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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
9章 クロスオーバーガンセイバーズ編
73/150

73話 ティータイム

 一方、視点は変わりウェルフェナーダの北には小さなコテージがある。その中でとても香ばしい紅茶を飲むラピスとレイブンが地図を見ながら寛いでいた。


 「ん~、この紅茶美味しいな」

 「この紅茶、ラーシャちゃんが中佐殿の為にコンダート王国から買ってきてくれたのですよ」

 「あの子は本当に出来た子だよ、今度プレゼントを買って来てやらないとな……何が良いと思う?」

 「それでしたらぬいぐるみはいかがでしょうか?中佐殿のプレゼントなら喜びますよ」


 とても戦場の地にいるとは思えない程になごんでいるがコテージの外には帝国の最強とも言える兵器“ジンマ”が地面に黒い影を伸ばしその影から魔物が次々と召喚され、召喚された魔物達はゆっくりと南へと進んでいく。


ドカーンッ!!!


 コテージから遠くの場所で爆発音が聞こえる。おそらくコンダートの兵器によるミサイル攻撃だろう。一応このコテージが直撃しないように離れた地には相手の距離感を狂わせたり相手レーダーを誤認させたりする粉をばら撒く帝国が発明した魔法『フェアリーフェイク』を仕掛けている、いわゆるチャフみたいな魔法だ。


 「人がティータイムを満喫しているのに、うるさい奴らだな」

 「使い魔で調べてみるとゲルシュタインから攻撃をしているみたいですね」

 「遠くからちまちまと臆病者め、おいジンマぁぁ!!」


 レイブンが外に出てジンマに叫ぶとそれに応じるかのようにジンマは雄叫びをあげる。

 ラピスが召喚した使い魔が映し出したミサイルの位置を特定するとその方向に指を刺す。


 「あのうるさいのを黙らせろ!」


 ジンマは口を大きく開けると口に光が集まり、やがて光は巨大な球体になり直径60mの光線を放つ。その光線は山を貫通して空の彼方へと飛んでいったが破壊した山の一部が崩れ、一気に斜面を滑り落ちていき、遠くからでも見えるほどの土煙を上げていた。

 しばらくするとさっきまで飛んできたミサイルは飛んで来なくなった。

 おそらく先ほどの崩れた土砂に飲まれたか、危険と判断して逃げていったのだろう。


 「ったく、少しはこの戦場(ゲーム)を楽しめよ。速攻で終わらせに来るとか萎えるだろ」

 「さぁ中佐殿、ティータイムの続きをしましょう。よろしければサンドイッチも用意していますのでいかがですか?」

 「お、食べる!ラピスが作るサンドイッチ美味いんだよな~」

 「まあ中佐殿ったら、嬉しいですわ」


 ラピスは少し照れながらコテージに戻りそれに続くようにレイブンも入っていった。





 一体何が起きたのだろうか、一瞬光ったかと思うと山の一部が爆発し、その後轟音と共に大量の土砂が一気に山の下まで下っていった。

 その先には地対地ミサイル部隊が配置されているのだが、山の土砂に埋もれてしまったのか連絡が途絶えていた。


 「損害状況は!?」

 「山の近くに配置している地対地ミサイル部隊と近くで待機していた機械化歩兵師団第一大隊との連絡が取れません!!」

 「さっきの光はいったいなんなんだ!?」

 「わかりません、レーダーでは探知出来ませんでした」


 師団長や周辺にいた幹部もあまりにも急展開であったため頭の処理が追いつかない様子だ。


 俺はその会話を聞いて、レーダーでは探知できないほどの長距離攻撃、そしてあんな巨大な光線を出せるとしたらあの巨人ぐらいしか思いつかないと思った。


 そしてある考えに至った俺は、師団長に提案をした。


 「師団長、航空機を低空飛行で敵の攻撃してきた場所に近づかせることは出来ませんか?」

 「航空機を空軍に要請したら出すことは出来ますが、そんなことをしてどうするつもりですか?そもそもどこにいるかもわからないんですよ?」

 「それだからこそです!どこにいるかわからない以上、探さないともう一度あの攻撃を今度は直接受けるかもしれないんですよ?そうなったらひとたまりもありません!」


 今度同じ攻撃を受ければさらに被害が拡大してしまう。

とはいえ大部隊を預かる師団長としては、無闇に部隊を派遣したくないという気持ちからか、その提案に頭をたてに振れずにいた。


 「彼の言う通りだと思うよ、早く探さないとまた被害を受けちまう。奴らの攻撃一つにビビッてどうする?今こそ王国の力を奴らに見せてやるときじゃないのか?」


 中々首を縦に振らない師団長に対して、エレザがしびれを切らし発破をかけた。


 「た、確かにそうですね……、おい!こちらに一番近い航空機は?」

 「近くに我が師団の支援の為に飛んできている第123陸軍航空隊と第901飛行隊がいます」

 「すぐに敵が居ると思われる方向に偵察を要請してくれ。それと戦闘ヘリ部隊にはなるべく低空で飛ぶように伝えてくれ」

 「了解!」


 ようやく踏ん切りついた師団長は、第123陸軍航空隊(戦闘ヘリ部隊)に低空飛行で敵に接近するように、第901飛行隊(F-15戦闘機)にはさらにその先に他の敵や帝国軍の陣地が無いかを探らせるように要請した。


 しかし何故、地対地ミサイル部隊がいる場所が敵にバレてしまったのか?

 レーダー探知機には敵は検知しなかったはずで、先程のボーンビーみたいに敵を発見したら一匹残さず即座に抹殺していたのだから生き残って情報を持っていかれた形跡もない。


 「ひとまずはこのまま進軍を続ける。各隊は引き続き警戒せよ」

 「「了解」」


 複数の戦闘ヘリは高度を下げてウェルフェナーダに入った。

 辺りは山が多く山を越えた先は荒野が続いている。おそらくだが先程みたいに地対地ミサイルを配置させたところで敵の光線で撃沈させるだろう。ここからは慎重に行動をしなければならない。



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