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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
1章 異世界へGO編
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7話 過去とオカマと現状

 空はすっかり暗く、夜になり、町は街灯で明るく、商店街は賑やかになっている。どうやら祭りがやっているらしい。オゼットとラルマは出店のホットドッグを食べながら目的の店に向かう。


 「ここがガイルさんの店だよ」


 ラルマが目の前の店に指を指す。そこには『ネバーランド』と書かれたおしゃれなカフェがある。店の窓を除くと祭りの影響か、お客はあまりいないようだ。オゼットはラルマと一緒に店に入る。


 「いらっしゃ……あら、ラルマ君じゃないの、こんばんは」

 「こんばんは、ガイルさん」


 ラルマと話しているとても筋肉質で大柄な人物がガイル。何か喋り方に違和感を感じる。


 「さ、奥の席に座って、お冷持って来るから待ってて」


 ガイルが席を案内し、その席に座る。ガイルはお冷とメニュー表を持ってきて二人に配る。オゼットを見て『お友達?』とラルマに尋ねるがラルマは『そうだよ!』と答え、オゼットがミーアによって召喚された勇者だと紹介する。


 「へぇ、ミーアちゃんが召喚した別の世界の勇者ね~。あたしはガイル・ディクソン。ここのカフェの店長よ、よろしくね♪」


 オゼットは軽く自己紹介をし、モーレアが言っていた“陛下が帰ってきた”ことを伝える。


 「え!?マリー様が!? ……帰ってきた噂は本当だったみたいね」

 「どういうことです?」

 「あら、聞いてない?女皇様はね、ある事件で行方不明になったのよ」

 「!? 詳しく教えていただけますでしょうか」


 ガイルはコーヒーとココアを持ってテーブルに置く。ラルマはココアをフーフーしながら飲む。


 「…あたしは昔、この国の騎士団の隊長でマリー様に仕えていたの。そしてある日、マリー様とあたし達騎士団とモーレアは、テレン聖教皇国の皇帝と首脳会議を開き、平和条約と軍事同盟を結んだ。そしてイスフェシア皇国に戻る途中に突然、道中に黒いフードに仮面を被った奴が現れたのよ。あたしはその男に道を開けなさいって言ったのだけれど、そうしたら、いきなり後ろにいた部下たちが殺されて、あたしとモーレアはそいつが敵と判断し、剣を振った瞬間、あたしは何故か倒れていて、モーレアは近くにあった木の下に倒れていたのよ。何が起きたのかはわからない。その男はマリー様を攫い、姿を消したわ」


 「その仮面の男とは一体……」


 「わからないわ。その後、あたし達は何とか城に戻り、捜索部隊を送ったのだけれど数日後、部隊全員がバラバラの死体となって発見されたと報告があったわ。」


 オゼットとラルマは沈黙する。


 「そして騎士団は仮面の男のせいで半壊、女皇がいなくなった事で皆辞めていってあたしも騎士団を抜けて今はカフェの店長をやっているってわけ」


 ラルマは口を挟む。


 「そして僕とミーアちゃんでマリー様を探していたら一昨日、山の奥の所で倒れていたんだよ!怪我をしていたからその後すぐにお城に戻ってアルメリアさんの所にいって診てもらったら、打撲と脳震とうって言っていてマリー様、僕達の事を覚えていないって…」

 「記憶喪失になっているのか。ガイルさん、マリー女皇が誘拐されたのはいつ頃ですか?」

 「今から一ヶ月前の話よ」

 「そして一昨日に女皇が山に奥に倒れていた。……確か、テレン聖教皇国からイスフェシア皇国までは草原だったはず、何故攫われた草原からまったく別の場所である山で見つかったのでしょう?そして一ヶ月も何をしていたのだろうか?」


 オゼットは何かが引っ掛かったようで考え始める。


 「マリー様に聞いてみたけど、全然覚えていないみたいなんだ。後、ガイルさん、もーちゃんが帰ってこいって言っていたよ」

 「でも、あたしにはこの店の営業があるから。…残念だけど、騎士団には戻らないわ。でも、もう一度マリー様にあって話がしたい」

 「では一緒に来ていただけますか?」

 「店を閉めたら城に向かうから、先に行ってちょうだい」


 ガイルは、席を外して店の締め作業を始める。オゼットはコーヒーとココアの代金(盗賊から巻き上げた)を支払うが、止められる。オゼット達は城に向かう。





 イスフェシア城に戻り、王宮の間に着くとマリー、ミーア、ウインチェル、モーレアがいる。しばらくしてガイルが合流し、マリーを見た瞬間、膝をついてマリーの無事な姿を見て涙を流す。マリーは全員が集まった所で、テーブルに置いてあった地図を開き、イスフェシア皇国の現状と今後について話す。


 「今、私達の国はテレン聖教皇国に攻められようとされています。捕虜の話によると、まずテレン聖教皇国はウインチェルの家を占領し、補給拠点とするつもりだったらしいです。そして2日後に1万の竜騎兵を使って襲撃し、6万の騎士を使って包囲、殲滅を図ろうとし、この国を乗っ取るつもりです」

「それは凄いなぁ、俺達の勢力でも兵は現状3万しかいねぇのにこれじゃあ、戦にもならないな」


 モーレアは笑いながら言う。イスフェシア皇国の戦力は騎士団(弓兵、偵察兵も含む)が1万5千人と魔術師部隊が1万人、そして医療魔術部隊が5千人らしい。

 確かにこの戦力差ではこちらが不利であり、相手にはこちらにはいない竜騎兵がいる。上空から攻撃されてしまえば、こちらはなすすべもなく敗北するであろう。


 「ウインチェルの家を補給拠点にするって言っていたけど、別に家を拠点にできなくても、場所を確保されては元も子もないのでは?」

 「ええ、ですのでギルドにお願いして、傭兵達をウインチェルの家があった森に行って頂き、敵に拠点を確保されないように防衛してもらっています」


 これでテレン聖教皇国は中間的な補給は出来なくなったであろう。しかし、このままでは勝てないことに変わりはない。何かいい案がないか全員が考える。


 「俺に考えがあるんですけど……聞いて頂けますか?」


 オゼットはこの状況を打破する方法を思いついた。その方法を皆に地図を見せながら説明する。それを聞いてモーレアとウインチェルは疑問を抱く。


 「……本当にできるのか?」

 「このIMSPの特性と俺のスキルやアイテムを使えば」

 「確かに可能だけど…そんな魔術、聞いたことがないです」


 このとんでもない方法を聞いて皆は動揺するがマリーだけはオゼットの案に賛成する。


 「私は信じます。他に方法がないのでしたら、やってみる価値はあると思います」

 「あたしもおにいちゃんを信じるよ!」

 「僕も!」


 後からミーア、ラルマも賛同し、動揺していた者達も賛同する。


 「……よしわかった。そのゴリ押しな作戦でやるが、失敗は許されないぞ!!」

 「もちろん。俺はこの戦いに勝利し、やらなければならない事がある!皆、力を貸してくれ!!」

 

 全員が応じ、それぞれ自分がやるべき事に取り掛かろうとする。イスフェシア皇国の平和を守る為に…。それぞれの信念を貫き通す為に…



―テレン聖教皇国と戦争まで後2日―


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