心の中で叫んだ。

特にマモルは、怒っているシュリアイコール鬼。そんな失礼極まりない図式がマモルの中にあった。その原因は100%彼にあるのだが。

また、第二アリーナに来ていたのは彼女だけではない。

鈴野レナ、コルダ・モラン。その二人もいた。

……レナの方はカンカンに怒っており、そんな彼女を見てタクトとマモルはそろってため息をついた。


(なんか、すごい厄介な事になりそうだな……)

(僕も同感だよ)

「桐生、宮藤。二人とも、こっちに来い」


二人はシュリアに促されるままにトボトボと歩いていった。


 ~~~~~


「全くもう、タクトは!!」


何で、怒られているのは僕だけなんだろう? そんな文句を口に出来るはずもなく。タクトは今、自室の床に正座でレナの説教を受けていた。

ちなみに、この狭い部屋の中にタクトやレナ、マモルとコルダの四人が詰め寄っていた。こんな狭い部屋に集まるなよと思うタクトであった。

あの後、シュリアに呼び出され、怒られるかと思いビクビクしていたが。そんなことは全くなく、ただ乱闘騒ぎになった事情を言ったらその場は解散となった。彼女曰く、「乱闘騒ぎは褒められた物ではないが、状況を鑑みるに仕方のないことだった」とのこと。実際、彼らの行いにはすでに教師陣の目が光っており、様子を見ていたらしい。


(乱闘になっただけでもやばいのに、お咎めなし。良い結果じゃないか)

(レナの説教を聞いていて、良くそんなことが言えるね)

(こっちの方が嫌なのか?)

(うん。本気で怒ると怖いから……)

「ーーだいたいタクトは……って聞いてるの!」

「はい、聞いてます!」


コウの呼びかけに諦め半分で答えていると、まるでコウと会話していたのを見抜いたかのようにレナの鋭い声が飛ぶ。ひときわ大きな声で返事をするタクトを見ながら、マモルはニヤニヤと笑っていた。


「いや~、お前らの会話ってホントあれだな。こう、夫婦ゲンカに見えてーー」

「マモル?」

(え、笑顔が怖い……)


余計なちゃちゃを入れようとしていたマモルに、レナが笑顔で彼の名前を呼んだ。そんな彼女に、「何でもないです。どうぞ続けて下さい」と頭を下げた。

それを座っていたタクトは「なー!」という、目の前で裏切られた人の顔を見せた。

再び始まる、タクトへの説教。それを馬耳東風と聞き流していたが、隣にいるコルダが話しかけてきた。


「ねぇねぇ。なんでレナは怒っているの?」

「え、ああ。タクトがまた無茶なことしたからだろ」

「それだけであんなに怒る、普通」


それを聞いて、マモルは若干感心してコルダを見やった。


「よくわかったな」

「へっへーん! 人間観察は得意分野だもん!」

「そ、そか」


彼女の答えに、苦笑いを浮かべてマモルは考える。


(う~ん、どこまで話そうか……)


目の前で行われているレナからタクトへのお話。それを何となく見つめながら彼は口を開いた。


「色々と気になる奴だからな」

「それって、男女のアレ?」

「……それはあるだろうな、多分。と言ってもタクトは気づいてないだろ」


二人は小声で語り合っている。何となくため息などをつきながら、マモルは続けた。


「でも、レナは自分の思いを伝えない……いや、伝えられないと思っているんだろうな」

「へっ?」

「……あいつ、自分のせいで大切な奴に怪我を負わせてしまってね。それで伝えるのをためらっているんだろうな」

「怪我? でも、大きな傷は負っていないみたいだけど……」

「あいつが何で、髪の毛を長くしているのか、少し考えてみろ」


そう言うと、コルダはタクトの髪の毛に目を移した。黒髪の、セミロングの長さ……。


「もしかして、それを隠すため?」

「そのとうり」


それだけ呟くと、彼は軽く頷いて、コルダの方に向き直った。


「だからこそ、あいつは心配なんだろうな。……また、あいつが怪我を負わないか」


目を閉じ、その当時の事を軽く思い出した。

地面に伝って流れ降りる赤い血。痛みに横たわり、苦痛のうめきを漏らすあいつ。怪我を負った部分を必死に押さえているあいつ。そして、そんな二人を見ながらゲスな笑い声を上げるあいつ。

もう、たくさんだった。だからーー


「だから、世話を焼きたがるんだ。ーーな、レナ!」

「? 何」

「もうその辺にしてあげたらどうだ? もう燃え尽きてるぞ」


タクトの方を指しながら、そう答えるマモル。もう彼は完全に真っ白に燃え尽きている。それこそ、灰すら残さぬほどに。

元々彼は正座には慣れているため、そんなにきついとは思わないが、ここでの燃え尽きているはそう言う意味ではない。

彼女の説教に疲れ果てた。こっちが正しい。

そんな状態の彼を見たからか、コルダは、


「あたしもフジと同意見だよ~」

「いや、俺の名前マモルだから」


コルダの間延びした声に、きっちりと訂正をして、マモルはレナの方を向いた。

若干不服そうだったが、それでもやり過ぎたという自覚はあるのだろう。ふうっとため息を一つすると、


「わかった?」

「………はい」


めちゃくちゃ消え入りそうな声を聞くと、彼女はそのまま部屋を出て行った。それを見送ると、マモルとコルダは一度タクトに視線を送ると顔を見合わせ、互いに肩をすくめた。

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