第4話 筋肉大苦戦!"最強"の将ここに見参!!
【登場人物紹介】
( ^ω^)【筋肉その1】:じゃんけんで勝った。
('A`)【筋肉その2】:じゃんけんで負けた。
(゜、゜*)【魔女】:「勝ち負けなんてくだらないわね」とか言っておきながら、心の中ではめちゃくちゃ気にしてるし、なんなら負けたら人一倍努力するタイプ。
( ・∀・)【勇者】:姉と妹がいるので負け慣れている。
( ^ω^)「せいッ!やぁッ!!」
唸る鉄拳──
「ふんっ!!はぁッ!」(゜Д゜.,)
('A`)「──スキありぃッ!!」
滾る豪脚──
「なんのこれしきッ!!」(゜Д゜.;)
(;・∀・)「え、えいっ!」
勇者自己流へにょへにょスラッシュ──
「効かぬわッ!!」(゜Д゜.,)
(;'A`)(まずいな……乳酸の蓄積スピードが予想よりも早い……)
筋肉の額から汗が滴る。
甘くみていた。この世界に来て数日、相手にしてきた魔物はどいつもこいつも、打てば崩れる安物の絹ごし豆腐みたいな奴らだった。なれば魔物を束ねる将の程度も知れたものだと──あぁ、なんたる愚考ッ!なんたる油断ッ!!
(;^ω^)(修業中の身が聞いて呆れるわ……)
どうやら自分はまだ異世界ピクニック感覚だったようだ。筋肉達は己の楽観を猛省、猛省──ッ
──反省の時間は終わったッ!後悔に割く思考の余地などない!今にすべきは眼前の巨壁を砕き活路を拓く、起死回生の一手を掴む、脳みそ筋肉フル回転ッッ!!
( ^ω^)「ここだっ!ネオヤマト神拳奥義ッ!!」
疾風迅雷、鍛えた筋肉に宿るマッスル・エネルギーから繰り出される渾身の一撃が、武曲の秘中、急所を抉るッ!!
「ぐぬぅッッッッッ!」(゜Д゜.;)
鋼鉄を貫く衝撃が武曲の精悍な顔を歪ませ、遂にその膝を折らせたッ!!
「くっ、最早これまでか……」(゜Д゜.;)
( ^ω^)「勝負あったな」
(;・∀・)「そ、総攻撃は僕達に有利すぎた気がするけど」
(゜、゜*)「向こうが言い出したことよ。勇者が気にする必要なんて無いわ」
('A`)「この"七片四宝"は貰っていくぜ」
「くっ、殺せ……」(゜Д゜.;)
( ^ω^)「何故、殺さねばならぬ」
('A`)「そのセリフを吐いて良いのは女騎士だけだ」
(゜Д゜;)「我は魔王様を守る盾……故に、その生涯に敗北は許されぬ」
(゜Д゜.)「貴様らに敗けた我など砕けた盾。使命を果たせぬ身に価値はない」
('A`)「ふん。アバラが二十数本、砕け散った程度だろう」
(゜、゜*)「アバラ全損なのよそれは」
( ^ω^)「おいおい。俺の拳がその程度な訳ないだろう」
( ^ω^)「内蔵も数カ所、破裂しておるわ」
('A`)「だがまぁ、これくらいの傷、湯治でもすれば治癒するだろ?」
( ・∀・)「治るわけねぇだろ。この人血ヘド吐いてんだぞ」
(゜Д゜;)「湯治で傷は癒せても……砕けた心は、直せぬ……」
(゜、゜*)「アンタも温泉で傷が治る前提で話進めないでくれる?」
(゜Д゜.)「さぁ勇者……殺せッ!!」
(゜Д゜.)「貴様ならば悔いはないッ!!」
(;・∀・)「え?は?いや、なんで急に僕に振んの?」
(;・∀・)「嫌ですけど……"七片四宝"があれば十分なんで僕達」
( ^ω^)「んじゃ、そういうことなんで。お疲れ様でーす」
('A`)「ぉぁざーす」
(゜Д゜;)「な、情けなど要らぬッ!」
( ^ω^)「武曲よ、何故分からぬッ!勝敗の決した今、貴様の生殺与奪の権利は我々が握っているとッ!」
( ^ω^)「そして、それを以て何故貴様の生命を奪わぬのか、勇者の気高き考えがッ!!」
(゜Д゜;)「なにっ!」
(;・∀・)「なにっ!」
('A`)「理解らぬのならば教えてやろう!!」
(゜Д゜;)「……」
(;・∀・)「教えてくれっ!」
('A`)「一度の敗北で生命を捨てる?ふん、この大馬鹿者め、"最強"が聞いて呆れる!!」
('A`)「貴様の使命は、それほど安いものなのか!?」
(゜Д゜;)「や、安い……だと?魔王様を守り戦う我の使命が……」
(゜Д゜#)「安いだとッ!?」
( ^ω^)「ああそうだ!!大特売・半額セール・50%オフだッ!!」
( ^ω^)「武士たるもの、負けて負けて、負けを重ねて強くなるのだ!!」
('A`)「心も筋肉も同じ……ッ!傷ついて傷ついて、その傷を乗り越えたとき、強く逞しく"太く"なるのだッ!!」
( ・∀・)「──はっ!!」(゜Д゜;)
(゜Д゜;)「……」
(゜Д゜;)「つまり貴様らの強さは、そういうことか」
( ^ω^)「あぁ負けてばかりの人生よ。だが、今日は勝った」
('A`)「負けがあるから、勝ちがあるのだ」
('A`)「……そう言いたいのだろう?勇者」
( ・∀・)「え、まぁうん。部分的にそう」
(゜Д゜.)「……完敗だ」
遂に七星将が一人、武曲を倒した勇者と筋肉ッ!!
だが、負けたはずの武曲の顔は、戦う前よりも晴れやかだった……ッ!!
(゜Д゜.)「いいのか?ここで我を見逃しても」
('A`)「取り返そうってのか?"七片四宝"を」
(゜、゜*)「なんで全身から血が吹きでた状態で乗馬できるの?」
( ^ω^)「ふん。何度来ようが、その度に打ち倒すのみ」
('A`)「我らももっと強くなるのでな」
(゜Д゜.)「ならば、その強さを越えるのみッ!!さらばッ!!」
武曲は大草原に馬を駆るッ!!
忌むべき敗走、昨日まではそう思っていた。しかし、今の彼は気づいている。今日の敗走は、明日の勝利への進軍であるとッ!!
ここに、勇者と筋肉の宿敵が誕生したッ!!
(;'A`)「……ぬっ、ぐぅぅぅッ!!」
(;^ω^)「全身が痛ぇぇッ!!燃えるようだッ!!」
筋肉達の筋肉が一気に弛緩し、地面に倒れ込む。"最強"の将との戦いの苛烈さは、今までの比ではなかった。
武曲が放つ拳の蹴りの、その一挙手一投足。海を割る威力をまともに喰らって、無事であろうはずもなく……。
ついでにネオヤマト神拳の奥義は一週間の筋肉痛が確約されるデバフを持っている。
(゜、゜*)「全く、あんな戦い方して平気なわけ無いじゃない。やせ我慢しちゃって、何がしたかったのよ」
(;^ω^)「漢には、かっこつけなきゃいけない相手が居るんだ」
(;'A`)「息切れなんて……かっこつかねぇだろ」
息も絶え絶えになりながら、魔女の治癒魔法を受ける筋肉達。彼らの雄姿、その背中を見て、勇者は密かに決意するのだった。
( ・∀・)「僕も、強くならなきゃ」