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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
7章 セカンドスタート編
53/150

53話 女皇と呼ばれた者と魔女と呼ばれし者

 白い髪の女性は私を見て驚いている。あの方向感覚を失わせる結界の中どうやって来られたか気になるのか、それとも私が着ているこのドレスを見て驚いているのか正直分からないけどこの人には聞きたいことがいくつかある。


 「どちら様ですか?」

 「私は柊と申します。あなたがこの村の人々が言う魔女ですか?」

 「いいえ、私は魔女ではありませんよ」

 「そうなのですか、ではこの森に展開している結界はあなたが作ったのではないのですか?」

 「結界? 何のことです?」

 

 私はこの人の顔をジッと見つめる、人は噓をつく時は目を逸らしたり口やあごを手で隠すなど顔に触る回数が多いって雑誌とかで読んだことがある。

 しかしこの人は全く動じていない。


 「そもそも私、魔法は一切使えないのです」

 「え、そうなんですか?」

 「そうです。私はこの森で静かに暮らしたかったのですが、ここに住んでからよく道に迷って森から出られなくて……ですので近いうちに引越しをしようと考えているんですよ」

 

 魔法が一切使えない……もしそれが本当だったとしたら、いったい誰がこの森に結界を展開したのだろう? 後この人よくこの方向感覚を失わせる森で生きて来られたわね。

 私はこの森に方向感覚を失わせる結界が張られていること、行方不明者が出ていることを話す。すると白い髪の女性は宜しければ家の中で詳しく教えてくださいと言い家に招かれた。

 

 

 

 家に入ってテーブルに案内されると白い髪の女性は紅茶を真理の目の前に置く。もしもこの紅茶に睡眠薬などの薬を入れられたとしてもペンダントの能力で効力は効かないから大丈夫……と考えてはいたが、ティーポットから注がれた紅茶は先に白い髪の女性が飲む。どうやらその心配もいらないみたいだ。

 

 「申し遅れましたが初めまして、私はアステラです」

 「初めまして、そして先程は失礼いたしました。あなたは神隠しの件については本当に知らなかったのですね」

 「柊さんの話を聞いて、どうして私が魔女と呼ばれているのか納得です。このままでは私はその行方不明者達を誘拐した犯人扱いされて濡れ衣を着せられるところでした」

 

 アステラは腹を立てて私に犯人を捕まえるのを協力させてもらえないかを提案する。危険だと言うがその犯人を捕らえて村人達に突き出せば自分が魔女じゃないと証明出来るので是非とも協力したいと言う。


 「……わかりました。お互いに無茶せずに頑張りましょう」

 「はい、よろしくお願いします! これでも私は狩りの経験がありますので弓の自信はありますよ」

 「なるほどそれは頼もしい。では計画を立てる前に私は一旦、村に戻ります。宿屋をチェックアウトしないといけないので」

 「もしよろしければ、私もご一緒していいですか? 村でいろんな物を買いに行きたいのです。私一人だと森に迷うので……」

 「いいですよ。行きましょう」

 

 私はアステラと一緒に村に戻ることにした。




 約30分歩き続けて私達は村に戻った。アステラは雑貨屋、服屋、魚屋など様々な店に行って買い物をし、私は宿屋に向かう。

 流石にあの親子は宿屋に帰っているだろう。


 「ただいまー、ルリちゃんいる?」


 宿屋の周りを見渡すが二人の姿は見当たらない。何かがおかしい、森に向かってからここに帰って来るまでだいぶ時間が立っているのに未だに帰ってこない……まさか神隠しに!?

 急いで宿屋を出て村人達にルリとルリの母親を見ていないかを尋ねる、しかし誰も見ていないと言う。

 私はアステラと合流して事情を説明する。


 「なるほど、一旦情報を集めましょう。」

 「ええ、私はある人物に聞きたいことがあるから」

 

 そのある人物とはとアステラが聞き返す時にその人物と偶然会う。この村の村長だ。


 「お、お前さん達まだこの村におったのか。しかもあんたは森の魔女じゃないか!?」


 村長がアステラに指をさすとその場にいた村人全員がアステラを見る。


 「あれが……森の魔女」

 「俺の彼女を奪った奴……許さない!」

 「あたし達の娘を返して!!」


 村人は怒りと興奮で今にもアステラを襲い掛かりそうな状態だ、だがこれではっきりしたこともある。


 「ちょっと待った!!」

 「ひ、柊さん?」


 「村長!!あなたは何故アステラさんが魔女と呼ばれている人物だとわかったのですか? 他の村人達はアステラさんが魔女と呼ばれている人物だと気付かなかったのに」

 「そ、それは……魔女は白い髪の女性じゃと……」

 「そもそも! ルリちゃんや村人達の話では「魔女の家にたどり着いた人はいない」という話なのにも関わらず、何で村長は魔女が白い髪の女性(・・・・・・・・・)だって知っているんですか!? 普通、魔女の家にたどり着いた人がいないのなら魔女の姿も見たことないでしょう!!」


 村人達の興奮は収まり、怒りは疑念に変わる。そして視線は村長に向く。


 「おい村長、あんた……もしかして神隠しに関わっているんじゃないか?」

 「娘を何処に隠したの!? 知っているなら白状しなさい!!」

 「わ、わしは……何も知らんのじゃ!! スピード・ギア!」

 

 村長は強化魔法を唱えて自身を強化し全力で森に向かって逃げて行った。村人達は村長を追いかける。


 「私達も追いかけましょう!!」


 私はアステラと一緒に森に向かった。


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