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精霊の担い手  作者: 天剣
2年時
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第29話 剣の章 脱出への道筋~1~

太陽が落ち、月と星が浮かぶ夜空を、トレイドはぼうっと見やっていた。これからエンプリッターの拠点に攻め入るというのに、その表情からは気負いは感じられない。――どころか、どこか気の抜けた表情である。エイリはそんな彼を見て、次に周りを見渡した。


アンネルやセイヤは真剣な表情で何かを話し合っているし、ログサは眉を寄せて傷の具合を確かめている。怪我の具合が良くないのは先程見たためわかるのだが、それでも今夜襲撃するという事を変更することはなかった。


何でも、街周辺を覆うように張り巡らされた結界は、通行さえも遮断しているらしい。今はまだ騒ぎにならなくとも、時間が経てば騒ぎになるのは明白。そのため、早急に結界を何とかしなければならない。エイリはそう聞いていた。


だからだろう。今夜襲撃する、というログサの言葉に反対していたアンネルとセイヤが、不承不承認めたのは。そうでなければ、傷が癒えて万全に動けるようになってから行動に出るはずだ。


ともかく、アンネルとセイヤが熱心に話し合っているのは、これからの細かい段取り――特に、ログサのフォローなどだろう。あの傷では、激しく動くことは難しい。それは結界から逃れようとした一件でも証明されている。


そして、そのフォローされるログサは、傷の具合を確かめ、どれだけ動けるかを確かめているところだ。だが、あまりよろしくないのかその表情は険しいままである。三人とも緊迫した雰囲気を放っているというのに、ただ一人、トレイドのみがぽけっとした空気を放っているのだ。


ちなみに平常時であれば、ログサもトレイド同様ぽけっとしているのだが、今はそんな余裕はない。――もしかしたら、何かを感じ取っているのかも知れない。


エイリは夜空を見上げているトレイドに近づき、クイッとその袖を引っ張って注意を引き寄せた。黒髪黒目の彼は、目を見開いて驚いたように下を向き、エイリを認めるとふっと表情に柔らかい笑みを浮かべた。


「どうした、エイリ」


「……何でもない」


――言われた後に気づいた。何で彼の袖を引っ張ったのだろうか、と。ハッと我に返った彼女は、慌ててトレイドの袖から手を離す。そんな彼女を、微笑ましく思いながら片膝をついて視線を合わせた。


「少し緊張しているのか? そんなに気負わなくて大丈夫だ」


「……そうじゃ、ないと思う……」


真っ直ぐ見つめてくるトレイドから視線を逸らしつつ、エイリはぼそぼそと呟く。目を瞬かせて、どういうことかと首を傾げる彼に、彼女はどこか言いづらそうに口を開く。そして、口を開いて気づいたのだった。


「その……ちょっと、怖い……」


――怖い。エイリはそう自身でも気づかぬうちにそう感じていたのだろう。トレイドのおかげでそのことに気づけたのだが、当の本人は目を見開いて驚きを露わにさせた。


(怖い? そんな馬鹿な――)


自分は微塵も恐怖を感じていない。だからエイリの気持ちに気づけなかった――違う。


「……トレイドは、怖くないの? これから、戦うって言うのに……」


「………」


――わからない。トレイドは、瞳を伏せて胸中呟く。最近忘れていたが、自分の重大な欠陥を思い出したのだ。


”恐怖”という感情を失っていることに。それは自身の感情だけでなく、他人のそれを共有する――つまり相手の気持ちに気づくことも出来ない。だから、彼女のそれに気づけなかったのだ。


(……どうも最近、常人とはかけ離れた連中と一緒にいたからな……すっかり忘れてた……)


はぁ、とため息を一つつき、彼は突然ゴッと己の顔面をグーで殴りつけた。いきなりの行動に、エイリはえっと目を見開く。


「と、トレイド……? どうしたの……?」


「……まぁ、ちょっとな」


ちょっと痛かったのか、顔をしかめつつも苦笑いを浮かべる彼に、エイリは距離を軽く取る。いきなり自分を殴りつけたのだ、不審がるのも無理はない。訝しげに見つめてくるエイリの頭に手を置きつつ、


「気にするな。ちょっとした、個人的な理由だ」


「………?」


何のこと? と首を傾げる彼女の問いかける眼差しをやり過ごし、トレイドはエイリの瞳を真っ直ぐ見つめる。照れくさいのかすぐにふいっと逸らされるものの、苦笑を浮かべつつ彼は続ける。


「怖いって思うのは大事なことだ。怖いって思うから――………」


「……思うから?」


――続けられなかった。何と言えば良いのか分からない。あまり口がうまい方ではないのだ、しかし何か言わなければならない。口ごもるトレイドに助け船を出したのは、それまで話し合っていた二人だった。


「おーいトレイド、ちょいと話があるんだが」


「あ、あぁ、わかった」


「………ぁ………」


呼ばれ、トレイドは立ち上がる。自分の元から去って行く彼を、どこか寂しそうに見つめるエイリ。――心の奥底で浮かび上がった疑問には気づけなかった。


――なぜ、彼は不自然に押し黙ってしまったのか――もしかして、何かいやな出来事でもあったのだろうか。彼女がその疑問に答えを得る日が来るのは、大分先のこととなる。




(……いや、確かに俺が適任だろうけどよ……)


――何故こうなった。フードを被り、口元を手ぬぐいで覆った全身黒ずくめのトレイドは内心愚痴をこぼしつつ、街の”屋根の上”を駆け抜けていた。不安定な屋根の上を走り、時には飛び移りながらも全く速度を落とす気配はない。


精霊使いとしての身体能力の恩恵もあるが、彼の場合バランス感覚にも優れていた。これに関しては精霊使いかどうかは関係なく、元々彼自身が持っていたものだ。その二つによって、彼は屋根の上を走っている。


『――トレイドには先行して、敵の様子を調べて欲しい』


セイヤとアンネルが頼んだのは、敵情視察だ。これに関しては、自分の元”盗賊”という経歴を買ってのものだろう。


向こうが大規模な結界を展開したと言うことは、こちらの存在について勘づいていると言っても良い。街を覆う結界から、なりふり構わずこちらを捕まえるという意思がはっきり伝わってくるのだ。


しかも魔力反応を探知した際撃退した六人の内の誰かが、撃退したセイヤの正体に気づいたという可能性もある。――だが、その可能性は低いだろう。屋根の上から見下ろす限り、街を走り回るエンプリッターと思わしき者達は、闇雲に辺りを探し回るだけ。頭上――屋根にまで気を向けていないところを見ると、どうやらよほど慌てているようだ。


(……向こうもこんな結界張るなんて思っていなかったのかもな)


時折場所を移動し、屋根の上から彼らの行動を観察する。そんな折、ふと街の奥の方――悪所と呼ばれている区画に目を向けた。


――実はこの街に入ってからずっと、得体も知れぬ感覚を、あの悪所の方から感じ取っていたのだ。しかし感覚と言いつつ――いや自然の加護にさえ頼らない感覚だからか、いつも以上に根拠と言えるものはなく、ただの勘でしかなかった。だからこそセイヤやアンネルにはぼやかした相談しかしなかったのだが、それでも気になるのは押さえられなかった。


だから個人的に調べに行くように頼み込んだのだが、結局そうすることは出来なかった。少し残念に思う。


「………――……?」


しかし、そこでふとあることに気がついた。悪所から感じていた感覚は消え去っている。以前はその方角を見ただけで、何とも表現しづらい感覚を味わったのだが――どういうことだろうか。


(……いなくなった、ということだろうか……)


屋根の上で眉根を寄せながら独りごちるトレイド。そう結論づけ、来た道を引き返そうと踵を返した次の瞬間。



――さぁ、始めるとしよう――



「っ!?」


――突然、視界に映像が流れ込む。今の自分の格好と同じ、黒ずくめ――違うのはフードを被っていない点と、髪の色が金髪な点か――の男が、手甲に覆われた右腕を掲げた映像だった。


それと同時に感じる魔力反応。下の方で忙しなく動いていたエンプリッター達も魔力を感じ取ったのか、いっせいにそちらの方向へと走り去っていく。


「……はぁ……はぁ……」


屋根の上にいるトレイドは、突如流れてきた映像――追体験こそしなかったものの、あれも記憶感応の一種だと即座に悟る。


「……このタイミングで、か……」


忌々しげに眉根を寄せてそちらの方角を見やる。少し前、結界に覆われる前であれば自分のエンプリッター達の後を追ったことだろう。


――今の映像に出て来た人物を、自分は知っている――


だが今は――


『結界の解除と、この世界からの脱出を優先するんだ』


――アンネルの言葉が脳裏に過ぎる。彼にしては珍しく、チッと舌打ちを一つついて後方に控えている彼らと合流するべく動き出す。


何が目的かはわからないが、”彼”がエンプリッターを引きつけてくれるというのならば、それは紛れもない好機でもあったのだから。


 ~~~~~


街の一角で、青年は右手を噴水に沈めている。この街は寒い地方ではないが、夜ともなると流石に肌寒さを感じる。そんな中、水の冷たさと心地よさを感じるかのように右手を沈めた彼は、目を瞑りながら息を吐き出した。


「………ま、こんなものだろう」


そう言って右手を引き上げる。すると、豪快に吹き上がっていたはずの噴水がたちまちなりを潜め、ついには吹き上がらなくなる。そこにあったのはただの貯水池――水を溜めた池であった。この池には、水が吹き上がる要素は何一つない。


彼が水を操り吹き上がらせていたのだ。――ただ奴らを引き寄せるために。


「……さて。こういうときは、この本があって助かる」


濡れていたはずの右腕がいつの間にか乾いており、懐から一冊の本を取り出した彼は適当なページを開く。両開きに開かれた本は、次々にページが本から飛び出してきた。


本から飛び出し、辺りに散らばるページは魔力を放ちながら輝き、一筋の線を放つ。飛び回る複数のページから放たれた線は次々に結び、やがて一つの複雑な球体を作り出す。――その球体が完成すると突然大きく広がり、辺りを包み込んだ。


「……これで、騒ぎになることはない」


先程のページが造り上げたのも、一つの結界である。その効力は人払いおよび催眠。この結界内で起こった出来事は、全て感知することが出来なくさせる。


以前使用した領域創造――一時的に異世界を創造する大魔法は、使用する魔力が多すぎる。それに相手も大した脅威ではなく、この程度ならばこの程度の隠蔽で十分だろう。


「……それに、あれで使用した分の魔力も、補充し切れていないしな」


――数日前よりも若干薄くなった本を懐に収めながら、彼、ルフィンは吐息を吐き出す。人払いの結界で使った魔力も、“この数”を相手すれば十分おつりが来る。


「――貴様が、先日から魔力反応を出している男か」


後ろから問いかけられる。それに対し、ルフィンはゆっくりと振り返った。目に映るのはこちらを射貫くような視線で見つめる、おそろいのコートを着た男達。ルフィンは平然とした態度で口を開く。


「違うと言ったらどうする?」


「来てもらおう。貴様が何者なのか、そこで詳しく聞かせてもらう」


「…………」


こちらの言葉を無視し、勝手に連れて行こうとこちらに近寄ってくる。ルフィンとて、この状況をごまかせるとは思ってはいないが、それでも聞く耳さえ持たないという態度には若干呆れるしかない。


「――フンッ!」


「っっ!!?」


手を掴まれた瞬間、その手を払いのけ、その鳩尾にアッパーカットを叩き込んだ。息を呑みながら吐き出す――矛盾しているが、そうとしか表現できないような奇妙な声を出しながら宙を容易く舞った。


「………」


ぽかんとそれを見上げる同僚達。やがて人の群れを飛び越え、最後尾まで打ち上げられ吹き飛ばされた彼は、地面と激突。咳き込みながら身をよじる羽目となった。


「――言っておくが」


「っ!!?」


それを成し遂げたルフィンが、ゆっくりと口を開く。それに過剰反応したかのように、集まっていたエンプリッター達は全員びくりと肩を振るわせた。


そんな彼らに、にっこりと笑みを浮かべた。なお、深夜に髪の長い男(しかも髪で片眼を隠している)に真っ正面から微笑まれると、ぞくりと背筋にいやな物が走る。しかも彼が浮かべる良い笑顔は、“怒りの笑顔”だということを悟ったのだ。


「――痛い、ですめば良いな?」


「―――――」


謎の間が走る。――ここで一部のエンプリッターが逃走を始めたのは、良い判断だった。最も、逃走を始めたのは片手で数える程度だったが。それを除き、全員が固まり、ようやく硬直が溶けたときには全てが遅かった。


「――風よ、纏え」


ぽつりと呟いた小声が、”すぐ側で聞こえた”。――気がつけば、ルフィンは彼らのすぐ近くにいた。右の拳を振り上げる姿勢で、さらにはその右腕に、目に見えるほどの風を纏わせて。


「――疾風拳」


それがその技の名なのか。アッパーの形で放たれた疾風拳が直撃した男は景気よく打ち上げられ、その”余波”を受けた者達さえも、後方へと吹き飛ばす。


夜の街に悲鳴が上がる。だが、すでに結界を張っているのだ。周囲の建物から人が覗いてくる様子はない。


吹き飛ばされ、地面に転がされた彼らの頭上が突如曇る。数人がそれに気づき、痛みに呻きながらも空を見上げ――先程打ち上げられた男が、空から降ってきた。当然気絶している。


「――さて、この辺一体はもう気づかれることはないだろ。……少し、派手に行くか」


地面に転がされ、未だ体勢を立て直していない彼らを前に、ルフィンはそう呟いた。右手を掲げ、意識を集中させる。


「………」


――彼の背後にある池から、突如水が吹き上がった。先程と同じ噴水――原理も同様だ。一度操り、自身の魔力が“混じった”あの水ならば、証が触れていなくとも意識を集中させれば操ることは出来る。


しかし、先程の光景を見ていなかった彼らには、突如水が吹き上がったようにしか見えなかった。――あの池には、水が吹き上がる仕掛けなど全くないというのに。


「なっ……!?」


「――雑な予報だが、今夜は局所的に大雨が降るだろうな」


吹き上がった水は、ルフィンの背後で球体を造り上げて浮かび上がる。時折揺れ動き、球体の表面に波紋が走るが、固まってしまったエンプリッターにはそれらのことはどうでもよかった。


水の球体の大きさは、徐々に大きくなっていき、それに比例するように池がひからびていく。池の水を全て持ち上げたのだから当然だが。持ち上げた水は、それこそ大の大人が六、七人は余裕では入れるほどの大きさになっていた。そんな中、ルフィンは口を開く。


「さて。少々痛い目を見ると良い。どれほど痛いかは、喰らってからのお楽しみだな」


「ま――」


どこからか待てという言葉が聞こえてくる。だが、ルフィンの無表情に陰りが生まれた。眉を寄せ、苛立ちを露わに、彼は告げる。


「待つわけがないだろう。――では、さらばだ」


無感動にそう言い放ち、掲げていた手を彼らに向かって振り下ろした。それと同時に、頭上まで浮かび上がった巨大な水から、水滴が放たれた。


ただの水滴――そう思ったものはエンプリッターにも数人いた。しかしその他の者達は皆表情を青ざめさせ、即座に法陣を自分の目の前に展開した。それに水滴がぶつかった瞬間、ギシッと軋む嫌な音が鳴り響く。


「えっ……――」


それに気づいた数人が困惑し――しかし次の瞬間には、放たれる水滴に当たったのか、体の至る所から血を流して倒れていく。


――水を圧縮させて撃ち出している、ということに気づけなかったもの達が次々に倒れていく。水の圧縮がどれほど危険なものかわかっているエンプリッターは、即座に法陣を展開したのであった。


見た目は水滴でも、どれだけの量の水を圧縮したのか。石が敷き詰められた歩道に罅が出来ていた。おそらく銃弾並の破壊力があることだろう――だが、そうだとしたらこの危険きわまる攻撃も長くは続かない。


――ルフィンが操っている水には限りがあるのだ。現に彼の背後に浮かぶ球体は、すでに三分の一以下の大きさに減少している。これを耐え凌ぎ、水がなくなれば――


「――甘い」


――こちらの考えを見透かしたかのようなタイミングで、ルフィンが再び口を開く。そして、手甲に覆われた左手の指を曲げて、遠方から振るう。


「――な……に……?」


突如、パッと体に五つの線が走り、血が噴き出した。――そして、血を流したからこそ、自身を襲ったものに気づく。


(……い……と……?)


極細の鋼線であった。流した血が付着し、垂れて落ちていく。だからこそそれに気づけたのだ。――もっとも、そのことを誰かに伝えることは叶わなかったが。


次々に倒れ、戦闘不能になっていく味方を見て、エンプリッターの一部がようやく逃走を開始する。――しかし、今回は見逃さなかった。


「おっと、どこへいく?」


「っ!!?」


逃走しようと踵を返した途端、まるで見ていたかのようなタイミングで声が飛んでくる。驚き、びくりと肩を振るわせた途端、しゅるっと足下に何かが絡みつく。肌に触れたのは、ひんやりとした細い紐のような感触――鋼線だ。


「うああぁぁぁぁっ!?」


「……先程逃げた奴らは、忠告を聞き入れたから見逃すが、残ったお前達は別だ。少々痛い目を見るがいい」


上下がひっくり返り、片足をつるし上げられ宙に浮かぶ。危険な水滴の雨も、ちょうど溜めていた水がなくなったのか打ち止めとなっていた。しかし、現状立っているものはたったの数人だった。


つるし上げられた彼らと立っている数人を除き、その全てがあの水滴によって戦闘不能に陥ったのだ。地面を見上げると、おびただし量の血の量が流れている。――ぞっと背筋に冷たい物が走った。


だがよく見ると倒れているものも時折ぴくりと動いている。どうやら死んだわけではないらしい。――それが、唯一の救いとも言えた。


「……死んでない……?」


「安心しろ、殺しはしない」


「っ!?」


ぽつりと呟くと、その呟きに返答があった。驚きに顔を正面へ向けると、上下反転した金髪の男がそこにいる。――上下が反転しているのは彼なのだが、驚きの感情で心を満たした彼に、そのことは伝わらない。


「だが言ったはずだ。――痛い目を見る、と」


――見ると、水滴を耐え凌いだ人達が全員沈んでいた。それに気づいた彼が目にしたのは、巨大化した拳だった。それを最後に、彼は意識を失った。


「……これで全滅か」


最後の一人となった彼の顔面に拳を叩き込み、意識を刈り取ったルフィンはふぅっと息を吐き出してつるし上げていた鋼線を解除する。当然、吊されていた彼らがドサリと落ちるものの、この程度ではどうともないだろう。


「――さて。お前達の命、少しばかり頂くぞ」


懐から本を取り出し、パラパラとページを捲る。――辺り一帯が光に包まれた。


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