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12-B.火炎

勢いよくドアを開けた僕をランドとリンはゆっくりと首だけを動かしてみた。それから各々の思いの中にまた潜り込んでいってしまった。


「知性のコロニーに行こう。いや、行かせてくれ」


僕は勢いのままに二人に頭を下げた。

二人はしばらく何も言わなかったが、やがてランドがゆっくりと口を開いた。


「ここまで来て、何の考えもなくそう言ったわけじゃないだろう。一体どうしてそんなことを」


リンもじっと僕を見つめた。


「僕には幼馴染が二人いる。これは前にも話したと思うけど」

「スミコちゃんとレンくんだっけ」

「ああ。さっきパトリオの力を使ってスミコと話をした。このままじゃ長くはもたない。早く医療のコロニーに連れて行かないとまずいんだ」


ランドはまたしばらく黙った。そうして口を開いた。


「俺たちに何のメリットがある? お前の幼馴染の一人のために俺たち三人の命を投げ出すのか。クローンは作らない。なら俺たちのチャンスは一度しかないんだぞ」

「ランド、そんな言い方は」

「俺は正しいことを言っているはずだ。違うか。カケル・ミスミ」

「ああ、間違いない」


ランドの言っていることは正しい。チャンスが一度しかないのなら、僕たちはそれを見極めるべきなのだ。


「君たちにもメリットがある。それは当然、今がチャンスだということだ。ひとつは知性のコロニーは今が最も弱いということだ」

「知性のコロニーが弱い、だと?」

「相対的な話だよ。パトリオの予測じゃあ武装のコロニーと医療のコロニーの連合軍はこのままぶつかっても知性のコロニーには勝てない。知性のコロニーが勝った暁にはきっとこの2つのコロニーの力を取り込むだろう。そうなれば今よりももっと知性のコロニーを取り戻すことは難しくなる」


ランドは組んだ手の上に顎を置いてなにごとか考え始めた。


「単純に考えて、今のまま放っておけば向こうの戦力が三倍になるということだ。なら今やらない手はない。そうして、さらにこれは僕たちがやるべきであるという理由もある」

「どういうこと?」


リンは不思議そうに聞いた。


「知性のコロニーは結局、僕たちを殺さなかった。それは殺せなかったからじゃない。単に優先順位が低かったからだ」

「これまではパトリオの力も弱かったから、か」

「そうだ。だから、今時点で知性のコロニーは僕たちの力を正しく評価できていない可能性がある。それに宣戦布告してしまった以上、奴は今頃その準備に大忙しだろう」


パトリオが言った。


「知性のコロニーは通常の生産活動をすべてストップし、戦時体制に突入している。これは知性のコロニーの中枢部に入り込んで得た情報だ。間違いない」


僕は言葉を引き取る。


「奴らは僕たちを知性のコロニーに近づけさなければ何もできないと判断してそれ以上の深追いはしてこなかった。武装のコロニー、医療のコロニー、僕たちのうち最もマークが薄いのは間違いなく僕たちだ」


それでも


「僕たちは知性のコロニーを単独で止める力がある。だからやるべきだ。それに」


僕は言うべきか最後まで迷ってから、とうとう言うことにした。


「武装のコロニーの長を、イエン・ウーを殺したのは僕の幼馴染のレンかもしれない」


二人は目を見開いた。


「確証はあるのか?」

「武装のコロニーの計算資源で見たとき、そんな気はしただけだ。本当に確かめたわけじゃない。それでももしそれが本当なら僕にはあいつを止める義務がある」

「......」


暖炉の薪がぱちぱちと爆ぜた。窓の外から得体のしれない鳥の鳴き声がする。


ランドが大きく息を吐いた。


「お前の言い分はわかった」

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