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精霊の担い手  作者: 天剣
2年時
195/261

第24話 これまでと、これからと~4~

「………」


ルフィンの拳打は風の鎧を吹き飛ばし、ログサにダメージを与え。


ログサの一振りは、ルフィンの体を斬り裂いてダメージを与えた。だがログサの攻撃は、おそらくすぐに再生してしまっただろう。もう確かめる術はないが、奴の正体を知る身としてはそれは当然だと思っている。


――あの一撃が互いに決まった後、突如世界がまぶしく光り出し、気がついたらログサは街の路地に倒れていた。幸いなことに周囲に人の気配はなく、ゆっくりと体を起こした彼は血を吐きながら手近な建物に寄り掛かる。


『……やってくれたなぁ、おい……』


彼が受けたダメージは相当なものだった。内蔵に傷を負ったのだろう、体がうまく動かせない。それに内蔵――見えない箇所にダメージを負ったとなると、治癒魔術もうまく使えなくなる。医療系の魔法を得意とするのならば使えるだろうが、生憎と風一筋である彼にやれるはずがなかった。


『………ち………』


舌打ちを溢しながら、ログサはその場で体を休めることにした。幸いなことに人もいないのだ、ゆっくり休める。


『……てか俺ぁ……何だってこんな所に……』


街の噴水広場で奴と出会い、奴が造った異界に巻きこまれたはずだ。だが、異界から出ればこんな路地にいる。少々不思議だったが、その疑問に答えるものはいない。


(む、目を覚ましたか)


『……ゴン』


首を傾げるログサだったが、ちょうど良いタイミングで長年の相棒が声をかけてきた。あぁそうだ、知っていそうな奴がいるじゃないか――彼は相方に尋ねてみる。


『俺、なんでこんな所に……』


(感謝するがいい、私がここまで運んだのだ。……まぁ、私もここで力尽きたのだが)


お前のせいか。ため息をつきかけたログサだが、ゴンの一言にあることを思い出す。異界で戦った、あの男のことを。そもそも、ゴンがここまで運ぶまでの記憶が一切ない。――ということは、俺は――


『俺ぁ……負けたのか……』


あの男――ルフィンの一撃を受けて意識を刈り取られていたのだろう。そうとしか思えなかった。だが、相方の言葉はそれを否定する。


(いや、引き分けだろうな。お前の最後の一刀……相当深くやったらしいな)


『……いや、今のアイツに傷の浅い深いは……』


(奴め、”核”が露出していたぞ)


『……核……だと……』


相棒の言葉に、眉根を寄せるログサ。核――それが何を表すのかは理解していた。


(おかげで異界化が途切れた瞬間、私はお前を咥えて逃げたわけだが……奴め、我らのことを射殺さんばかりに睨み付けておったぞ。それでいて手を出してくる様子はなかったのだからな)


――あのとき、脱出間際に見た奴の表情は憎々しげに歪められ――それでいて、動けないとばかりに指一本も動かさなかったのだ。ただ立っているのも辛い、といわんばかりに体全体が震えていたのも覚えている。


(異界形成のために大量の魔力を使った直後に、あの傷をおったのだ。いくら奴とて二、三日はまともにうごけんだろうよ)


傷の修復には魔力を用いる。それも、核が露出するほどの傷であれば、修復するのにもそこそこの魔力がいる。あのときの奴は、完全に魔力切れ状態だったのだろう。今すぐにでも座り込みたいほどの疲労感を感じていたはずだ。


――だが、それを聞いてもログサの表情は晴れなかった。


『……だとしてもだ。あのとき俺は気を失っていたんだぜ? 魔力切れだとしても、奴は動けた……俺の負けだ……』


(それはどうか。我らが去った後、あやつ気を失ったぞ? おそらく気力だけで立っていただけだ。お前を殺す余力があったとは到底思えんが)


『そうかい……』


ゴンの言葉に嘘はないが――だが、こちらを気遣うようにしか聞こえなかったのも事実である。ログサはそれだけを呟き、体を壁に預ける。


『ともあれ、しばらく動けなさそうだな。……あいつとは、また再戦か……』


――話を聞く限り、俺も奴も生きている。となれば、もう一度戦う機会もあろう。自分は奴を止めなくてはならず、向こうは止まる気はない。すでに、戦う理由はあるのだから。


(それよりゴン、気づいているか?)


(あぁ。……一体、何の用なのだろうな)


目を瞑り体を休めるログサは、頭上付近から“精霊”の気配を感じ取り、相棒に問いかける。――これが、ログサがエイリと出会う数日前の出来事であった。


 ~~~~~


――ログサがいる街から離れた郊外。何もない草原地帯であり、つい先程までルフィンが体を休めていた場所である。ルフィンがその場所を後にしてしばらくした後に、突如魔法陣が展開された。


展開された白く輝く法陣はゆっくりと回転しつつ光を放つ。その光が一際強まり、辺り一帯を白一色で塗りつぶした後、その場所に三人の男性が立っていた。


黒髪の同じ年頃の男が二人と、二人よりも年上の緑髪の男だ。光の中から現れた三人はあたりを見渡しつつ、ほっと一息つく。


「ようやく着いたか……この世界であっているんだろうな?」


「さぁ? それを確かめなきゃいけないんでしょうが」


「転移魔法、得意じゃないんだがな……」


緑髪の男の呟きに、黒髪二人組はそれぞれぼやく。一名、なかなか不安を煽るようなことを呟きながら法陣を消し立ち上がった。その言動から彼が転移術を使ったと言うことはわかるが、他二名は取り合わない。


「良く言う。持っていたポータル(魔法石)も、転移系の呪文が刻まれていたのに」


「あのな、転移術の基本を思い出してみろ! あらかじめ出口を造っておくのが定石だろうが、見知らぬ土地への転移なんてやりたくねぇ!」


ガッと口論をかわす黒髪二人組。確かに吠えた方が言うとおり、転移術というものはあらかじめ転移する場所に”印”――彼は出口と言ったが――を打たなければならない。その後転移術を発動すれば、その印を打った場所に転移する――つまりあらかじめ決められた場所にしか転移できないのだ。


だがそれは定石――つまり基本例であって、印のない場所へ転移する手段も確かにある。だがこちらは印を用いた転移術とは異なり、難度が高く失敗する可能性が高い。こちらの意図とは全く異なる世界に飛ばされたり、さらに運が悪ければ活火山や宇宙空間(真空空間)といった危険地帯に放り出される可能性もある。


だからやりたくないのだ、と男は言う。だが確かめなければならないとはいえ、ぱっと見危険地帯に放り出された訳ではない。下手な場所に飛ばされなかっただけでも――


「……お前の魔術の腕は凄まじいものかも知れないな」


「えっ?」


「……えっと?」


黙って辺りを見渡していた緑髪の男が、ある方向に視線を固定させながら呟いた。二人もそちらへ視線を向けると、街の城壁があった。――その形は、報告にあった城壁と一致していたのだった。


「――まさか一発で目的地にたどり着くとは……」


「………」


転移を行った黒髪は、信じられないとばかりに目をむいて城壁を見つめている。ややあって、深いため息をついて呟いた。


「……一発で着いたのは良いけど……あの街からすっげぇ嫌な気配を感じるんだけどな」


――目的地にたどり着けたことを喜ぶ二人とは違い、あの街に潜むものをひしひしと感じ取ったのか、げんなりした表情で言うのだった。


もっとも、そんなことは言われなくとも他二人も十分理解していた。何せあの街には現在、マスターリットリーダー、英雄、フェルアント――騒乱の火種になるものが集まっていたのだから。


「だからこそ我々が向かわされたのだ。頼りにしているぞ」


「へーい」


「ま、新入りだから俺の部下だな。がんばりたまえ」


「実年齢は俺の方が上だぞ」


気の抜けた返事をする男の肩を叩く、もう一人の黒髪男性の軽口に付き合いつつ、仕方がないと眼下の街を見渡した。


「……ここに”あの人”がいるんなら、しっかり気をつけないとな」


真剣な眼差しで街を見下ろしながら呟いたその一言に、三人の中では一番の年長者である緑髪の男が息を吐き出しながら頷いた。


「……お前は、あの人と戦ったことがあるのか?」


「ある。手ひどくやられたな」


「あんたがか?」


あぁ、と頷くその瞳は、当時のことを思い出しているのか険しくなっていた。また、彼の隣にいる緑髪の男も、目を瞑りつつ頷いている。


「……私も覚えているな。師匠と真っ正面からぶつかり合ったあの戦い……あれを見ていたからか、どうも勝てるイメージが沸いてこないのだ」


「正直言ってあの人とは戦いたくはない。説得が通じれば良いんだが……説得するのは、あんたの師匠さんもだっけ?」


「あぁ。まぁ、師匠は説得には応じてくれるだろう。……問題はあの人と、連中だ……」


だよなぁ、と二人は頭を悩ませた。二人が話題に上げている二名のことを知らない黒髪の彼は、会話が一段落した頃を見計らって声をかける。


「まずは街に入ろう。このままここにいても、どうしようもない」


「だな。何をするにしても、当面の間の拠点は必要だ」


こうして三人は街に入っていった。


――異世界「ゼラブ」にある小さな街に、災厄が訪れようとしていた。


 ~~~~~


二つの閃きが空を切り、絡み合ったそれらは互いを逸らしながら流れていく。流れたそれは、向きを変えて再び絡み合う。――本来であればぶつかり合うといった表現が正しいのだが、傍目から見るとそれはぶつかり合いではなかった。


「………」


地球、日本。桐生家の道場で対峙する二人の、証を用いた実戦さながらの組み手を、アイギットは目を丸くして見守っていた。


数日前におった大怪我は、治癒魔術を用いて塞いだのだが、流れていった大量の血液までは戻らない。当然血が足りない状態でふらふらだったのだが、地球に来た際に病院で輸血をしてもらったおかげで全快になりつつある。


最も、まだ激しい運動は止められているので道場で目の前の組み手を眺めることとなったのだが、そのすさまじさに言葉もなかった。


「はぁっ!」


「――ふんっ!」


アイギットの目の前で行われる、実戦さながらの組み手――それをやるのは、彼の友人でありこの家の一員である桐生タクトと。家長である桐生アキラの二人であった。彼らの組み手も以前見たことがあるのだが、その時とは全く異なる気迫を感じられた。


両手で構えたタクトの一刀を、鞘から抜きながら放つアキラの一刀が迎え撃つ。本来であれば衝突による金属音が響くはずなのだが、不思議とそれはならないのだ。両者は、互いに互いの刀を斬り流し合っている。


”受けて流す”のではない。”斬りながら流す”のだ。攻防一体となっている二人の太刀筋は、流石は家族と言いたくなるほど似ているところがあった。――だからこそ、読みやすいのだろうが。


「……っ!」


一刀を斬り流されたタクトは、即座に刀を翻して返しの一刀を叩き込もうとする。その刃にはすでに薄く魔力が纏っている。霊印流一之太刀、爪魔――改。まだ名称は決めていないためそのような呼称となっている。タクトが、霊印流を自分の武器に合わせるためにアレンジを加えたものだ。


刃にだけ魔力を纏わせたその刀の切れ味は、凄まじいものとなっている。現にタクトが試しにとばかりに厚みのある鉄板相手に斬りかかったところ、あっさりと真っ二つにしてしまったのである。


自身の剣が予想以上に危険なものへと変貌したのに対し、やや複雑な心情を抱いたがそれを今とやかく言うことはない。何せ、目の前の人が相手ならばそれでも足りないかも知れないのだ。


「――――」


現に。こちらの一刀を、叔父であるアキラが放った居合が斬り流し、そして返しの一刀を放つのではなく一度鞘に収める。そしてもう一度、居合を放つのだ。――そうして放たれた居合が斬り流すのは、タクトの”返しの一刀”。


つまりタクトが斬る、返しの二連撃なのに対し、アキラは居合、納刀、居合と三つの手順を踏んでタクトの二連撃に受けて立っているのだ。剣速ではない、根本的なところで”速さ”が違うのだ。


それは長年にわたる鍛錬の成果もあるだろう。だがそれに加えて、叔父は常に三之太刀、瞬牙を用いているのもある。


瞬牙――それは剣を振るう際、刀身から魔力を吹き出させて強引に加速させたものが実体だ。縦に一直線に振るう等と言った単純な剣筋ならば、目視も敵わぬ速さへと昇華させることも可能になる。


だが、その速度を保ちつつ連続で振るうと言うことは不可能に近い。どうあってもコントロールが効かなくなり、剣において重要である踏み込みを見誤る。剣の速さに体がついて行けず、バランスを崩すことは必定であった。


だが叔父が放つ剣は居合の剣。鞘に収めた状態で、抜きながら剣を振るう――それに故に、その剣速は瞬牙を用いずとも、瞬牙並みの速さを誇っていた。だから彼は、三之太刀は死に太刀になった、とぼやいているのだ。


故に彼に合わせて形を変えた霊印流は、死に太刀になった瞬牙を”納刀”の際に用いることになっている。無論、それは並大抵のことではない。目視が困難な速度で納刀をすれば、少しでもずれただけで自らの手を切りかねない。だがアキラは、これを習得して見せた。


その結果が、息もつかせぬ居合の二連撃。もはや人間業ではない、と叔父と組み手をしているタクトは思う。


「……っ!!」


返しの一刀と居合が互いを斬り流し、タクトは再度刀を翻して振るう。対する叔父も、やはり一度納刀して抜刀へと体勢を立て直す。


――わかっている。居合斬りこそが叔父の剣であり、基本的にはそれしか使わないことを。自然の加護によってその動きを先読みする必要はない。――なのに。


「―――くそっ!!」


――なのに、攻めきれない。こちらの一刀は、全て叔父が放つ居合によって斬り流されて迎撃される。上からだけではない、右や下、居合では防ぐのが困難なはずの左からの一撃でさえ、叔父は流してしまうのだ。


まるで見えない壁があるかのように、叔父の間合いに入り込めない。それ以上、進めない。刃が通らない。


(――これが、”英雄”……っ!)


分かっていたことだが、タクトにはこれまでどうにも実感がわかなかった。アキラから剣を学ぶ立場にあったと言うこともあるだろう。学園で指南を受けていたときも、手合わせは何度か行ったが、それも指南の域を出なかった。


――だが。今日初めて“本気”での手合わせを申し出た。師匠・桐生アキラとではなく、英雄・桐生アキラと戦っている。


本気と言いつつ、手加減はしているのだろう。アキラは、こちらの反応を興味深そうに見つめている節がある。時折、その瞳に懐かしさを思い出すような色が浮かぶのは気のせいだろうか。


「――さて、とっ!」


「――っ!? あっ………」


これで終わり。存外にそう言い放つかのように、これまで守備に徹してきたアキラが、攻勢に出た。タクトの一刀を斬り流した後、即座に刀を収め、彼が剣を翻すよりも先に抜刀したのだ。


納刀から抜刀まで、瞬きよりも短い。その一刀は、刀を翻したタクトの眼前で止まる。――一瞬、タクトでさえも何が起こったのかわからなかった。


「――私の勝ちだな。……だが、見事」


アキラは満足そうに呟いた。突きつけていた剣を引き戻し納刀。左手に握った漆黒の居合刀は魔力が霧散すると共に消えていく。それを見届けて、タクトも飾り紐のついた日本刀をスッと下ろした。


こちらの採点を待つ生徒のように、じっと視線を送る甥っ子に苦笑して、アキラは肩をすくめた。


「これだけやれれば十分だろう。奴ともやり合える。……後は、力むな」


「でも――」


「戦って奴に勝てば良いというわけじゃない。奴に”認めさせれば”良いのだ」


その言葉にぐっとタクトは口をつぐんだ。――確かにクサナギ――スサノオにこちらの力を認めさせれば良いのだ。奴に勝必要はない。それは分かってはいるのだが――


「……でも、出来ることなら、あいつに勝って認めさせたいじゃん……」


「――ほう……」


――言うようになったな、とアキラは肩をすくめる。相手はれっきとした古代の神なのだ。それに勝ちたいとは。呆れたように、しかしどこかまぶしそうに甥を見下ろす彼は、その肩をぽんと叩く。


「ならば勝ってみせるがいい……と言いたいところだが、目的を見失うなよ。どちらかが強いかなど、後で証明すれば良い」


「………そうだね」


目を見開き、本来の目的を思い出したのかタクトはコクンと頷く。――そう、スサノオに勝つのが目的ではない。試しの儀――スサノオが、自身の持ち主に相応しいかどうか見極めるための儀式。それを打ち破ると言うことは、すなわち、スサノオに認められることが必要なのだ。


「奴がどういった基準で担い手を選ぶのかはわからん。だが、以前からお前を次の主としたいと常々言っていた」


「え? スサノオが、俺を……?」


初耳なのだろう、アキラの言葉にきょとんとした表情を返すタクト。そんな彼に頷いて、


「あぁ、理由を聞いても答えてはくれなかったがな。……だから、奴の儀を受けるときは、下手に気張るな。いつも通りの感覚で戦えば良い」


――だからこそ、下手に力むなと言ったのだ。普段のタクトを知るスサノオが、普段のタクトを見て指名したのだから、認められようと力めば逆に興味を失うだろう、と。


だが、今のタクトにはその言葉は脅しのように聞こえた。


「ちょっと勘弁して欲しいなぁ……今は、どうしてもスサノオの力が必要なんだし……」


「……そうだな」


二人の脳裏には、ある少女の姿が浮かび上がっていた。ちらりと目の前にいる甥に目をやると、先日叩かれた頬をさすっている。その様子に苦笑しつつ、アキラは道場に来ていたアイギットに声をかけた。


「それでアイギット君、何か用事かい?」


「――あ、すいません。その……お客さんがいらっしゃったようなので、アキラさんを呼んでくるようにと未花さんが」


「客だと? ふむ……わかった」


気づいてはいたが、今まで放置していたアイギットに声をかけると、二人の手合わせに見入っていた彼はハッとして我に返り、ここに来た用件を伝えた。


客――この時期の客と言えば、多分”あいつ”か。やっと来たか、という思いもそこそこに、アキラは道場を後にする。


指南してくれるはずの叔父がいなくなったため、稽古はそこで終了となる。タクトは証を消すと深く重いため息をついて床に座り込む。


「大丈夫か。ここ数日、連続で稽古しているが」


「大丈夫。……後は、俺自身だな」


息を荒げてはいるが、それでもさほど疲れているようには見えない。――ここ最近のハードな鍛錬を鑑みれば、これぐらいではあまり疲れなくなったという成長が見て取れる。


端から見ればいずれ体を壊すぞと言いたくなるようなものだったが、タクトの丈夫さと頑丈さはよく知っているため突っ込みはしない。


――しかし、彼が呟いた「後は俺自身」という言葉。それには、何か別の意味が込められているような気がしたアイギットだった。


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