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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
6章 サプライズウォー編
47/150

47話 終わりと始まり

いつも読んでいただき誠にありがとうございます。

都合により本話から55話まで一気に投稿、

56話~63話を毎日4時に一話ずつ投稿させていただきます。


皆様のご愛顧に心よりお礼申し上げますとともに、

これからも何卒よろしくお願い申し上げます。


 ジンマの頭を狙って『オメガ・アイギス』をぶつけようとするが、ジンマは自分の近くに飛んでいるハエを叩く様にオゼットを地面にたたき落とす。


 「うぐっ!」


 ジンマは再び前進し始める。この『オメガ・アイギス』はもう一つデメリットがあり、この盾を装備している間は他のスキルや魔法を発動することができない効果がある。このデメリットは地味に不便である。

 ただその代わり勝機が見えてきた。先程叩いた手の平から光の粒が出始めてきている。段々と範囲は拡大して手首まで光となって消滅している。ジンマはこれ以上拡大するのを防ぐために手刀で右腕を切断し、俺を見る。


 「ウゥゥゥゥゥゥ、ウオォォォォアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」


 雄叫びをあげながら近づき、踏み潰そうと足踏みを始める。必死に避けながら片足に盾で叩くと片足が光となって消えジンマは倒れた。

 

 「光となって消えやがれ!!」


 ジンマの頭に周って『オメガ・アイギス』をぶつける。ガンッ!と音と共に周囲が光り出す。やったか?

 よく見るとジンマの頭には『オメガ・アイギス』が届いていない、ぶつかったのはレイブンの大鎌だった。どうやらレイブンが防いだらしい。


 「ったく、なんて危ないモンを持っているんだよ。危うく今までの計画が光になるところだったぜ」

 「レイブン!!」


 レイブンが持っていた大鎌は光になって消滅し、レイブンは横に回り込んでオゼットを蹴り飛ばす。ついさっきまで目の前にレイブンはいなかったのにもかかわらず急に目の前に現れる……もし、レイブンが使った魔法が転移魔法なら先程の『ホーリーウォーターストリーム』も避けることが出来たはずだ。しかし奴は避けることが出来なかった。やはり奴の能力は……。


 「お前の能力は時を止める能力だろ」

 「あ?」

 「俺のタキオンソニックは音速から最大で光速までの速さで行動できる。お前が高速移動タイプの魔法、能力を使っていたなら同じ高速移動タイプを発動している俺の目に映ってもおかしくない。しかしその状態でも瞬時に現れることからテレポートみたいな瞬間移動系もしくは転移魔法だと思っていた」

 

 「……」

 「でもそれも違う、それだとタキオンソニック発動状態の攻撃を避けたり、防ぐことは出来ないはずだし、さっきのホーリーウォーターストリームだって俺が拘束したところで転移して避けれたはずだ。しかも時を止める能力と言っても長時間止めることは出来ないみたいだな」

 

 「…………ほう、俺の能力の正体を見破ったのはお前が初めてだな。それに敬意を表して一つ答え(Answer)を教えてやるよ。お前の高速移動に反撃できるのは俺の時を止める能力の技の一つ、相手が攻撃した瞬間に自動的に時を止めて相手の位置を特定する『タイム・カウンター』っていう技のおかげで対処出来ているんだ。つまり、お前が如何に速く動けようが遠距離で攻撃しようが俺には基本的に通用しないってわけ」


 レイブンは空間に穴を開けて、中からチェーンソーを取り出す。


 「で、それを知った上で質問するが……、俺に勝てると本気で思ってんの?」


 直ぐに態勢を立て直すが、『オメガ・アイギス』が激しく光り点滅し始める。まずい、これはもうすぐ3分を迎えてしまう合図である……、装備を解除するしかない。装備解除を念じると『オメガ・アイギス』は消滅する。


 「なるほど、その盾には時間制限が設けられているのか。ならもう怖いもんはねぇな」


 レイブンは魔法でオゼットを攻撃する。反撃をしようと魔法を放つが、段々と体が動かなくなっていく。頭痛と吐き気に襲われ始め、膝をついてしまう……、そうかIMSPを起動してから約3時間が経過した為、フェリシアやアルメリアが言っていた長時間使用し続けるとどうなるかという現象が始まったみたいだ……ものすごく気持ちが悪い。


 「うえっ」


 思わず吐くと全体の色が赤い……吐血とか人生初の体験だ。それだけじゃない肩や両腕、両足から盛大に血しぶきが飛ぶ。それを見たレイブンは気味が悪くなり一旦後ろに引いた。

 急いでIMSPを停止させるために電源ボタンを長押しする。画面から『shutdown』の文字が現れ、変身は解除される。しかし出血し過ぎた所為か、頭がクラクラして段々と目の前が真っ暗になった。


 「………………」


 レイブンはオゼットに近づいて手首を触る、脈拍数は平均より遅いがうってはいる。生きてはいるみたいだ。マントから連絡石を取り出してキャンプ地にいる兵士に連絡する。


 「俺だ、捕虜を捕獲したが人手が欲しい。担架も持って来てくれ」


 レイブンは連絡を終えるとジンマにテレン聖教皇国に向かわせるように指示する。ジンマは雄叫びをあげながら前進し始める。それを見届けた後、レイブンはゆっくりと眠りについた。

 



 一方、テレン聖教皇国はオゼットが放った『アブソリュート・ゼロ』によって氷漬けになったデスニア帝国の兵士達を見て勝利を確信していたが突如現れた巨大なゴーレムがこちらに向かって来て騎士達は逃亡し、テレン城は一部を除いて廃墟と化した。そして皇帝が座っている玉座の前には帝国の特殊部隊、『919小隊』のルアールとジャックが立っていた。

 

 「ハロー皇帝陛下、元気してる?」

 

 ルアールとジャックに対してハンソン、ボーマ、ナリタは2人を囲み、少しでも動けば剣で喉を斬れる状態になっている。


 「要件を聞こう。帝国の者よ」

 「ご存知とは思いますが、今帝国の巨大兵器がこの国に向かって来ています。このままではあの巨大兵器によって滅ぶことになるでしょう」

 「だから降伏して、帝国と再び同盟関係になってよ。そしたらテレン聖教皇国が地図から消えることは防げるよ」

 

 同盟関係とは言っているものの、帝国は全ての国を支配する為に今まで他国に戦争を仕掛けてきた。仮に同盟関係を結んだとしても前回同様、他の国に戦争させて帝国の支配下を増やすだけだろう。


 「断る、騎士達よ。斬り捨てよ」

 

 ハンソン達はハーゲン皇帝の指示通りに即座に2人に斬り掛かる。

 ルアールとジャックは倒れるが体が灰色になり塵になって消える。

 辺りを見回すとハーゲン皇帝の傍に再び2人は現れる。


 「交渉決裂ですか……」

 「残念だな~。全ての国と和平を結んで、争いのない世界を作ろうというのに……」


 ルアールは指を鳴らすとハンソン達が持っていた剣が爆発し、3人は吹き飛ぶ。


 「争いを生み出し、平和を乱す者は斬り捨てます」

 

 白い魔法石を取り出し魔力を込めると魔法石は砕け散って白い鎧へと変わりジャックに装着される。


 「聖光騎士、ジャック・ウォーガン。推して参る」


 白い鎧が光出すと高速で動き3人に斬りつける。とても鎧姿で動ける速さじゃない、まるでオゼットが使う『タキオンソニック』のようだ。

 余りにも速すぎて為す術もなくボーマとナリタは倒れる。ハンソンは何とか攻撃に耐えながらジャックに折れた剣で攻撃する。しかし鎧には傷一つつかない。

 ジャックはハンソンに剣を振るい、アキレス腱を斬ってハンソンを転ばした。


 「へぇ、すごいね!その鎧」

 「『クイックドライブ』、博士の発明であのイスフェシアの勇者と戦えるように鎧にスキルを付与してくださいました。さて……」


 ジャックはゆっくりとハーゲン皇帝に近づいて剣の束で首元を打って気絶させる。

 

 「ルアール、中佐殿に連絡を」

 「あいよ」


 ルアールは連絡石でレイブンに通話を試みるが応答がない。不審に思ったジャックは『クイックドライブ』でレイブンがいるガヘナに向かった。

 

 

 

 明けて翌々日、一人の男が今回実施した作戦の報告書を作成している。


          919小隊 イスフェシア皇国、テレン聖教皇国侵略作戦報告書


 ガヘナでの戦いはイスフェシアの勇者が放った広範囲の魔法によって、我が国の9万の兵は氷漬けになって終結したかと思われたが、巨大兵器ジンマによってテレンの騎士団は逃亡、後にジンマはテレン聖教皇国に侵入しテレン城で待機している。


 なお、ガヘナの戦いを指揮したブリガン・タヤスカ中将は兵を失ったことによって戦意喪失し逃亡した。

 レイブン中佐はこれを軍規違反と判断し処刑を執行、指揮を引継ぐ。その後、イスフェシアの勇者と交戦し見事に勝利、彼を捕らえアーザノイル捕虜収容所に送り込んだ。イスフェシアの勇者はアーザノイルの監獄に隔離、レイブン中佐は重症を負いディシアの軍病院に搬送され治療中。


 テレン城はルアール・アリル曹長、ジャック・ウォーガン軍曹によって制圧完了、皇帝であるハーゲン・テレンを捕虜に成功した。後日、洗脳手術を実行しデスニア帝国とテレン聖教皇国は同盟関係を結んだ。

 

 イスフェシア皇国はゼルン・オリニックが開発した洗脳魔法によってマリー・イスフェシア女皇を操り、デスニア帝国と同盟を結ぶことに成功した。なお、マリー・イスフェシアに成りすましていた女性はウインチェル・トードの転移魔法によって行方不明、今後は帝国兵とイスフェシア騎士団で捜索活動を実施予定。


 なお、マリー・イスフェシア女皇に反旗を翻したモーレア・ミスト、ウインチェル・トードはイスフェシア城の牢獄に魔封じの腕輪を装着して隔離した。ミーア・プレリー、ラルマ・ポータンの2名はラーシャ・コレンダリー上等兵が監視役を担当することで静観とするが、再び反逆行為をした場合は牢獄に隔離する事とする。


                                                     以上 




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