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第10話 レインボー交渉術!!勇者とは……明かされる事実!?


(´<_` )「君らも天下七将にならないか?」



( ^ω^)「断る」



(´<_` )「つれないね、どーも」



(・ω・´)「天下七将になれば、お金も地位も名誉も、好きなだけ手に入るぞ?」



  ('A`)「あいにく、それらにゃ困ってないんでね。帰っていいか?」



(・ω・´)「……」



(`・ω・)「交渉失敗だ!こりゃ引き入れるのは無理そうだぞ!」



(´<_` )「まぁ、だろうと思ってたよ。うん」



     ( ´_ゝ`)「"南門天"さんにはどう伝えようか?」



     ( ゜∀゜)「そう急いで報告することでもないだろ」



 秘密基地に着いた筋肉たちは、ガラス張りで眺望の良い場所に置かれた、簡易的な応接スペースに案内された。小さな木製のデスクを挟んで、正面にはレッド。そのよこにブルーがちょこんと座り、それ以外のメンバーは周りに立ちながら、各々が話したり、レッドとの会話に割り込んで参加したりしている。



(´<_` )「そんじゃ、天下七将云々は置いといてよ……君らにゃ色々と訊きたいことがある。質問にくらいは、ご回答願えるよな?」



( ^ω^)「問いによるな」



(´<_` )「何故、異世界の人間(・・・・・・)が勇者に味方している?」



(;^ω^)「ッ!?」('A`;)



  (;'A`)「な、何を言っている?異世界?」



   (゜-゜川 「とぼけても無意味だ。『異世界転移』という事象には前例があるんだ。『ステータス数値化』魔法で貴公らを分析したところ、過去の転移者と同様の、特異的な状態が観測された」



   v‐_‐`w「インディゴ。それは企業秘密だ」



   (゜-゜川 「構わぬだろう。知った所で、どうにもならんのだ」



(´<_` )「要は君らが異世界人だって、こっちはとうの昔から分かってるってことだ。だからこそ疑問が沸く。君らは勇者と魔王、ひいては人間と魔族の対立など知らないだろう?」



( ^ω^)「まぁ、たしかに」



  ('A`)「この世界に来た直後、ゴブリンに不意を打たれた俺等を身を挺して守ってくれたのが、勇者だ」



    (゜∀゜ )「ははぁ。そのご恩を返すために、勇者に手を貸しているって訳か?」



( ^ω^)「概ね、その理解で問題ない」



    ( ゜∀゜)「じゃ、あれか?勇者が俺たちと手を組むと言ったら、お前らも従うってことか?」



  ('A`)「それの選択にもっともな理由があれば、そうしよう。でなければ勇者を諫め、それでも意見が割れるのであれば去るしかない」



(´<_` )「理由ねぇ……」



 レッドはわざとらしく顎を撫ぜた。



(´<_` )「この人間と魔族の戦争、どちらに大義があるか……とか俺が言っても通じないよな?」



  ('A`)「無論。人間側の大義名分を人間の口から聞かねば意味がない」



(´<_` )「じゃ、勇者が人柱みたいなモンだと言ったら?」



( ^ω^)「……」



  ('A`)「……勇者も、彼の住む国の王の臣民、所詮は駒の一つである。それは理解しているつもりだ。納得はしていないがな」



(´<_` )「俺の口から出た言葉を信じてくれるって訳か。ありがたいね」



( ^ω^)「勇者の口から聞いたのだ。ただの町人が神託により勇者に選ばれ、魔石集めに駆り出されたのだと。しかし、これを人柱と呼ぶには無理があるんじゃないか?」



(´<_` )「そこまで知ってんのか。じゃ、その後は?」



( ^ω^)「その後?」



   (゜-゜川 「ならば。勇者が隠しているか、もしくは勇者には教えられていないか……」



  ('A`)「ん?ちょっと待て、何故勇者が知らないかもしれないようなものを、お前らが知っているんだ?」



   (・ω・´)「知らねぇのか?俺達ゃ魔族人間関係なく商売してんだぜ?」



  ('A`)「それはギルドの大将から聞いた。それがなんだ?」



(´<_` )「人間界でも何十年も前から『日傘商店』という名前で百貨店を経営している。今は戦争中で表向きは全店休業中だがな。ちなみに俺が社長ね」



   (゜∀゜ )「だから人間界にも幅広くコネがあんのよ。こっちが求めりゃ、スパイなんかより早く正確な情報が手に入る」



(´<_` )「そーいうこと。で、話は戻るけど勇者が人柱ってのはだな……」



(´<_` )「あ、これ教える代わりに手を組まない?君らと俺たちレインボー7で」



( ^ω^)「そんな思いつきに『はいそうです』とはならんだろう」



  ('A`)「そんなら勇者に聞くわ」



(´<_` )「それもそうか」



(´<_` )「じゃ、教えてやるよ。勇者ってのは"旗"だ。"旗手"じゃないぞ。"旗"そのものね」



  ('A`)「旗?……なんのだ?」



(´<_` )「そりゃ勿論、人間の」



(;^ω^)「すまんが、二人だけで分かり合わないでくれないか」



(・ω・´)「そうだ!さっきから何言ってるか分からんぞ!」



   (゜∀゜;)「お前は分かってろよ……」



(゜-゜川 「説明無精のレッドの代わりに説明しよう。勇者は人間たちの団結の象徴。魔王vs勇者という二項対立を作り、打倒すべきは魔王であると分かりやすく喧伝する為の旗印」



(´<_` )「そうそう。そんな感じのことが言いたかった」



(゜-゜川 「人間たちは、勇者という『不幸にも(・・・・)神に選ばれた小市民』が、『自己犠牲の精神で魔王と戦っている』と知っている。知らされている」



(゜-゜川 「勇者が戦っていると聞いた人々は、何を思うだろうか?」



    (・v・*)「『ああ、可哀想に。なんて魔王は酷い奴なんだ』と井戸端会議でお婆さんが市井の怒りを顕にする」



   (・ω・´)「『勇者がんばれー!』と子供達は応援するな」



   v‐_‐`w「知識人が国の首脳部を『前時代的だ』と批判するならば、勇者は彼らに進歩のきっかけを与えたといえる」



   ( ´_ゝ`)「落伍者は『自分はまだマシ』だと奮起する」



   (゜∀゜ )「前線で戦う兵隊にとっちゃ、孤軍奮闘する勇者の存在が、自らを鼓舞してくれるだろうな」



(´<_` )「俺なら『自分でなくて良かった』と安心して、隠れて神に感謝するけどな」



(゜-゜川 「レッドの話は聞いていない」



(゜-゜川 「勇者は人々の心を動かす力を持っているんだ。プラスの方向にな。言うなれば『勇気を与える者』だな」



( ^ω^)「ふむ。勇気を与える者か」



  ('A`)「その力を、元々アイツは持っていたのか?」



(´<_` )「そんな人間は居るわけないわな。勇者に選ばれた後、神に与えられるんだと」



   (゜∀゜ )「さて。ここで一つ面白い小話。魔王と人間が長い戦争を初めて何百年。魔王は何度も人間を滅ぼす一歩手前までいったが、その度、人々は獅子奮迅の大奮闘で劣勢を巻き返してきたんだが……」



   (゜∀゜ )「その起死回生には共通点がある。なにか分かるか?」



( ^ω^)「勇者が民衆の旗手となり、敵軍を蹴散らした!」



   (゜∀゜ )「残念。それよりもっと"奇跡"に近い」



  ('A`)「勇者が死んだんだろう?」



   (゜∀゜ )「さすが。ちなみに魔王が殺したのかは分からねぇけどな」



  ('A`)「なるほど。人柱って表現も納得だな」



 しばしの沈黙を置いて、レッドが口を開く。



(´<_` )「……さて、もう一度聞こうか」



(´<_` )「君らも天下七将にならないか?」




( ^ω^)「……」



( ^ω^)「……」



( ^ω^)「……断るッ!!」




(゜∀゜;)「おい!ここは『なにッ!?真の敵は人間だったのか!』からの……」



(;´_ゝ`)「『筋肉は激怒した!』からの……」




(゜-゜;川 「『勇者を守るためには、腐った人間の王を打倒せねば!』ではないのかッ!?」



  (;'A`)「いや、だから一方の話だけを聞いて判断はできないって言ったじゃん」



(・ω・´)「俺たちの『謎の筋肉2人は実力的に倒せそうにないから、言葉巧みに丸め込んで標的を人間に変えようぜ』作戦がッ!!」



   v‐_‐`;w「あ、バカ!」



  ('A`)「全部言ったな」



(;^ω^)「っふー……危うく騙されるところだったぜ」



(´<_` )「大した奴らだ。商談で鍛えた交渉術が相手にならねぇ」



  ('A`)「交渉なんてしてねぇだろ」



(´<_` )「……」



  ('A`)「……」



(´<_` )「ま、勇者が600階に到達するにはまだまだ時間がかかりそうだし、気長に勧誘し続けるよ。取引先(・・・)からの依頼だしな」



  ('A`)「取引先?」



(´<_` )「すまないが、さっき急に来客の予定が入ってな。また教えてやるよ」



( ^ω^)「その客とやらが取引先か?」



(´<_` )「下の階に経営するホテルのスイートルームがある。とりあえず、勇者がバベリング・タワーを攻略するまで、そこに泊まってもらう……イエロー」



 筋肉がソファに座るレッドの肩越しに後ろにある扉を顎で指したが、彼はそれを無視した。



( ´_ゝ`)「仕方ねぇな」





 イエローに連れられ、秘密基地を後にする筋肉達。彼らがエレベータに乗ったことを見届けると、レッドはリラックスしたようにソファの背に腕をかけ、面倒くさそうに振り向いた。



(´<_` )「……それで、さっきからコソコソと何をしているのは誰だ?」




;`・Д・)「あ、ヤッベ!」



(´Д`;)「貪狼、てめぇ大きな声出すな!」






(´<_`;)「……なんだ七星将のへっぽこコンビか。ここは従業員以外立ち入り禁止だぞ」



 扉ごしに慌てふためく声を聞き、ため息を漏らしたレッドだったが、扉を開けて現れた"3人"を目に入れると、すぐに気を取り直すことになった。



(,゜Д゜)「まぁまぁ。同じ天下七将の仲間じゃないか」



(゜-゜;川 「武曲殿ッ!?」



(´<_` )「なんだ、やっぱりアンタもいたのか」



(´<_` )「で、何の用?」



(,゜Д゜)「なに。ただのご挨拶だ。せっかくバベリング・タワーを使わせてもらっているんでな」



(´<_` )「あ、そう。イエロー、お茶でも出してさしあげろ」



(´<_` )「……イエロー?」



(゜∀゜;)「イエローはさっきお前が案内に出しただろ」



(´<_` )「あ、そっか。じゃあヴァイオレットで」



(・v・*)「お茶菓子、なにか残ってたかしら?」



(・ω・´)「羊羹の期限が昨日だったぞ!」



(・v・*)「丁度いいわね」



;`・Д・)「そういうのは裏でやれ!」



;`・Д・)「……」(´Д`;)



(´Д`;)「いや、裏でもやんな!」

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