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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
6章 サプライズウォー編
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43話 テレン城でパーティー

 そして3日後の朝、テレン城で開催するパーティーに参加する為に皆で馬車に乗りテレン聖教皇国に向かう。ミーアとラルマは無事にウインチェルから与えられた宿題を終わらせてパーティーに参加出来る様になった。

 馬車で約3時間、テレン聖教皇国の正門に到着する。正門にはハンソン、ボーマ、ナリタが待っていた。


 「よぉ、イスフェシアの魔王さん、よく来たな」

 「ボーマ失礼だぞ。マリー・イスフェシア女皇陛下、オゼット殿、ようこそテレン聖教皇国へ」

 「それではご案内致します」


 3人は馬車を連れてテレン城へと向かう。前回テレン城には戦争をした時に訪れたが、改めてテレン城を見るとイスフェシア城の2倍ぐらいの大きさだ。正面入り口にはメイドと騎士達が並んで挨拶をする。すごく歓迎されているみたいだ。


 「それでは皆様、お部屋にご案内致します。パーティーは夕方に開催しますのでそれまでごゆっくりとお(くつろ)ぎください」


 メイド達は仲間を宿泊部屋に、真理には王室の様な豪華な部屋に案内される。ミーアとラルマは早速案内された宿泊部屋のベッドにジャンプして遊ぶ。


 「ラルマ君、何して遊ぶ?」

 「パーティーまでまだ時間があるからここの街を見て回ろうよ!」

 「おいおい、お前らこのラズボルドのこと知らないだろ。城を出たら迷子になって帰れなくなるぞー」


 モーレアが二人を大人しくさせようと襟を掴んで持ち上げる。二人が街を見たいと暴れている最中にナリタがこの国の首都であるラズボルドを案内しようか提案する。すると二人は大喜びでナリタについていく。

 さて、パーティーの時間まで何をしようか……そう考えてながら案内された部屋のベッドで横たわるとコンコンっとドアをノックされる。ドアを開けるとメイドが王の玉座まで来て欲しいと言われ案内される。

 

 王の玉座に着くとそこには真理とモーレア、ウインチェル、そしてこの国の王であるハーゲン・テレン皇帝が集まっている。


 「皆よく集まってくれた」

 「ハーゲン・テレン皇帝陛下、本日はパーティーにご招待していただきありがとうございます」

 「うむ、今宵は楽しんでくれ。さて、ここに来てもらったのは皆の力を欲しくてな……ハンソンよ」


 ハンソンは真理達に手紙を渡す。内容を読むとデスニア帝国から『テレン聖教皇国の皇帝へ。前回の裏切り行為を見逃してやる代わりにもう一度手を組んでイスフェシア皇国、コンダート王国、エンペリア王国を支配下に置こう。近日中に返答しなければお前の国を滅ぼしに行く』と書いてある。


 「……これ本当に帝国の者が書いたのですか?」

 「そうだ。先日、帝国の女戦士がこの城に侵入して来てな、その者を捕らえようとしたが逃げられてしまい、その手紙を置いていったのだ」


 なんて無茶苦茶な奴らだ。この件についてハーゲン皇帝は帝国と手を組む気はなく、3ヶ月程前にコンダート王国やエンペリア王国にも同盟関係を結ぼうと伝令を行かせたが帰ってこないらしい。おそらく帝国に殺されたか捕まってしまい、その伝令が持っていた手紙を読まれたのだろうと皇帝は言う。


 「これ以上帝国の好きにしてはならない。我ら聖教皇国はそなた達と協力して帝国を攻めようと考えている」


 確かに帝国の攻撃は段々と無視できない状態ではある。帝国……特にレイブン達を倒してマリー・イスフェシア女皇を救い出し、イスフェシア皇国に平和を取り戻す為にもここで手を打っといた方がいいだろう。


 「俺は賛成だ、皆は?」

 「私も同意見です」

 「俺もだ。帝国の野郎には一発キツイのお見舞いしないと気が済まねえ」

 「では、イスフェシア皇国とテレン聖教皇国は協力してデスニア帝国に戦争を仕掛けるということでよろしいですね?」

 「心から感謝する」


 ハーゲン皇帝は頭を下げる、それを見て真理は慌てて頭を上げるように言う。


 「では、帝国に攻め入る話は後日にしましょう。皆様には夕方に行われるパーティーをお楽しみください」


 ハンソンはメイドにオゼット達を部屋に案内させる様に指示をだす。オゼット達は先程いた宿泊部屋に戻り、ゆっくりするのであった。




 数時間後、メイドが部屋のドアをノックしてパーティー会場へと案内される。会場の扉を開けるとこの国の貴族達が食事をしながら会話を楽しんでいる。

 真理達は先に会場に来ている。貴族達は真理に友好関係を結ぼうと近づいてくるが、モーレアが「おい」と貴族の肩を強く掴む。モーレアの角を見て貴族達は「化物め」と小声で言うと掴まれている手を払い諦めて離れていく。


 「モーレアさん、すみません」

 「気にすんなよ。あんな下心丸出しの奴らと話しても時間の無駄だからな」

 「ありがとうございます」


 モーレアが真理を警護している中、ミーアとラルマが二人の分の食べ物を持って近づいてくる。


 「もーちゃん、真理お姉ちゃん。これ、ここのシェフさんが作ったケーキとってもおいしいよ!」

 「お、ありがとう!」

 「ん~イチゴのムースが甘くて美味しい~」

 

 4人が会話している所にオゼットも合流する。ウインチェルはどこにいるかを尋ねると彼女は先にイスフェシア城に戻り、帝国との戦争に備えて騎士や魔術師を編成するらしい。

 真理は王の玉座で皆と解散した後、ハーゲン皇帝と話をしていた。ハーゲン皇帝は3日後、テレン聖教皇国の西側にあるデスニア帝国の最大都市にして女帝が住んでいるディシアを攻めて女帝の首を取り、帝国の北部全域を我が物にしようと考えている。既に聖教皇国は6万の騎士団を聖教皇国の西部にある拠点に向かわせている。

 

 「それで帝国の襲撃する際に翼の力を借りたいって言ってきたんだけど、そこは反対しました。」

 「何で?」

 「もし、翼が帝国を襲撃している最中にレイブン達がテレンやイスフェシアに攻め込んで来たら?」

 「敵にとっては占領出来るチャンス以外の何物でもないな、悔しいが俺達だけじゃあの仮面野郎には勝てねぇ」

 「そう、仮にレイブン達が翼を止めに入ったとしても帝国の戦力はテレンとイスフェシアの戦力を足しても敵うか怪しい状況なの、だからまずは敵の戦力を削る必要があるわ」

 「策はあるのか?」

 「まず、帝国を奇襲すると見せかけて交戦しながら敵をテレン聖教皇国に近づけさせます。その後に翼が以前使った広範囲の氷魔法で敵戦力を削った後に帝国に攻め入る事にしました」

 

 真理の作戦を聞いてモーレアはオゼットを帝国に攻め入る際に広範囲の氷魔法を放てばいいのではと意見を言うと、それだと関係ない一般市民をも凍らせてしまう恐れがあるのでなるべく帝国の兵士だけを倒す方法としてこの作戦を考えたという。

 それを聞いたモーレアは一瞬、真理の後ろにマリー陛下の面影が見えた。なるべく一般市民を傷つけずに兵士だけを倒す……考えが甘いとは分かっているが、きっとマリー陛下も同じ事を言うだろう。


 「……仕方ねぇな、それで行くとするか」

 「ありがとうございます。モーレアさん」

 「んじゃ、話はここまでにして今日はパーティーを楽しもうぜ」


 そう言うとモーレアは近くにあった骨付き肉を丸ごと取ってかぶりつく。ミーアとラルマも真理と一緒にデザートを食べようとプリンやアイスを取って来て真理にあげる。

 ついに帝国との戦争が始まる……今度こそレイブンに勝って本物のマリー・イスフェシア陛下を助け出し、イスフェシアに平和をもたらそうとオゼットは改めて決意を固めるのであった。




 一方、帝国ではテレン聖教皇国、イスフェシア皇国侵略作戦を実行する為に奇襲準備をしていた。

テレン聖教皇国から西方にある“ガヘナ”という土地に拠点を置いてあり、一人の兵士がレイブンに近づいてくる。


 「報告! 第一、第二、第三、第四部隊配置が完了」

 「ご苦労、各部隊に次の指示があるまで待機と伝えろ」

 「はっ!」


 兵士は直ぐにその場から離れ通信兵がいる場所まで走り出す。会議室ではレイブンとこの作戦を指揮しているブリガン・タヤスカ中将が葉巻を吸いながら苛立っている。


 「まったく、いつまで待たせるつもりだ。テレンの奴らは!」

 「手紙は渡していますよ中将殿、奴らの事だから同盟は拒否してイスフェシア皇国と一緒に抵抗するでしょう」

 「ふん、返事など待たずにとっとと攻撃すればいいものの!」


 ブリガンはテーブルにドンッと叩く。レイブンはやれやれと一旦会議室を離れ連絡石を取り出す。


 「各員、状況を報告せよ」

 「こちらルアール、テレンの騎士団は聖教皇国から西の方角に進行中です。どうぞ」

 「こちらラピス、イスフェシア皇国は特に動きは見られません。どうぞ」

 「こちらジャック、特に異常なし……ど、どうぞ」

 「ジャックは引き続き待機、ルアール、騎士団の戦力は?」

 「ちょっと数が多くて分からないけど、ざっと5~6万ってとこかな、どうぞ」

 「なるほど、ではブリガンの兵士共はそいつらに当てる。ラピスはラーシャと合流し次のフェーズに移れ」

 「了解しました。」

 「以上だ、幸運を祈る。アウト」


 919小隊はブリガンの作戦とは別行動を始めている。ルアールはテレン聖教皇国、ラピスはイスフェシア皇国、ジャックはブリガンの兵士達の監視を担当している。連絡を終えるとレイブンはブリガンにテレンの騎士団がこちらに来ていることを伝えるとブリガンは兵士に進軍命令を出す。


 「第一、第二部隊は前進!第三部隊は右に、第四部隊は左に回れ!!」

 「はっ!」


 帝国兵はブリガンの指示通りに約9万の兵士達が暗闇の中、行動を始めるのであった。

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