5章 旅
なぜ部下にならずに旅をするのか。旅には上司という管理役職がいないため自由だが、その分負傷や命の危機があったとしても助けがない。しかし、魔王を倒すという目標を達成するには誰かの作戦に従うよりこちらの方が早いと考えた。今魔王軍と我々人間の軍は膠着状態にある。それは軍師でさえ数十年は続くだろうと予言をしていた程にだ。旅をしていると色々な人に出会う。それぞれ村の特徴があり旅というのも中々に楽しいものだと感じていた。エルシャール村に着いた時、とある女性が慌てて俺の元に来た。
女性「あぁ、お願いです!助けて!助けてください!!娘が、娘が攫われたのです!!お願い。」
悲痛な啜り泣きをする。そんな人は見捨てては置けない。娘さんはどこに攫われんだ!!すると女性はとある方向を指す。それは少し古びた建物がある方向だ。すぐに走って指を刺した方向へ行った。走っていると魔族の姿が小さいが見えた。担いでいる女の子は攫われた娘なのだろう。かなり怯えている様子だ。
ルーシュ「待て!!」
そう叫ぶと魔族はこちらをチラリと見たが走る足は止めなかった。そして、少し走っていた時魔族は古びた建物の中に入って行った。中を様子見しながら恐る恐る中に入るが暗くて何も見えなかった。魔法で火を出す。通路を灯しながら慎重に進んでいると話し声が聞こえた。
魔族A「こいつは高く売れるな。こいつのこれは随分と貴重で人気だ。一個1万エルピルで売れる。」
魔族B「マジか。そいつは攫い得だな。それに奴隷として売ればさらにエルピルが得られるぞ。、、おい待て、何か物音がする。追ってきた奴はここまで追ってきたのか。」
気づかれたか!そう考えるが、まだ物音が聞こえた程度だろう。火を消し透明にのる魔法を使った。とてつもなく暗い闇の中を手探りで静かに探っていく。目が少し慣れてきたところで辺りをじっと見渡すと女の子が見えた。それと、蛇の、人型の怪物が2人。魔法が女の子に当たると危ないため女の子に近づきそっと2人から離した。数メートルか離れた瞬間呪文を叫ぶ「電拘束」電気が暗闇をチカチカ照らす。魔族2人が気づいたがもう遅かった。電気が魔族2人に縄のように縛り付けており身動きを取れない状態にした。
魔族A「おい!てめぇ!卑怯だぞ」
魔族B「さすが、やることが卑怯だな。ペッ」
そう悪態をついている2人を差し置いて女の子に大丈夫か訪ねる。女の子は「うん」というかのようにうなづいた。魔族はいまだに叫び散らかしている。
魔族A「俺たちがこうなったら親分が出てくるぜ。お前じゃ歯が立たないほど強いんだよ。」
魔族2人は強がっているのだろう。そう読み取れるほどに怯えた顔を強がっている顔にしようとしていた。すると入り口の方から低い声が響く。
親分「おい!俺の子分に何してくれてるんだ?」
かなり大きい、これはゴブリンか?親分と言われるほどに体格が良い魔族が現れる。親分が持っていた斧で俺を攻撃しようとするが俺はその斧をかわし女の子を出口の通路まで追いやってから魔法を放つ「炎陽球」部屋一面に炎の海が広がる。魔族3人は全身が燃えており黒焦げになって行った。魔族ならやられた時チリとなって消えそうなものだが、形は残るもんなんだな。そう考えながら女の子と村に帰宅する。母親は泣きながら女の子を抱きしめ俺にお礼と1000ライグスをもらった。ライグスとは人間で使われる通貨で日本で使っていた円と同じものだった。一円で一ライグス程。エルシャール村を後にしまた旅路に着いた。