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第19話 結界をぶっ壊せ!魔王立大学入学試験!

( ´_ゝ`)「"結界術"っつうのはだな。ざっくり言うと"異世界"を造る超高等魔法技術だ。あ、造るとはいっても一から組み立てる訳じゃあない。この世界をコピーするんだ。七賢将の奴らは、俺達の目の前に広がっている、この"霞源郷"という"範囲"を"コピー"。そして、それを世界の"裏"に"貼付け"したってワケ。んで魔王立大学は、そこに建っている。そんで"裏"ってのは何かって言うと……例えば、俺が持ってる地図。地図という紙。この表面に世界がある。裏返せば白紙だな?この余白に、表の地図そっくりの霞源郷を描くと、異世界の出来上がり。ここまでは分かるな?これを紙面じゃなくて現実でやるのが"結界術"。んで、この表と裏を隔てている"紙"という境界が"結界"だ。あー、理解できなくても構わない。そういうもんだと思ってくれ。俺も理解してない、受け売りだ。さて、ここからが本題だ。俺等が今からやることは三つだ。一つ、結界が張られている場所を見つけること。二つ、結界の解除呪文を探し当てること。三つ、結界を破ること。そうすれば、魔王立大学が表の霞源郷に現前する」



( ^ω^)「なんか急にめっちゃ喋るじゃん」



霞源郷──魔界大陸の最東端に位置する秘境であり、そこにはカルスト台地が広がっている。地表には無数の岩が柱や棒の如く縦長に発達し、苔や草、低木などが彼らの肌を覆っている。岩と岩の間には、小川や植物から発生した霞が常に漂い、この台地に神秘性を与えている。かつて訪れた高名な旅人により付けられた名が、"クソデカ竹林"。



 勇者と筋肉 with 黄藍 feat. ゴブリンは霞源郷に入ると、一番背の高い岩の上に登り、台地一帯の見晴らしていた。



( ^ω^)「"大学"を探すったって、あばら屋一棟建っちゃいないぞ?」



( ^ω^)「風光明媚が広がってるだけだ」



  ('A`)「イエローの説明を聞いてたか?大学は結界の中にある。結界を破らねば、大学は姿を現さん」



( ^ω^)「すまん一文字も聞いてなかった」



( ´_ゝ`)「聞けよ。まずは結界を見つけることからだが……」



( ^ω^)「こう。正拳突きで衝撃波を起こせば、空気の流れとかで分かったりしないか?」



 ぱんっ、と空気の割れる音。岩々が揺れ、草木がざわめき、鳥達が一斉に飛び去る。実に自然な(・・・)流れだ。見えない何かが在ろうはずもない。



(゜-゜川「無駄だ。自然破壊になるだけだから止めておけ」



( ・∀・)「拳で衝撃波が起こせるコトにツッコミはないの?」



(゜-゜川「慣れた」



( ´_ゝ`)「だから話を聞けってんだ。結界はもう見つけている。というか、ここがそうだ」



  ('A`)「ここが?」



(゜、゜*)「……魔力は感じないけど?」



( ´_ゝ`)「七賢将のような()一流の魔法使いは自分の痕跡を残さない。普通なら感知することは無理と断言していい」



(゜、゜*)「含みのある言い方ね。早く言いなさいよ」



( ´_ゝ`)「この"結界"は、大学に入学するための試験を兼ねているんだよ。七賢将がわざと(・・・)残した痕跡から、結界を見つけ出し、解除呪文を探し当て、それを詠唱する。そんな一流の魔法使いだけを選別するためにな」



(゜、゜*)「アンタが一流の魔法使いには見えないけど?」



( ´_ゝ`)「あぁ。俺は一企業の雑用係だ。だから一流の魔法使いが作った"魔道具"を使った。ここまでの冒険と同じだ」



( ´_ゝ`)「"魔力検知器"。魔法使いは一般に自分の魔力を放出して周囲の魔力を感知する。しかしコイツは逆。辺りの魔力をなんでもかんでも吸収して、その魔力を分析・数値化してくれる」



(・∀・;)「魔力を吸収って、大丈夫なの?魔力切れを起こしちゃうんじゃ……」



( ´_ゝ`)「吸収する量は大したもんじゃない。同じ成分の魔力を二度吸うこともないしな。そこら辺は安全だ」



( ´_ゝ`)「んーで"魔力辿り地図"。コイツに、検知器で数値化した魔力情報を書き込むと……その道筋を示してくれる。縮尺は100メートル程度だが、十分だな」



( ´_ゝ`)「てな具合でココがそうだと割り出した。いやー技術ってすごいね」



( ФハФ)「カンニングじゃな」



( ´_ゝ`)「実際そうだ。だが、俺等は別に入学志望者じゃねぇしな」



( ФハФ)「ふむ。たしかに」



(゜-゜川「よし。ならば次は解除呪文を探し当てる。イエロー、なにを使うんだ?」



( ´_ゝ`)「知らん。手当たり次第だ」



(゜-゜川「いきなり雑になるな」



( ´_ゝ`)「そうは言っても分からんものは分からん。必要そうな道具は用意してある。これを活用してなんとか探し当てるしかないんだ」



( ´_ゝ`)「魔女。アンタ、"魔法の逆引き"は出来るか?」



(゜、゜*)「私?できるけど、結界の解除なんてやったことないわよ?」



( ´_ゝ`)「十分。アンタ以外の誰も、逆引き出来ねぇんだから」



(゜、゜*)「え……あぁ、そうなのね。そうよね」



  ('A`)「なぁ、逆引きってなんだ?辞典?」



( ・∀・)「魔法っていうのは、まず呪文があって、それを魔法使いが唱えることで、形になるんだ。例えば、"炎"呪文を唱えると、炎が現れる。ちなみに魔力は、魔法で炎を生む為のエネルギーだね」



  ('A`)「うむ、それはなんとなく分かる」



( ・∀・)「逆引きは、そのまんま、この逆だよ。現実に現れた"炎"、そして、それに使われている"魔力"から、唱えられた"炎"呪文を引き当てるんだ。カウンターや打消しの魔法、バリア、解呪には必須の技能だね」



  ('A`)「呪文を覚えておくだけじゃダメなのか?例えば、"炎"呪文なら『ファイア』とか?」



(゜、゜*)「厳密に言えば"炎"を生む呪文なんてないのよ。魔法を最小単位で見れば、"ものを動かす"くらいのこと。それを色んな呪文を重ねることで、炎になるの」



(゜、゜*)「だから、たとえ炎魔法という結果でも、それを生み出す呪文は魔法使いによって千差万別なの……まぁ、炎くらいなら教科書に載っているような汎用呪文使うだろうけど」



( ^ω^)「つまり、同じ唐揚げだとしても、調味料やバッター液の配合、調味液の漬け時間、そして揚げ時間は、料理人によって異なるのだということだな?」



  ('A`)「そういうことなの?」



(゜、゜*)「そういうことよ」



( ^ω^)「なるほど。つまり逆引きとは、料理バトル漫画でよくある、審査員が料理を一口食べただけで、料理の秘訣とか材料を当てる行為に近しい、といえるな」



  ('A`)「と、いえるのか?」



(゜、゜*)「勝手に言っといて」



(゜、゜*)「……でも、やりきれる保証はできないわよ?後方支援専門の三流(・・)魔法使いだしね」



( ´_ゝ`)「それでもだ。やるしか道はねぇんだ」



(゜-゜川「やっぱり……グリーンを連れてきたほうが良かったんでは?」



( ´_ゝ`)「入学試験をもう一度受けたい合格者がどこに居るんだって断られた」



( ´_ゝ`)「ま、アイツには別口で治療法を探して貰う役割がある」



( ・∀・)「それじゃあ、魔女が結界を解く方法を探している間、僕らはなにを?」



( ´_ゝ`)「俺とインディゴは魔女を補助する。道具の使い方とか教えにゃならんし、魔法のイロハくらいは知っている」



( ´_ゝ`)「そんでお前らだが──」



 イエローが言いかけたその時、岩の影からゴブリンやオーク、スライムにコボルト、大量のモンスターが現れ、息つく暇もなく勇者たちを取り囲んだ



    「ゴブキシャァァ!!」(ФДФ#)



    「オオオォォォク!!」(ФДФ#)



 最初からそこに潜んでいた?状況的にそれはありえない。奴らは魔法で生み出されたファントム・モンスターの群れ!



( ´_ゝ`)「一流魔法使いの条件……それは知恵・知識の深さだけじゃない。強さも持ち合わせていることだ」



( ´_ゝ`)「結界を解いている間は"番犬"がわらわら沸いてくるから、残りのメンバーで対処よろしく」



( ^ω^)「百人ならぬ無限組手か。面白い」



  ('A`)「退屈せずに済みそうだな」



(ФハФ )「さぁ勇者よ。ビームを交えた"シン・ゴブ林風流"の実践じゃ!」



( ・∀・)「うん!」


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