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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
10章 オペレーション・スターダスト編
87/150

87話 紫炎の魔竜


 一方その頃、真理達はイスフェシア城に辿り着きマリーを探す。ゼルンが言うにはマリーは地下にいるらしいがイスフェシア城の地下といえば地下牢獄かウインチェルや魔術師が使っている研究室のどちらかになる。

 二手に分かれてウインチェル、モーレア、アルメリアは研究室に向かい、真理、レナ、エレオノーラは地下牢獄に向かうことにした。


 メイドや騎士達の目もあるので真理はウインチェルの魔法で服装をドレスに着替える。地下牢獄に行く途中、騎士達にゼルンの行方を聞きながら向かうが誰も彼の姿を見ていないらしい。

 地下牢獄に到着すると牢獄には誰もいなかった。だけどこれはおかしい状況でもある。この地下牢獄にはイスフェシア皇国で罪を犯した者、死刑判決になった者を捕らえていたはずだ。

 

 辺りを探索するが、特に目立った物はなくこれ以上ここにいても発見は出来そうにない。他を当たるとしよう。

 

 

 

 

 視点は変わりウインチェル、モーレア、アルメリアの3人は研究室に向かうと魔術師達が戦闘時や生活などに役立つ新たな魔法の開発に励んでいた。

 ゼルンを見ていないかを魔術師達に聞いてみると一人の魔術師はついさっき王宮の間に向かったところを見たと言う。

 ウインチェルは真理に連絡石を使って王宮の間に合流しようと伝え、3人は王宮の間に向かった。

 そして、王宮の間に集まるがそこにゼルンとマリーの姿は見当たらなかった。

 

 「あの変態科学者はどこに行きやがった!」

 

 モーレアは苛立ちを隠せず壁を殴る。真理は皆でこの周辺を探索しようと提案し壁や玉座などを調べ始めた。

 するとエレオノーラが玉座の後ろにある壁に変な紋章があることに気付きこれは何かとウインチェルに尋ねるとこのどうやらこの紋章に魔力を加えると何かが発動する仕組みになっていることが分かった。

 早速ウインチェルは紋章に魔力を流し込むとゴゴゴゴゴッと玉座が横に移動し下へと続く階段を発見した。


 「こんな仕掛けいつの間につくったのかしら?」

 「きっと変態科学者さんの仕業ですね。皆さん気を付けて進みましょう」


 レナは銃を構えながら先に前に進み。後からエレオノーラとモーレアが続く。

 

 

 

 

 しばらく階段を下るとそこには見たことない巨大な魔法陣が描かれている広場へと辿り着く。辺りを見渡すと透明の棺桶……というよりもカプセルがかなりの数で並んでいる。中には人が入っており下には魔法陣へと続くケーブルがある。

 

 「よくここまで来たね。私専用の実験室にようこそ」

 「変態科学者!」

 「いきなり酷いことを言うね。せめて博士と呼んでほしいものだね」

 「黙りなさい!マリー様を返してくれれば命だけは見逃しておいておくわ」

 「アルメリア君、君は私達と同じ能力者で理解者だと思っていたのだが残念に思うよ。今一度考え直して帝国に就く気はないかい?」

 「私は最初からマリー様の忠実な僕、あなた方に従う気はこれっぽっちもないわ」

 「そうかい」

 

 ゼルンは巨大な魔法陣に試験管を投げると魔法陣が輝き始めた。試験管の中は血が入っていたようだ。

 そして同時にカプセルも光り出し、中にいた人は粒子になってケーブル経由で魔法陣に吸い込まれていく。

 

 「あのカプセルにいた人達はまさか!?」

 「ああ、地下牢獄にいた囚人共と私に刃向かったイスフェシアの民達だよ。さあ目覚めろ私の研究成果よ!」

 

 魔法陣から一体の竜が現れる。


 「ニヴルヘイム・バハムート、かつて大陸一つを滅ぼした魔竜だ。そしてこの魔竜にイスフェシアの女皇(マリー・イスフェシア)の魔力とマジックパウダーの力が合わされば!!」


 ゼルンは物陰からマリーを担いで魔竜に近づいてく。レナが銃でゼルンの頭に目掛けて撃つと弾丸はゼルンから逸れて行った。


 「何故!?」

 「無駄だよ。コンダート王国の犬共が来ると分かっていたので相手の飛び道具などの攻撃を逸らす魔法『グラビティ・プロテクト』を発動している。ここではチートじみた攻撃、行動は慎んでもらおう」

 

 ゼルンはマリーの体を魔竜の腹に押し込み、マジックパウダーを液状にして入っている注射を刺す、するとマリーは取り込まれ魔竜は目を覚ます。

 

 「ギャオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」

 「さぁニヴルヘイルよ、手始めにこの国を滅ぼしてもらおうか」


 全身から紫色の炎を纏い、魔竜は辺りを破壊し始めた。このままでは城が崩してしまう。

 

 「まずい、ここを離れるぞ!」

 「でもマリー様が!」

 「ここでマリー様を救出できても、その後は皆で仲良くあの世行きになっちまうよ。急げ!!」


 急いで王宮の間から離れると魔竜は城の天井を壊しながら空へと羽ばたきベリアへと飛んだ。

 

 

 

 

 一方、ガイルはイスフェシア城に向かっている途中、ソルジェスのギルド長ディズヌフに会う。


 「おうガイルじゃあねぇか、どうしたそんな物騒な剣持って?」

 「ディズちゃん!今大変なのよ。マリー様を救おうとしたら帝国兵に襲撃されて」

 「何!?」


 ディズヌフやソルジェスのメンバーはアルメリアに今までのマリー女皇が真理だった事と今のマリー女皇が本物で帝国に洗脳されていることを教えてもらっている。事情を知らない今の国民達の視点から見ればマリー女皇は帝国と和平を結び、帝国にこの国を好きにさせているようにしか見えない、その為ソルジェスの傭兵達はいつでも帝国との戦闘ができるように準備をしていたのだ。全ては平和だったイスフェシア皇国を取り戻す為に。

ディズヌフも共にイスフェシア城に向かおうとした時、空から紫色の炎を纏った竜がこちらに向かって来ている。

 

 「何よ、あれ?」

 

 竜は口から火球を四方八方に放ちベリアの建物を壊し始めた。

 

 「おいあの竜はイスフェシア城から出てきた様に見えたがお宅らの飼っているペットか?」

 「そんな訳ないでしょ!そんなことよりも今はこれ以上被害が拡大しないように手を打たないと!」

 「まずは一般人の避難が最優先だな、ソルジェスに戻って傭兵達を集めてくるぜ!」

 「任せたわよ!」


 ディズヌフがソルジェスに向かうとガイルは近くにあったボールを拾うと魔力を込めてボールの耐久性を強化し自身に肉体強化の魔法を掛けて思いっきり飛んでいる竜のところまでぶん投げた。しかしボールは竜のところまでは届かなかったが竜の目はガイルを認識し火球を放つ。

 

 「なめるんじゃあないわよ!…………ふん!!」


 ガイルは持っている剣で火球にフルスイングをすると火球は返され竜に直撃した。怒りを覚えたのか竜はガイルに襲い掛かってくる。

 ガイルは人気が少ない所まで全力で走って行く。おそらくソルジェスの傭兵達は一般人をエンザントに避難させると思うので、その反対方向に逃げれば負傷者や死者を抑えることができる。

 竜は火炎放射で街を焼きながらガイルを追いかける。

 

 「このままでは追いつかれるわね。何とかしないと」


 逃げる途中で竜に目掛けて魔法による攻撃が飛んで来た。飛んで来た方を向くとワイバーンに乗ったウインチェルとアルメリアが魔法で援護してくれたようだ。


 「ガイルさん!お待たせしました!」

 「ウインチェルちゃん!アルメリアちゃん!」

 「このまま真っ直ぐ進めば畑に出ます、そこなら人を巻き込むことはありません!モーレアさん達も直ぐに向かっています!」

 「わかったわ、ありがとう!」


 竜の火球、火炎放射を避けながら走り続けるとウインチェルの言う通り広い畑に出た。ここでなら一般人の被害を抑えることができる。

 後ろを振り向いて反撃の姿勢をとり、魔法で竜を攻撃する。ワイバーンから降りてウインチェルは竜に索敵魔法を使ってマリーがいる場所を特定する。

 

 「ガイルさん、くれぐれも心臓部に攻撃しないでください!そこにはマリー様がいます!」

 「なんですって!?」

 「とにかくその竜を弱らせてください!」

 

 何か方法を知っているのか、それを信じてガイルはアルメリアに動きを止められないかを聞く。彼女は承知して竜の足に目掛けて魔法を放つ。

 

 「『フリーズ・ウィンドウ』」

 「『ローゼス・ストーム』!」

 

 二つの風が竜を襲い足元を凍らせるとガイルは竜の背後に周り剣を刺す、そして能力を使い魔力と体力を吸収する。

 竜は全身に纏った紫炎を放出し凍った足の氷を溶かして刺さった剣を飛ばした、炎は空高く飛び散って雨の様に降る。その炎の雨に耐えながらガイルは飛ばされた剣を回収し再び竜に剣を刺す。竜は激しく暴れてガイルを振り払うと上空に飛んで逃げようとする。

 

 「まずいわ!」

 「いえ、大丈夫です。あの竜が逃げようとした時の為に彼女達を遅らせて来たんですから」

 

 竜が逃げた先にはワイバーンに乗ったモーレアと真理、レナとエレオノーラの二組が待ち構えていた。

 レナとエレオノーラはMP7というサブマシンガンを構え連射する。無数の弾丸が竜の腹に命中し怯んだ隙にモーレアは持っている大剣に魔力を込めて刀身を大きくし、まるで斬馬刀の様な形状になる。


 「これで止めだ、マリー様を返してもらうぜ!!」


 竜とすれ違う瞬間にモーレアはその首を切り落とした。体は畑に落ち、首は塵になって消滅した。


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