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エンディング:それぞれの未来へ

(質問コーナーが終わり、スタジオには静かで、どこか厳かな、そして深い余韻が漂っている。あすかが、感慨深げな表情でゆっくりと語り始める)


あすか:「皆様、本当に、本当にありがとうございました…。『神』とは何か、『苦しみ』からどう救われるのか、『聖典』や『偶像』とどう向き合うのか、そして、異なる信条を持つ人々とどう社会を築いていくのか…。今宵私たちは、人類が何千年にもわたって問い続けてきた、根源的で、そして最も重要なテーマについて、時空を超えた対話を目の当たりにしました。」


あすか:「(対談者たちを一人ずつ見ながら)皆さんの言葉は、時に鋭くぶつかり合い、火花を散らしました。正直、ハラハラし通しでした!(少し笑って)でも、その激しい議論の奥には、それぞれが信じる『真理』への揺るぎない確信と、人々を迷いから救いたいという、深い願いがあることも、ひしひしと伝わってきました。休憩室での和やかなひとときも、忘れられません。」


あすか:「唯一絶対の答え、というものは、簡単には見つからないのかもしれません。でも、それでいいのかもしれない、とも思いました。大切なのは、違いを知り、理解しようと努めること。そして、自分自身は何を信じ、どう生きるのかを、問い続けることなのかもしれません。」


あすか:「さて、名残惜しいですが、この歴史的な対談も、本当に終わりの時間が近づいてまいりました。(対談者たちに向き直り)最後に、この番組をご覧になっている、未来…つまり現代を生きる私たちへ、皆様から一言ずつ、メッセージをいただけますでしょうか。まずは、モーセ様、お願いいたします。」


モーセ:「(威厳に満ちた声で、しかしその瞳には未来への憂いも含まれているように見える)…現代いまを生きる者たちよ。聞け。あなたがたの時代が、いかに豊かで、便利になったとしても、決して忘れてはならないことがある。それは、あなたがたを創り、生かしておられる、唯一の神がおられるということだ。(言葉に力を込め)神が与えられた『律法』、それは人を縛るためのものではない。人が真に自由となり、祝福された生を生きるための、道しるべなのだ。神の前にへりくだり、その御言葉に耳を傾けよ。そして、隣人に対しては、正義と憐れみをもって接することを忘れるな。もし道に迷い、罪を犯したならば、恐れることはない。心から悔い改め、神に立ち返るならば、主は必ずや、あなたを赦し、再びその道へと導いてくださるだろう。神との『契約』を、決して忘れるな。」


あすか:「(深く頷き)神との契約、正義と憐れみ…。モーセ様、力強いメッセージ、ありがとうございました。」


あすか:「続きまして、釈迦様、お願いします。」


釈迦:「(静かに合掌し、穏やかな声で語りかける)あらゆるものは、移り変わっていきます。富も、名声も、若さも、そして命さえも。その『無常』の真理から目を背け、はかないものに執着し続ける限り、心の渇きと苦しみから解放されることはありません。(優しい眼差しで)現代いまを生きるあなた方もまた、多くの情報や欲望に囲まれ、心が乱れやすいことでしょう。しかし、答えは、あなたの外にあるのではありません。静かに坐り、自らの呼吸を見つめ、心の動きを観察なさい。怒りやむさぼり、愚かさといった煩悩が、いかに自らを苦しめているかに気づくでしょう。」


釈迦:「真の平安は、求めるものではなく、執着を手放した時に、自ずと現れるものです。智慧ちえの光で真理を見極め、慈悲じひの心で生きとし生けるもの全てと関わること。それが、苦しみを乗り越え、自他共に安らぎを得る道です。あなた自身の内なる光を頼りとしなさい。慌ただしい日常の中にも、必ず静寂と覚りの種はかれています。」


あすか:「執着を手放し、内なる光を頼りに…。釈迦様、心に沁みるメッセージ、ありがとうございました。」


あすか:「次は、ムハンマド様の名代として、アブー・バクル様、お願いします。」


ムハンマド(アブー・バクル):「(誠実に、未来の聴衆に語りかけるように)アッラーの御名において。現代いまを生きる全ての兄弟姉妹たちへ。あなた方がどのような状況にあろうとも、唯一なる創造主、アッラーは、常にあなた方と共にあり、全てをご存知です。(確信を込めて)この世界は、アッラーがお創りになったものであり、人生は、アッラーから与えられた試練の場です。物質的な豊かさや、移ろいやすい世俗の楽しみに心を奪われ、真の目的を見失ってはなりません。真の幸福と成功は、アッラーを認め、かれの最後の預言者ムハンマド様(彼の上に祝福と平安あれ)が伝えられた導き、すなわちクルアーンに従って生きることにのみあります。」


ムハンマド(アブー・バクル):「アッラーへの完全な『服従イスラム』、それは、決して盲目的な隷属ではありません。それは、創造主への信頼と愛に基づいた、最も理性的で、最も人間らしい生き方なのです。信仰イーマーンを心に灯し、日々の礼拝や善行イバーダートを通して、その光を輝かせなさい。そして、家族や隣人、共同体ウンマを大切にし、公正と慈悲をもって互いに支え合いなさい。そうすれば、現世においても心の平安を、そして来世においては、アッラーの御許みもとにある永遠の楽園を得ることができるでしょう。真の平和サラームは、アッラーの御許にのみあるのです。」


あすか:「アッラーへの服従、信仰と実践、共同体…。アブー・バクル様、心からのメッセージ、ありがとうございました。」


あすか:「それでは最後に、ルター様、お願いします!」


ルター:「(情熱的な眼差しで、カメラの向こうの視聴者に直接語りかけるように)現代いまを生きる友よ! あなたが、自らの罪深さや弱さに打ちひしがれているとしても、決して絶望することはない!(力強く)なぜなら、あなたのために、神の御子イエス・キリストが、すでに全ての代価を支払ってくださったのだから! あなたが救われるために、何か特別な善行や、難しい修行をする必要はない! 必要なのは、ただ一つ! このキリストの十字架の恵みを、赤子のように素直な『信仰』をもって受け取ることだ!」


ルター:「(声を張り上げ)恐れるな! 律法の要求や、世間の評価、あるいは自分自身の良心の呵責かしゃくに、これ以上縛られる必要はないのだ! キリストを信じる者は、罪から解放され、神の子とされ、真の自由を与えられているのだ! この福音こそが、あなたを全ての不安と恐れから解放する、神の力なのだ! (少し声を和らげ)さあ、聖書を開きなさい! そこに記された神の約束の言葉を、あなた自身のものとして受け取りなさい! そして、キリストにある自由と喜びのうちに、大胆に、そして隣人への愛をもって生きなさい! 神の恵みは、常にあなたと共にあるのだから!」


あすか:「(感動を隠せない様子で)キリストにある自由と喜び…。ルター様、魂に響くメッセージ、ありがとうございました!」


(あすか、改めて対談者全員に深く頭を下げる)


あすか:「モーセ様、釈迦様、アブー・バクル様、ルター様…。本日は、時空を超えてお集まりいただき、私たちに、これほどまでに深く、豊かで、そして刺激的な対話を聞かせてくださり、本当に、本当に、ありがとうございました!」


(スタジオに、温かく、そして大きな拍手が鳴り響く。対談者たちも、互いに敬意を表するように、静かに頷き合っている)


あすか:「『真理』を巡る聖戦は、もしかしたら、私たちの心の中で、これからもずっと続いていくのかもしれません。でも、今日のこの対話が、皆さんがご自身の信仰や生き方について、改めて深く考えるための、小さなきっかけとなれたなら、これ以上の喜びはありません。」


あすか:「歴史バトルロワイヤル、今宵はこれにて閉幕です。最後までご覧いただき、誠にありがとうございました! また、別の時代の偉人たちとお会いできる日を楽しみにして…さようなら!」


(あすかが笑顔で手を振る。感動的な、しかし希望を感じさせる音楽が流れ始める。エンドロールが流れ、各対談者の肖像や象徴的なイメージ、そして彼らの残した印象的な言葉が映し出されていく。スタジオの照明がゆっくりと落ちていき、番組は静かに幕を閉じる)

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