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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
11章 異世界とちびっこ三人組編
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99話 最悪の誕生日パーティー ~捜査編~


 警察に連携してから約20分後、純也は到着した鈴木と今回の事件の担当になった速水(はやみ)洋一(よういち)警部に状況を説明する。

 被害者は飯田隼人、鑑識官によると死因は毒と思われる、犯人は何らかの方法で体内に取り込んだ可能性がある。まず鈴木は並んでいる料理を疑ったがミーア達は「その料理達は直美姉ちゃんと一緒に全部一通り食べたから毒なんてないよ」と語る。


 「直美さん、本当ですか?」

 「はい、おっしゃる通りです……」


 直美は恥ずかしくて顔を下に向ける。彼女達の証言が正しいのは間違いないだろう。もしこの並んでいる料理に最初から毒が入っていたのなら飯田以外にも症状が出ているはずだ。

 

 ということは、犯人はどこかのタイミングで料理に毒を盛って殺害したと考えられる。

 次に鑑識官は飯田が食べていた料理を調べた結果、毒はサンドイッチに盛られていた事がわかった。

 そしてここに参加している全員の持ち物はロビーで預けてから会場に入っているらしいので、速水は部下達に全員の所持品検査を確認するように指示する。


 次に鈴木は飯田と同じテーブルで食事していた人物に事情聴取を行う。同じテーブルにいた人物は小谷拓也(こたにたくや)大下(おおした)小百合(さゆり)原田(はらだ)彰人(あきと)の3人である。この三人は飯田が率いる同じ営業部のチームメンバーだ。


 まず、小谷は飯田に適当に料理を持って来てくれと頼まれて彼は飯田が好物であるハムときゅうりのサンドイッチ、後は適当にチキンスープとパスタを持って来て自分の分と一緒に食べたと言う。

 飯田とはとある企画で揉めていた事があったがだからといって殺そうなんて思ってないと言う。


 次に大下は小谷とは別に全員におしぼりを持って来て次にワインを飲もうと全員のグラスにワインを注いだ。

 飯田とはよく彼の指示通りに動いて仕事をしていた仕事仲間だそうだ。

 そして彼女のポケットには頭痛薬が入っているケースがあった。


 「このケースに毒が入ったカプセルを忍ばしてサンドイッチに毒を盛ったんじゃないか?」

 「ち、違います!」


 確かにカプセルに毒を入れてサンドイッチに毒を盛ることは可能だが、粉末状の薬品が入っているカプセルなら、わざわざサンドイッチにしなくてもワインに入れた方が効率いい。液状が入るソフトカプセルだとサンドイッチに毒をしみこませてもカプセル本体が何処にあるはずと純也は考えた。


 最後に原田はこの飯田と共に会場を予約した人物であり、このテーブル席を選んだのも彼だ。

 彼と飯田は仲が良く、仕事終わりには飲み屋に行って企画や案件の話をしていたらしい。

 

 他の参加者にも事情聴取と所持品検査を行っているが被害者の死亡時刻や犯行時間を考えるとこの3人が怪しい。

鈴木は小谷が一番怪しいと考えて彼がいた席や周囲を調べる。テーブルの下には何もない。椅子を調べると座面と背板の付け根の間に隙間があり、そこに手を突っ込むと小瓶を見つける。


 「これは?」

 「そんな物知らん!」

 

 鑑識官はこの小瓶を見て毒と証言した。

この毒はストリキニーネという非常に毒性が強く、日本では毒物及び劇物取締法により毒物に指定されている。

 鈴木はこれを使用して小谷は飯田が食べようとするサンドイッチを持って来て毒を盛り飯田に食べさせたのではないかと考え彼を連行しようとする。





 一方、直美は今回の事件について疑問に思い何かはわからないが、違和感がした。

 そして違和感がしたのは彼女だけでなくミーア達は部屋の隅っこでひそひそ話をする。


 「私、レイ兄ぃ達と暗殺任務に出たことあるけど普通毒殺や暗殺するならその証拠を隠すのではなくて処分すると思うのよ。時間がなくて隠すしかないなら話が別だとしてもあんな身近な場所に隠したら私が犯人ですって言っているようなものだわ」

 「つまり犯人は別にいるってこと?あの椅子に予め毒が入った小瓶を仕込ませて自分以外の人を犯人にする為に……」

 「じゃあ仮に犯人が違ったとしてどうやってやったんだろう?」

 「私達で調べてみましょうよ」

 

 ラーシャはこの会場にいる人達に気づかれないようにネズミ型の眷属を召喚して会場を調べる。

 ミーアとラルマは被害者が座っていた椅子や料理が並んでいるところで何かないか隅々まで探す。しかし、途中で警官に捕まって直美がいるところまで連れていかれた。

 

 「ちょっと、何をしているの?」

 「みんなで犯人を探しているの」

 

 ミーアの発言で直美は啞然とするが、同時にこの違和感に気づいたのが自分だけじゃないと少し安心する。

だが犯人が別にいるという証拠をどうやって見つけるのだろうかを尋ねるとラーシャが直美の袖を引っ張って指をさす。その方向は被害者達がいたテーブルだった。ラーシャは直美の耳元で囁くとなるほどと納得する。


 「ねぇ、直美姉ちゃん。お願いがあるんだけど」

 「何?」

 「今回の犯人さんが使った手口がもう少しでわかるから、それを警察の人達に説明してほしいの。私達だと子どもだからって理由で誰も信じてくれなさそうだし……」

 

 ミーア達が言っていることもわかる気がするが、私の言葉が通るのかはわからない。しかしこのまま真犯人の思い通りになるのはさせたくないと思う。直美はミーア達のお願いを聞き入れた。ラーシャは入手した情報を話し真犯人が誰かを説明したのだった。





 10分後、警察が小谷を連行しようとすると「ちょっと待った!」とミーア、ラルマ、ラーシャが通せんぼした。

 

 「君達、そこをどきなさい」

 「えっと……その前に直美姉ちゃんから皆さんにお話しがあります」

 

 全員、直美がいる方向を見る。こうも視線が集まるととても緊張する。直美はゆっくりと深呼吸して口を開いた。


 「まず、皆さんのお時間を私にください。今回の事件、犯人は別にいます」


 直美の言葉で全員が驚く。純也は直美に本当なのかを尋ねると間違いないと断言する。

 

……いったい犯人は誰なのだろうか?

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