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第16話 なにがあっても裏切らない!仲間、そして筋肉!

【登場人物紹介】


( ^ω^)【太筋】:異世界にはピザもコーラもカレーもホッキ貝サラダも無いと知りショックを受ける。



  ('A`)【細筋】:サウナが別に身体に良い訳でもないと知りショックを受ける。



(゜、゜*)【魔女】:甘くて好きなジュースの材料が魔虫と知りショック。でも美味しいから飲む。

         


( ・∀・)【勇者】:定食屋で「ごちそうさま」をスルーされるとショックを受ける。



( ´_ゝ`)【黄色】:対ショック性能が高い。別名は無神経。



(゜-゜ 川【藍色】:自信満々の小説が公募で落選してショックで1週間の有給をとる。



( ФハФ)【鬼爺】:朝起きると腰にショックを受ける。

(#)_ゝ`)「へぇ、目からビームねぇ」



(#)_ゝ`)「いいんじゃない?」



(^ω^ )「リアクション小さくないか」



  ('A`)「ロマンだろビーム。ゼロ距離だぞビーム」



(#)_ゝ`)「お前らの方がリアクションしろよ、顔パンパンだぞ俺」



(#)_ゝ`)「つーか、俺も撃てるしビーム」



(^ω^*)「え?」



  ('A`*)「嘘だろオイ」



(#)_ゝ`)「俺を誰だと思ってる?"元"天下七将レインボー7が一人、シャイニング・イエローだぞ」



(^ω^ )「だからなんだよ」



(#)_ゝ`)「必殺技は"シャイニング・ビーム"だ」



(^ω^*)「うおおおおっ」



  ('A`*)「ビーム!!ビーム!!」



( ・∀・)「アイツらビームならなんでもいいのか……」



(ФハФ )「嫉妬か?」



(*・∀・)「そ、そんなんじゃないやい!」



(゜-゜川「なにを馬鹿なことをやっているんだ、お前ら」



 筋肉達が拠点の宿屋へ戻ると、そこには顔をパンプキン・パイのように腫らしたイエローと、彼の仲間のブルー・インディゴが彼らを待っていた。



 イエローはまだしも、インディゴの人が居るのは想定外だ。筋肉や勇者への敵意は感じられないが、彼女が持つ知的な麗人の中にも冷徹さ──あえて品性を投げ捨てて表せば「くっ殺せ!」の台詞がよく似合う佇まい──を踏まえると、理由もなく「お茶でもしましょう」などとは考えにくい。



 用事を訊ねると、彼女は躊躇いもなく、少し焦るような口ぶりで答えた。



  ('A`)「……"虹の玉"を返せ?」



( ^ω^)「詳しく」



(#)_ゝ`)「レッドの身体を治すのに必要なんだと」



(゜-゜#川「イエロー、貴様!なんでそんな他人事でいられるんだ!」



(゜-゜#川「その目で見ただろう!傷ついたレッドの姿を……まだ、意識すら取り戻していないんだぞ!」



(#)_ゝ`)「だから、あんな傷じゃあレッドは死なねぇって。ブルーだって言ってただろ。『今は休んでるだけ』って」



/*回想はじめ*/



(・ω・´)「レッドはだいじょうぶ!ちょっと疲れてるかもだから……まだ眠ってるけど」



(・ω・´)「眠ってるってことは、休んでるってこと!いっぱい眠ったら、また元気になる!」



(・ω・´)「だいじょ、だいじょうぶ!」



/*回想おわり*/



 イエローは眉間を指で抑え、捨てるように言った。



(#)_ゝ`)「あぁ~~インディゴお前、コレまだ痛いんだけど……どんだけ強く殴ってんだよ」



( ^ω^)「そういや、朝より随分と男前になったな?」



(#)_ゝ`)「リアクション遅ぇよ」



  ('A`)「たしかにコイツはいつもナメた態度だが、腫れるまで殴るほどじゃないだろう。なにがあった?」



 彼女は言葉を喉元で逡巡させると、イエローを指さす。微かな震えている。



(゜-゜川「……コイツは私達を裏切ったんだ」



  ('A`)「ほう」



( ^ω^)「裏切りはネオヤマトでは切腹ぞ?」



(#)_ゝ`)「だから違うって!」



(゜-゜川「な!!あぁ!?」



 イエローが声を荒らげる。それがインディゴの感情の(せき)に、亀裂を入れた。



(゜-゜川「ならば何故!あの時、レッドの背後から"シャイニング・ビーム"を撃った!?」



(#)_ゝ`)「ありゃ目眩ました!拡散型のビームにほぼ威力は無いことくらい知ってるだろ?」



(゜-゜川「レッドは戦いで酷く疲弊していた!低威力とて致命傷になりえるかもしれないのだぞ!?」



(#)_ゝ`)「お前らもだろ!だから」



  ('A`)「目眩ましの為はいえ、味方もろともか。承知の上では……ないか」



(゜-゜川「ああ。あの戦いに、そんな連携を取っている暇はなかった」



(#)_ゝ`)「お前らをスイートに送り届けた後、俺が戦場に駆けつけた時は、もう隊員全員ボロボロでな。目眩ましでもして時間を稼がなきゃ、レインボー7は皆殺しだったかもしれない」



(#)_ゝ`)「それに天下七将同士の戦いだ。あれ以上戦えばバベリング・タワーが倒壊する恐れもあった。戦いは早急に止めるべきだったんだ」



(゜-゜川「それが味方を傷つける理由になるというのか!?」



 彼女の言葉にイエローは拳を握り込む。



(#)_ゝ`)「俺たちはレインボー7、お客様の味方……」



(#)_ゝ`)「だったら何よりも守るべきは、タワーに居るお客様だろうが……っ」



(゜-゜;川「!……」



 インディゴはたじろいだ。「お客様の味方」とはレッドの口癖だった。



(#)_ゝ`)「お前らがレッドにどういう指令を受けて武曲達と戦っていたかは知らんが、俺コイツら筋肉共を案内してたからな」



(#)_ゝ`)「最後の指令は"通常営業"だ」




(;・∀・)「知らぬ内に助けられてたんだ、僕たち」



( ^ω^)「こりゃ無礼を詫びんといかんな」



  ('A`)「仲間の命より優先するか……顧客至上主義の極みだな」



(#)_ゝ`)「レッドと俺の立場が逆でも、アイツなら躊躇なく同じことをしただろうな……その場合は多分、俺、死んでるけど」



(#)_ゝ`)「まぁ、俺以外がどうかは知らんが」



(゜-゜;川「……屋台骨を失うわけにはいかんだろう」



(#)_ゝ`)「そん時は俺が繰り上がりで社長になるだけだろう。今もサブリーダーだしな」



(゜-゜#川「貴様っ!それが狙いだったのか!?」



(; )_ゝ`)「い、いや。事実を言ってるだけだが」



( ^ω^)「……分かった。この黄色い奴は、いちいち余計なことまで言うから話がこじれるんだ」



  ('A`)「今の話だって、『同士討ちは許されないとは思うが、レインボー7の信条通り客を優先して、泣く泣くレッドを盾代わりに敵を撹乱させ、タワーの崩壊を防ぎました』とか言っておけば齟齬を生まずに済んだものを」



( ・∀・)「インディゴさんが何も理解していないような口ぶりで話すのはどうだろうと思うよ?」



( ФハФ)「ゴブ林風(りんかぜ)流で会話術を学ばんか?」



(#)_ゝ`)「あれ?思った以上に味方ゼロ」



  ('A`)「しかし、まぁまぁ。藍色女史も落ち着け。コイツだって悪気があった訳じゃ……多分、きっと、恐らく……ない。かもしれない」



(#)_ゝ`)「ほぼ悪意100%の表し方」



  ('A`)「状況証拠だけで断定できないからな。本当にお前が裏切ってる可能性だってある訳だし」



(゜-゜川「……いや」



 彼女は身を直し、イエローに頭を下げた。



(゜-゜川「すまなかった。殴ったこと、疑ったこと……仲間に対しての礼儀を忘れていたようだ、私は。お前は私達や客人の為に動いていたというのに」



(#)_ゝ`)「殴られて当然だと自覚してるから構わんよ」



(゜-゜川「私はイエローを信じる。仲間だからだ。ただ……」



 不意に窓から斜陽が差し込み、二人は目を瞑る。もうじき夜が来る。



(#)_ゝ`)「……」



(゜-゜川「お前が仲間(レッド)を撃ったことは……どんな理由にせよ、ブルー、本人、そして他の仲間が気にせずとも、私はそれへの怒りを忘れられないだろう」



(#)_ゝ`)「おう。懐で温めとけ」



 彼女は口元を歪めて温かい息を一つ。そして筋肉たちへ振り返った。



(゜-゜川「まぁ、そういう訳だ。少々話が脱線してしまったが……」



( ^ω^)「脱線どころか別路線に切り替わって快速特急で終点まで運ばされたというか」



  ('A`)「思えば遠くへ来たもんだ」



  ('A`)「で、なんだっけ?」



(゜-゜川「"虹の玉"を返してくれ。イエローが勇者に預けておけば天下七将に奪われることはないと一計を案じたというが」



  ('A`)「あぁ。それ無理。勇者の腹にズドンして取り込んじゃった」



(゜-゜川「は?」



( ^ω^)「おかげでビームが出せるようになったんだぜ。すげぇだろ」



(゜-゜川「……すまない、話が繋がらないんだが」



( ・∀・)「女神様がパワーアップの為に"虹の玉"と僕の魂を結合したんだ。だから正確には僕の中にある……てことかな」



(#)_ゝ`)「何勝手に使ってんだ」



  ('A`)「俺らがどう使おうが勝手だろうが。元は敵同士だぞ」



(#)_ゝ`)「……取り出せないのか?」



( ・∀・)「無理に魂から剥がそうとすると、僕が死んじゃうらしいので」



(#)_ゝ`)「構わんが」



( ^ω^)「代わりにお前の首も胴から剥がすぞ」



(#)_ゝ`)「まぁ、それで済むなら」



(゜-゜;川「待てイエロー。お前を失う訳にもいかないんだ……なんなら四宝でレッドの身体が治癒する確証も無いしな」



  ('A`)「そうなのか?」



(゜-゜ 川「あぁ。四宝は魔王様の魂に魔族の血を混ぜて造られる。そして"虹の玉"に使われた血は、レッドのもの」



(゜-゜ 川「故にその玉はレッドの生命力を向上させうるだろう……ただ、これはグリーンが以前に"魔王立大学"で学んだ知識を元にした考察に過ぎない」



( ^ω^)「"虹の玉"以外に方法はないのか?武曲なんてアバラ骨ぜんぶ折ってやったのに、当然のように治癒していたようだが」



(#)_ゝ`)「アイツは外れ値だ。参考にならん」



(゜-゜ 川「ただの怪我なら安静にすれば治るだろうが、魔族同士の戦いは魂を削る……そんな知識があるのは……」



 暗くなった部屋で、インディゴの頭上に電球がともる。



(゜-゜ 川「あ」



  ('A`)「心当たりあったか」



(゜-゜ 川「ああ。向かうべきは魔族の知の集積地・"魔王立大学"だ!!」



( ^ω^)「いってらっしゃい」



(゜-゜;川「貴様らも来るんだぞ!」



( ^ω^)「僕ら関係ないですやん」



(゜-゜ 川「いや、関係はある!なぜなら"魔王立大学"は天下七将が一柱、『七賢将』の本拠地だからだ!」



(;・∀・)「!……『七賢将』……」



  ('A`)「外患誘致の罪は重いぞ。完全に魔王を裏切るつもりか?」



 「裏切り?」インディゴは鼻で笑った。



(゜-゜ 川「先に契約を破ったのは向こうだ」



(#)_ゝ`)「……そういや魔女は?さっきから居ないけど」



(・∀・ )「久しぶりに会った知り合いとお茶してるよ」


 王都で一番の大通り。そんな一等地に居を構えるカフェの隅の席。魔女の知り合いはしきりに辺りを見回しながら、コーヒーを啜る。



(;□-□)「いやぁ、まさか勇者(・・)と一緒に居るなんて驚いたなぁ」



 そんな()の態度に冷ややかな視線を向けながら、退屈そうに魔女は訊ねる。



(゜、゜*)「……なんで、こんなトコにいんのよ?」



 鬱憤だとか、怒りだとか、気怠さだとか。そういった負の感情で充満したテーブルから、()は壁に掛けられた絵画を見ながら、その字面だけすくい取った。



(;□-□)「あー、仕事だよ。出世は嬉しいけど、色々と面倒事も増える」



(;□-□)「心配してた(・・・・・)んだぞ……ずっと頭を抱えてる」



 それ(・・)は私に対してじゃない。魔女はもう諦めていた。



 眼の前の舌打ちにも、彼は気づかない。



(;□-□)「『七賢将』の()が勇者の仲間だなんて!」



(゜、゜*)「今さら父親面しないで。クソ親父」


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