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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
6章 サプライズウォー編
42/150

42話 ベリアで“散歩”という名の……

 成り行きで真理と一緒にベリアを散歩することになった。真理は他の民にマリー陛下と勘違いされないように変装をしている。

 まずは商店街に向かってみると一部は破壊されているが、それでも活気に満ちている。壊れた建物はギルドの傭兵が協力して立て直しをしている。

 商店街を歩いている途中でワッフル屋を通ったので真理と一緒にワッフルを食べることにした。

 

 「美味しいわね、今度料理長さんに作ってもらおうかしら」

 

 真理はワッフルを食べて機嫌が良くなっている。真理がマリー陛下の代わりとなってから女皇としての仕事が忙しく、例えば国の治安を守るために騎士団隊長のモーレアとギルド長のディズヌフと会談をしたり、山のように積まれた書類に目を通して印鑑を押す、専属の教師達による数学、魔術、美術などの講義を受けるなど一日中城の中に拘束されるのだからストレスが溜まっているみたいだ。特に魔術の講義に関してはフェリシアからペンダントを貰う前までは教師の言っていることが文字通り呪文にしか聞こえなかったのでかなり苦労をしていたらしい。

 

 「次は何処に行こうか?」

 「あそこの本屋に言ってみたいわ」


 真理と一緒に近くにあった本屋に向かう。店に入ると小説、魔術本、料理本など様々な種類の本が置いてある。真理は仕事が終わった後に余裕がある時に城の図書館で本を読むことある。しかし図書館にある本はほとんど読み終えているので、新しく自分好みの本が欲しいとのことだ。

 真理は早速本を探すと何冊か手に取ってそれを俺に渡す。本のタイトルを見て察するに恋愛小説、推理小説みたいだ。真理は次々と本を渡してくる。

 

 「え、こんなに買うのか?」

 「だって本屋に行く機会なんて滅多にないから買えるときに買わなくちゃ」

 

 合計10冊の本を会計所に持って行って購入する。購入した本は全部俺に持たされる。

 次に真理は服屋に向かう。城にある真理の服の一部はマリー陛下の物であり、どれも高級品で城から外出するには向いていない服ばかりである。だから外出専用の服と自分専用の服が欲しかったと真理は言う。

 真理は次々にこれだと決めた服を俺に渡してくる。


 「よし、これとあれとそれも買おうかしら」

 「……こんなに買うのか?」

 「そうよ、服屋に行く機会なんて滅多にないから買えるときに買わなくちゃ」

 

 かなりの数の服を購入しそれを全部俺に持たせる。本も一緒に持っている所為か段々と力が入らなくなってきた……。

 

 「ちょっと真理さん、俺疲れた~」

 「そう?それじゃあどこかで休憩にしましょうか。あ、私行きたいカフェがあるの」


 真理はオゼットを引っ張って行きたい言うカフェを目指す、約10分歩き続けるとそこはネバーランドだった。

 

 「行きたい所ってここか、でもガイルさんはまだ入院中だぜ?」

 「確かにそれは残念だけど、ミーアちゃんがいつも「ここのストロベリーパフェは絶品だよ!」って言うから一度食べてみたかったの。さぁ、行きましょう」


 店に入ると「いらっしゃいませ」とウェイトレスがこちらに近づき、テーブルに案内をする。

 二人共注文は決まっていたのでストロベリーパフェとカフェラテを注文し席に座る。

 座ったとたんオゼットは、これまで重い荷物を持ちながら歩いていたので、その疲れがどっと出る。

 しばらくすると注文したストロベリーパフェとカフェラテがテーブルに届いた。

 真理は一番上に乗っかっているストロベリーアイスを頬張ると一瞬、頭の中でキーンとアイスクリーム頭痛が起きたが、とても美味しそうに食べる。

 

 「ミーアちゃんが言った通り、このパフェ美味しい~」

 「そっか……」

 

 真理の反応に対して素っ気ない返事をする。

 その時、俺は頭の中で王宮の間でレイブンの話を思い出していた。

 

 もしもレイブンの能力が“時を止める”能力だった場合、どうやって対抗するか試行錯誤をするが正直言って対抗策が思い浮かばない。今までの攻撃では全て避けられるか防がれてその後、反撃を貰ってしまうし、唯一成功した自分の近くに地雷魔法を仕掛けて罠にはめた方法も通用しないだろう。

 それだけではない、もし時を止める能力者だったのなら時を止めて直ぐに俺を倒すことができたはず、それをしなかったって事は今まで奴は俺に手加減して戦っていたことになる。


 考え事をしていると真理は「ねぇ」と声を掛けられて真理の方を向くと、口の中にパフェに乗っかっているアイスクリームを入れられる。

 急に冷たいものを食べて頭がキーンとしてきた。


 「うお、何するんだ!?」

 「何考えているか当ててみましょうか?どうせレイブンが時を止める能力者だったらどうやって倒せばいいんだろう、でも対抗策が思い浮かばないって考えているんでしょ?」

 「うぐっ、何でわっ」

 「何でわかった?って、私達何年の付き合いだと思っているのよ。幼馴染を舐めないでよね」

 

 真理はパフェを食べ終わるとウェイトレスにミルクティーを追加で注文する。


 「大体、翼が一人で勝てる相手なの?時を止める能力だったら真っ向勝負したって勝てるわけないでしょう、だったら皆で力を合わせて戦えばいいじゃない……一人で悩まないで皆で一緒に考えましょう」

 「真理……ありがとう。俺、何か一人で抱え込み過ぎていたみたいだ」


 真理の言葉を受けて、オゼットは我に返った。奴の対抗策については皆で考えてれば何か弱点や方法など見つけられるはずだ。そして今度こそ奴を倒してマリー・イスフェシア陛下を取り戻し、真理と一緒に元の世界に帰るのだと心に誓うのであった。




 時は過ぎて夕方、真理と一緒にベリアを見て回り大量の買い物袋と共にイスフェシア城に戻った。真理は用事があるので荷物を部屋に運んで欲しいと頼まれて真理は王宮の間に向かった。

買い物袋を担いでいる俺の姿を見た騎士の一人が荷物を半分持ってくれて真理の部屋まで運んでくれた。騎士に感謝して真理の後を追うと王宮の間では何やら賑やかに話をしている声が聞こえる。

 

 「楽しみだね! ラルマ君!」

 「そうだね! 一体どんな事をやるんだろう?」


 ラルマとミーアに何の話をしているかを聞いてみると、3日後にテレン聖教皇国のテレン城でパーティーが開かれるそうだ。それで同盟関係である俺達にも是非来て欲しいとのことで招待状が届いたらしい。

 

 「では、皆でそのパーティーに行きましょうか」

 「「賛成!!」」


 次にウインチェルから強化して貰ったIMSPを渡される。具体的にはIMSPを使って戦闘し、戦闘終了後に変身解除した時に徐々に傷や体を回復する魔法『リジェネ』を発動する仕組みにしたらしい。こうする事で俺の体の神経や筋肉の傷の蓄積を抑え、記憶障害や幼児退行になる可能性を回避することに成功した。但し、連続でIMSPを使用して『リジェネ』の回復が間に合わない可能性もあり得るので長時間の使用や連続での使用は控えるように言われる。

 

 「では、私は少し疲れたので部屋に戻りますね」

 「ありがとう、ウインチェル。今度何か奢りますね」

 「ええ、その時はアルメリアさんにも奢ってあげてくださいね。彼女の技術が無ければこの『リジェネシステム』は完成できなかったのですから」

 「わかりました」


 ウインチェルは部屋に戻る前にミーアとラルマに近づいて紙を渡す。よく見ると何かの問題用紙みたいだ。


 「二人共、3日後のパーティーに参加する前にこの前教えた防御魔法についての宿題を提出してもらいます」

 「「え~!!」」

 「ちなみに宿題をやって来なかったらパーティーには参加させませんので、必ずやっておいてください」

 「パーティーが終わった後に宿題をやってはいけないのですか?」

 「そうだよ、うーちゃん。後でもいいじゃん!」

 「あなた達は最近、帝国との戦闘も参加しているので自分の身を守る為に防御魔法を教えました。……本当は戦ってほしくはないのですが、もしも誰かと戦うことがあるのなら防御魔法を使うことは多くなるでしょう。ですから正確に理解しているかを確認する為、問題にして宿題にしました。」

 「えーでもー」

 「か・な・ら・ず! 提出するように、以上です」


 ウインチェルは自分の部屋に戻る。ミーアとラルマは3日後のパーティーを参加する為にミーアの部屋に行き、一緒に宿題を終わらせることにした。その姿を見て昔、俺と真理も一緒に宿題をやったなと何だか懐かしく思った。

今日は重い荷物を持ってベリアを歩き回った所為か疲れてきた。俺も飯を食って寝るか。そう考えて俺は食堂に向かうのであった。

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