4章 学校
校長「さて、皆は魔法に選ばれ魔法を扱う者。これからの皆の活躍を期待しておるぞ」
校長の長い話がやっと終わった。どこの世界でも校長は話が長いんだろうか、そう考えてながら新たな教室に向かう。学校は過去のトラウマから苦手意識が強いがでも、今の俺ならきっと仲良くやっていけるはず。
??「きたぜ、例の噂のやつ。」
?「あれだろ?魔法陣を破ったとか、女神様の力を受け継いだとか。ムカつくよな、冴えない顔してるくせによ」
俺が教室に入るとヒソヒソ声が聞こえてきた。心臓がバクバクしている、でも生まれ変わった。それに俺の目的は魔王を倒すんだ。こんなところで怯んでる場合じゃない。過去のトラウマに囚われている場合じゃない。そう自分を鼓舞しながら自分の席に着く。少し遅れてからクェンが教室に入ってきた。みんながクェンに目を向ける。やはりクェンに向ける眼差しは憧れや尊敬、そんなキラキラした物だった。なんでだよ。そう嫉妬するのも束の間、クェンが笑顔で話しかけてくれた。
クェン「おはよー!もう先に行っててびっくりしたよ。家に行ったらルーシュのお母様がもう出て行ったよって言ったから。こういうのは一緒に行く物でしょ!もう。」
ルーシュ「あぁ、ごめん。学校が楽しみでどうしてもさ」
元気があるかのように、普段通りに話したつもりだったがやはり数年は過ごした仲だ。すぐに違和感に気づいたようだった。
クェン「少し元気ないね。大丈夫?まぁ、私たちの街の子だけじゃないもんね。この学校は魔族の支配されてない地域全てから集まってくるから慣れない人もいるよね。でも学校が始まったばっかりだもん。これから仲良くなっていけるよ」
そう元気になるように気を遣ってくれた。この気遣いも彼女が慕われるポイントなのだろう。見習うべき点が多いと改めて尊敬する。授業が始まる前に先生が教室に来た。
アルファ「今日からこの教室の担任になるアルファだ。卒業まで俺がこのクラスの担任になる。以後よろしく。以上だ、何か質問がある者は授業が終わってから俺のところへ来い」
すこし冷たいような、クールなのか。しかし、真面目なのだろうこの先生は雰囲気からわかる中々の魔法使いだ。きっとこの場に来るまでは魔族との争いに参加していたのだろう。この人からならきっと魔法を多く教われるはずだ。
アルファ「さて、初めに君たち全員の魔法能力がどれほどが見させてもらう。それぞれ校庭に来るように。10分後必ず集合だ。出ないと点数を引かせてもらう。ちなみに点数はみな100点あるが減点方式で50点以下になると強制退学だ。普段の行いは気をつけるように。」
そう告げると先生はすぐに教室を出て行ってしまった。クェン含む女子グループの子もどこかへ行ってしまい俺は1人取り残されてしまった。友達の作り方を知らないがボッチ生活はどうしても避けたい。誰かに話しかけよう。そう決心したとき
??「おい!お前生意気なんだよ!冴えない顔のくせに!」
?「そーだそーだ。クェンちゃんと親しく話してそのくせ女神の力を受け継いだとか!」
急に怒鳴りつけられた。この2人は確か、アルビノとユースだったか。俺に怒っているがでも、これで話す理由はできた。
ルーシュ「なんのことだよ。クェンとは幼馴染なだけで、女神の話はみんなが噂をしているだけだ。」
少し強気で言い返してしまったが、でも喧嘩をすると仲良くなれるとどこかの漫画で読んだ。この方法なら友達ができるかもしれない。
アルビノ「黙れ!冴えない癖に俺より目立つなんて許せねぇよ!俺はアルビノだぞ!」
ユース「そーだ!アルビノ様はすごいんだぞ!幹部に直接仕える家系の方だ!」
それはすごいのか?でも、一般兵だった俺の両親に比べると位としては高いのだろうな。ここは合しておくべきか。
ルーシュ「あ、、あぁ、知ってるよ。あのアルビノ君だろ。でも学校では立場は実力主義だ。お互い楽しい学校生活にしよう」
この返しで合ってるのか不安ではあるが、とりあえず時間に遅れることはよくない。急いで教室から出て校庭に向かう。過半数は揃っているだろうか。時間は後少し残っているが急がなければならない。生徒が集まっているところにつくと先生がかなり機嫌が悪そうな顔をしていることがわかった。
近くにクェンがいたので何があったのか聞くと
クェン「それがわからないの。私たちもさっき着いたのだけど、その時にはこの状態で。」
10分後、皆が揃った。アルビノとユースもだ。
アルファ「遅い!確かに10分後と行ったが、それは建前ですぐに集まることが我々には求められる。いいか!何分後と言う言葉を聞いたとしてもすぐに上官、上司の元に向かうのだ。点数を引く予定はないがすぐに来ない状態が続けば無能として扱うからな。」
そうだったのか。中々厳しい。確かに戦場では10分後も何もないのだろうからすぐに駆けつける方がいいのだろう。
アルファ「さて、君たちにはこれからあの岩を壊せるほどの魔法を撃ってもらう。壊せるものは壊せ。どんな魔法でもかまわないがなるべく自分の得意な魔法で行う方が良いだろう。さぁ前の奴からだ。」
続々と魔法を放つ音が響く。呪文を叫ぶが魔法が出てこないもの。魔法は出ても岩を壊すほどのものでは無いもの。それはユースも同じで合った。しかしアルビノは違った。岩にヒビを入れたのだ。これには先生も少し驚いた様子だった。
次にすごい生徒はクェンだった。彼女は岩の上半分を吹き飛ばした。しかしビームを放つ魔法だったがかなり細かったためだろうか岩を全て壊せなかった。最後に俺の番だ。アルビノとユースは俺を笑っており所詮噂だというような仕草をしており、クェンは自信満々に俺を見つめていた。先生は噂は知っているようでどれぐらいの実力なのか興味があるような目つきをしていた。俺も魔法を大々的に撃つのはそこまで経験がない。でも全力を出さないとダメだろう。そして俺は魔力を腕に集中させる。すると手のひらから魔法陣が二つ現れた。黄色に光る魔法陣。そう雷魔法だ
ルーシュ「神の一撃!!」
呪文を叫ぶと、空から雷がいくつも岩に向かって降り注ぐ。眩い光が収まると砂煙が漂っていた。目を凝らしてよく見ると岩、、とは言わず地面まで深く抉れていた。みんなが呆気に取られている。先生でさえ、驚きを隠せない表情だ。しかしクェンだけは違った。まるで自分の手柄かのようにみんなを見ていた。授業が終わり皆が教室に戻る中、クェンや他の女子達が俺を囲った。「すごいですわ!」「一体どこでそんな魔力を?!」「ぜひ私にも教えて欲しいです」俺は女の子にチヤホヤされるのが初めてでどうしたらいいかわからずにいるとクェンが「まぁまぁ、ルーシュはもっとすごいんだからこんなものじゃないよ!」とみんなに言う。みんなが俺をすごいという表情で見つめた。遠くの方でアルビノとユースがこちらを気まずそうに見つめていた。
ルーシュ「ちょっとごめん」
そう言いながら2人の元へ駆け寄った。2人はお互い顔を見合わせながら
アルビノ&ルーシュ「ごめんなさい」
深々と頭を下げる2人を俺はどうしたら良いかわからずおずおずとしていた。しかし、俺は友達になりたいので謝られても許さないという選択肢は無論ない
ルーシュ「全然気にしてないよ。」
2人はパッと顔をあげて笑顔を見せた。
アルビノ「冴えないって言ったのは悪かった。まさかあんなにすごい魔法撃てるなんて!!」
ユース「本当にそうですよね。僕びっくりしましたよ」
そして俺は3人で教室に楽しく話ながら向かった。そして数年が経ち学校をそろそろ卒業する頃になった。アルビノとユースとは親友になっていて学校もかなり充実したものだった。
アルビノ「そろそろ卒業かぁ。楽しかったな。」
ユース「そうだね。寂しくなるけど、でも役に立てる仕事に就けるんだ。ワクワクするよ」
アルビノ「ルーシュはどうするんだ?幹部直属の部下にもなれる実力があるからいけると思うんだが、やっぱり、個人で動くのか?」
ルーシュ「そうする予定かな。魔王を倒して俺は世界を平和にしたいんだ!そういう夢があるから部下になるより個人で動く方が叶えやすいよ」
3人で思い出を談笑しながら残りの学生生活を過ごした。卒業後は皆バラバラになった。最後に誰が一番最初に活躍するかを勝負し、そして活躍した奴を祝うためにまた集まるという約束をして。俺が個人で旅をすると言う話は勿論クェンにも伝わっていた。クェンは元々幹部直属の部下になる予定だったが、俺が1人で行動することをきいてクェンもついていきたいと泣きついた。しかし一度決めた配属場所は変えることができない。作戦が狂ってしまうからだそうだ。そうしてクェンとも離れて1人で旅をすることになる。そうして、旅の第一歩を踏み出した。