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精霊の担い手  作者: 天剣
1年時
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第8話 授業風景午後の部~守るべきもの~

第8話です!!


タイトルからして重そう……。でもそんなんでもない(笑

昼食を終えると、再びそれぞれの授業へ向かっていった。

タクトが向かっていった授業は魔力講義。どうやらレナとコルダも同じようで、先の流れから必然的に一緒になっていた。

ちなみにレナとコルダの二人は早々と友達になっているようで、先程から仲良く談笑している。

しかし、隣で聞いていると、レナがコルダの話の移り変わりの早さに四苦八苦しているみたいだった。

助けを求めるかのように、ちらりとこちらを見てくるレナの視線に苦笑しながら、会話の中に入っていく。


「そう言えば、コルダは何処の世界出身なの?」

「あたしはここの世界出身だよ。と言っても、めちゃくちゃ田舎だったから、フェルアントの案内とかは出来ない。ていうか、案内してほしいよ」


朗らかに笑うコルダに、それ僕達もだから、とタクトが笑いながら言った。


「それにしても、アンタ……」

「何?」


教室が見えてきたところまで来ると、じっと見つめてくるコルダの視線に気づき、タクトは首を傾げつつ問いかける。その様子を見た彼女は、まるで悪戯っ子みたくニヤッと笑った。


「アンタ、女の子っぽいね♪」

「………」


またそれか、と言う思いで盛大にため息をつく。彼女はそれに構わず、


「後でさぁ、あたしの部屋に来ない?そこでちょっと着せ替……もとい、良い服あげるよ?」

「いらないよ!?と言うか今、着せ替えっていおうとしてたよね!?」


そんな良い服いらないよ、とタクトは叫ぶ。しかし、なおもニヤニヤする彼女の表情を見て、彼の直感が危険だと告げる。

隣にいるレナに今度はこちらから、視線で助けを求める。

目が合い、彼女は頷いた。

それを見て、ホッと胸をなで下ろす。あぁ、やっぱりレナは優しいな、と。


「コルダ、もしやるんだったら私も良いかな?」

「おー、良いーよ♪」


……前言撤回しよう、彼女は優しくなかった。

ノリノリな二人に、彼は釘を刺す。


「二人とも何言ってんのさ!?僕はやらないからね!?」

『え~~』

「え~~じゃないよ!!やらないって言ったらやらないよ!」


なぜかハモった二人に、タクトは全力で否定した。


 ~~~~~


今回の授業、魔力講義。魔力は魔術においてはとても基本的かつ重要な役割を果たしている。

術を使うときに使用するエネルギー、それが魔力である。

よって、魔力がなければ術を使うことは出来ない。ならばこの魔力、一体どこから生まれるのか。

人は、精霊と契約を結び、精霊使いとなるとき、その精霊から与えられる物がある。

一つは人の細胞の活性化、つまり新陳代謝の増加だ。これにより、精霊使いは常人とは比べものにならないくらいの高い身体能力をしている。

そして、もう一つ。

魔力炉まりょくろ”と呼ばれる機関を与えられる。

この魔力炉。与えられると人の体と結合し、体内で魔力を生成し続ける、いわば永久機関である。

元々は精霊が持っている物なのだが、それを分け与えられるのだ。当然、個人によって一度に生成できる量には限りがあるが。

そのことを魔力講義担当の先生、アニュレイトと名乗る先生が教えていた。


「と、言うわけだ。故に、この魔力は精霊からの贈り物であり、我々選ばれた者のみが扱える力!」


力強く言い切った後、最後に解説を付け加えた。


「しかし、選ばれたからといってむやみに振るっていい力ではない。……専門外だが、フェルアントが定めた規律にはこうある」


専門外と言いつつも、その規律とやらを空で語り出した。



『魔力は我々精霊使いに与えられた物であり、同時、本来すべての者に分け与えられる物である。よって、世の精霊使いはこれをそのために使用し、悪用することを認めない』



世の中、不平等な事柄が数多くある。精霊を宿し、精霊使いとなった者もまたしかりである。ならば精霊使いは、直接的に、間接的に、そうではない一般人のために魔力を、魔術を使う。

この規律は、そのことを言っているのである。

見た目は悪そうな風貌をしているアニュレイト教授(先生よりもこちらの方がしっくり来る)だが、案外いい人なのだろう。説明している最中もおもしろいことを言っていた教授だが、このときばかりは真剣な眼差しをしていた。


「いいか、この規律はシュリアの嬢ちゃんふうに言うと、”絶対に守らなくてはいけない規律”だ。……まぁ、俺達教師陣を敵に回したいのなら、話は別だが?」


言葉の前半部分、恐れ多い(一部にとっては比喩にあらず)シュリア先生を嬢ちゃん呼ばわり。肝っ玉が据わっている面を見せたかと思うと、ニヤッと笑いつつ念を押す。

と言っても、たかが一年生に教師陣を倒せるとは思わないのでクラスの全員は首を縦に振っていた。

ちなみにこの後、教授の雑談にて授業が終了した。

本人曰く、「元から今日はやることねぇし。さぁ、ここからは先生との楽しい雑談タイムと行こう!」と言って、笑顔で机に両手を叩きつけた。

内容は、とても楽しい物であった。時折、コルダが話の腰を折ったり、男子生徒が自ら墓穴を掘った発言をしたり等。

これにて本日の授業終了。フェルアント学園は、今日も平和だった。

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