魔法使い
私は魔法が使いたかった。だから研究した。
「魔法w高校生にもなって厨二病?w」
一人で……
「そんなのあるわけないじゃん(笑) バカなの?」
一人で。
「できた、できた!」
そしてついに私はそれを成し遂げた。
「やった! 私は成し遂げた!!」
あまりの嬉しさに思わず子供のようにはしゃいでしまう、現在六十歳越えの私。
なんと魔法の研究を始めた高校一年生からもう四十年以上の時が経っていた。
「この炎は私が生み出したもの……」
私の手のひらには小さな炎が生み出されていた。
アニメやゲームのような方法とは違ったやり方だが、これは魔法と言っても良いだろう。
「これで、長年の夢、一人旅をしよ、う……あ」
私の夢は世界中を一人旅し絶景を見ることだ、そのために魔法を研究したと言っても過言ではない。
しかしそんな私はあることに気がついた。
「今、私ヨボヨボのおばさんじゃん!」
そう! 運動も録にせず、ずぅーと研究していた私は今とても不健康なおばさんであるのだ。
これまで資金は年金の受給までは普通に働いて稼いだ、ババアになった今は受給と若いころに働いた貯金で研究と生活をしていた。なので受給を受けられたタイミングからは働くことを辞め、食料の買い物以外は外に出ていない、私はそんな不健康な生活をしていた。
「と、いうわけで、若返りの魔法でも作ろう、今の私なら行ける!」
全能感に浸っていた私はそうして若返りの魔法の研究を始めた。
――数年後
「こ、これで理論上は、できる、はず……」
何と若返りの魔法を作るのに数年掛かってしまい現在私は丁度七十歳だ。もう腰が痛い。
ちなみに理論上できるという話であり、実際にできるかはやらねば分からない。
「は、発動しよう」
そうして私は若返りの魔法を発動させる。
「あれぇ……?」
若返りの魔法を発動したところ、一気に視線が半分ぐらいまで低くなった。
心なしか声が子供っぽいような……
「ま、まさか!」
私はある可能性を考え、部屋に置いてある姿見を見る。
「せ、成功したみたいだけど、これは……」
姿見には、ダボダボの白衣を纏った小さな子供が映っていた。
「うん、少し年齢を上げよう」
私はそうして、今度は年齢を上げる魔法を作り始めた。
――数年後
「よし、さっそく世界の旅へ行こう!」
数年後、私は一人旅に必要な様々な魔法を作り、今日、遂に念願の世界一人旅が始まろうとしていた。
あの後すぐに年齢は高校生辺りまで成長させることができた。さっそく一人旅を、と思っていたがよくよく考えればサバイバルスキルも無い私が一人旅できる訳が無かった。結果、私はまず生きる上で必要な魔法を作り始めた。それに数年の時間を要したが、様々な魔法が使えるようになったため、私は後悔はしていない。
「ふぅ、久々の外、楽しみ~!」
私は家を結界で囲っており、誰も私の家を見つけることはできないし、地震などの自然災害の影響も受けない、そういう結界を張っているからね。
つまり誰かがここを訪れることも無かったし、災害による家の崩落も無かった。
私は食料が必要ない体になって買い物にも行かず、研究に集中してたから外の様子を見る機会が無かった、それゆえ今の外がどうなっているのか、とても楽しみで仕方が無い。
「オープン・ザ・ドアアアァァァァ!」
テンションのバグった私はそう言って自宅のドアを開く。
「…………あれ?」
辺りは更地誰もいない……場所間違えたかな?
「わぁ、絶景だねー!(棒)」
え? もしかして人類滅んでるとかあったりする?
「ひ、一先ず空を飛んで見てみよう!」
そう思い、私は空へ高く飛ぶ。
「えぇ……(困惑)」
見渡す限り更地、よく見ると所々地面がくぼんでやがる。
うーん、戦争で滅んだ可能性が高いね、うん。
「……ちょっくら世界、旅してこようか……」
見渡す限りの更地だが、遠くに行けば何か絶景があるかもしれないと思い、私は飛んで行く。
「……」
はい、どこもかしこも更地でした。何があったん?
「あれぇ、一人旅……更地、私は絶景を見に行きたかった、絶景、無し何も無し。私は何のために……」
絶景なんて無かった、私これまで何で魔法の研究をしてたんだっけー。
やばい普通に泣きそう。
「ていうかこの世界生命は私だけじゃん、え?独りぼっちってコト?」
嘘やん。
「……いや、これはチャンス! 私は今や永遠に生きれる! なら生物の再誕生まで待ってやるわゴルゥラァ!」
長年の夢を潰されて怒るなと言う方が無理である、誰も居ないし許して。……誰も居ないのに誰に言ってんだか。
――百年後
いやー、どうやら地球が汚染され過ぎて生命が生きていられない環境みたい、ハハハ。え?私はどうなのって? 研究してた時期から病気対策で常時発動させてる魔法があるんだよね、多分それのお陰で無事なんだと思う。解いたらどうなるのか興味あるけど怖いからやらない。
「はぁ、もう嫌~!」
地球が生命の生きることができない場所だと知ってからずっと浄化活動をしてきたけど流石に飽きてきた。
「もういっそ、地球を捨てたいや……あ、そうだ宇宙に行こう」
何気なく呟いた言葉で私は唐突に思いついた、もう地球なんて捨てて新しい星にでも行こう、と。
「うん、そうと決まれば早速準備しよ」
そうして私は宇宙へ行く準備を始め、それから数日経った頃に宇宙へと飛び立った。
これからどんな景色が私を待っているのかな?
【あとがき】
好評だったらもしかしたら長編作品になるかも?(今のところ長編化予定は無し)