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11-A.提案

「君たち三人のクローンを作らないか」


レイが言ったのはそういうことだった。

何を、と僕たちが言う間にレイは続ける。


「今回の結果で私は少し意見を変えることにしたんだ。本当のことを言えば、知性のコロニーには私たちだけで挑むつもりだった」

「マザーサーバーはどうするつもりだったんだ。ランドとリンがいなければサーバーの再起動はできない」

「再起動できないなら壊せばいいだろう、そんなもの。人類の敵となるような人工知能なら私たちにとっては必要ない、と考えることだってできる」


話を戻そう、とレイは言った。


「カケル・ミスミ君。君だってクローン化の対象だ。君は新たな可能性を示した。我々が技術の粋を集めて作ったクローン兵士を倒したのだからね。君の遺伝子には正直かなり興味がある」

「僕の強さはデバイスとパトリオにおかげだ。別に僕自身が何かしたわけじゃない」

「それでも、だ。知性のコロニーは強大だ。使える手はすべて使わないといけない」


それに


「バックアップということもある。始める前から失敗することを考えるのはよくないかもしれないが、備えはどうしても必要だ。君たちを含めた知性のコロニーの初期メンバーの血だけは絶やさないほうがいいだろう」

「だから僕たちのクローンを作ろう、と」

「そうだ。実に合理的だと思わないか。それにクローンを作っておくことは君たちの将来にとっても理がある。それは知性のコロニーを取り戻した後だ」

「何の関係がある?」


ランドが口をはさんだ。


「もともと人工知能によって維持運営されていたコロニーだ。まさか君たち二人でどうにかできる規模ではあるまい。その際に君たちのクローンがいれば実に助かると思わないか。私は医療のコロニーの長ではあるが、本職は科学者でね。コロニーの長としてはレイ・ヤンは私が、科学者としてのレイ・ヤンは彼女が担当している。そうやってうまくやっているわけだよ」


確かに彼女の言っていることは正しい。少なくともランドとリンの使命は知性のコロニーの人間の手に取り戻すことだ。そのために自らのクローンを作り、血をバックアップすることは理にかなっている。余ったクローンはコロニーとを取り戻した後に運営用の人材に据えればいい。まったく無駄がない。


自分の場合はどうか。スミコやレンを守るために自らのクローンを作るか。確かに合理的だ。自分がこの先動けなくなったり死なない保証などどこにもない。むしろこの先戦闘はもっと激化していくのだろうから、無事でいられる可能性はどんどん下がっていくだろう。自分が仮に死んでしまったとしても、その使命を継いでくれるものがもしいてくれるとしたら。


それはどれほど救われることか。


レイが機嫌よさそうに言った。


「どうだ?悪くはない提案だと思うがね」


少しの沈黙の後、僕たちの中で初めに口を開いたのはリンだった。


「嫌です。私たちは私たちのまま、最後まで戦います」


彼女は震える口元で小さく息を吸って


「それにあなたの言っていることは間違っている。あなた自身がその間違いから目をそらしているんだ」


みるみるとレイの纏う空気が冷たくなっていく。

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