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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
4章 ミーアのピクニック編
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28話 妖精の泉

 入り口を抜け、少し進めば木材で作られた建設物がある。エトとアーリレッドは皆を連れて村を案内する。

 エンザントは主にポーションや薬品、野菜、果物などを製造し、イスフェシアに提供しているのだが、ベリアの周囲は高山で囲まれている為、エンザントからベリアに行くには高山を迂回する必要がある。しかし、そうなると到着までに時間が掛かるし、盗賊達に襲われるリスクがある。


 真理はこの状況を改善する為にベリアとエンザントの間にトンネルを作る計画をエトに伝え、打ち合わせをしに来たのだ。

 村の案内の途中でエトと真理は族長の会議室に向かう。他の皆は村の奥にあるりんご農園へと行き、収穫体験をする。ミーアとラルマはりんごの木に届かないので、梯子やガイルに肩車をしてもらいながら収穫する。


 「このりんご綺麗、食べていい?」

 「収穫が終わったらいいですよ」

 「わーい」

 「ねぇ、このりんごの色半分青いよ?」

 「ああ、それは玉まわしし忘れているりんごだね。後で担当者に注意しなくては」


 玉まわしとは、りんごは太陽の光を当たった部分が赤くなるので、反対側にも色がつくようにりんごの実を回す作業のことである。

 収穫可能なりんごは木箱に詰め込んだ後、ケンタウロス族が木箱を運んで専用の馬車で後日ベリアに搬送されるらしい。

 

 りんごの収穫体験を終えるとそこから離れた場所にある川に行きミーアとラルマは水遊びをする。ガイルは地面にレジャーシートを出し、今朝に作ったサンドイッチとパンを用意する。それに気付いてミーアとラルマはガイルに近づき、食べていいかを尋ねると「王女と族長が来るまで待っててね」と微笑みながら準備を進める。

 後から真理とエトが合流し、皆で昼食を取る。


 「ガイルさんこのサンドイッチ美味しいです」

 「あら嬉しい、そのサンドイッチは私の店でも販売しているから良かったら店に来た時に頼むといいわ」

 「ねぇねぇ、アーリレッドさん。次は何処案内をしてくれるの?」

 「そうねぇ…ではあそこに案内をしましょう」

 「あそこ?」


 アーリレッドが言うにはこの村の南の方角に行ったところに泉があるらしく、そこには妖精が生息しているらしい。ミーアとラルマはその話を聞いて居ても立っても居られなくなり、サンドイッチを食べた後に駆け足で南の泉に向かう。


 「先に行っているね!」

 「あ、こら待ちなさい」


 ウインチェルが止めようとするがつまずいて転ぶ。エトは別に大丈夫でしょうと言ってウインチェルの肩を乗せ、サンドイッチを頬張りながら二人を見送るのであった。





 歌を歌いながら歩き続けて、南に向かうと小さな洞窟がある。二人はその洞窟を進み出口に出ると先程遊んだ川よりも澄んだ水の泉にたどり着く。

 ミーアは泉に近づいて妖精がいないか辺りを見回す、妖精がいるなら是非お話がしたい。しかし何処を見ても妖精らしき者はいない。

 

 「ここじゃなかったのかな」

 「他をさがしてみようか」


 二人は泉の周りを探索し始める。しばらく探索を続けると足跡を見つける。足跡のサイズから見て大人がここで何かをしていて遠くに行ったみたいだ。

 

 「この足跡を辿ってその人に聞けば妖精さんがどこにいるのかわかるかも!」

 「余り遠く行くと迷子になったら大変だよ」


 ラルマはミーアを止めに入り、ここは皆が来るまで待とうと提案する。するとミーアはスライムナイツを召喚し、この泉に待機させる。

 

 「これなら、うーちゃん達がここに来た時にこの子が案内してくれるから大丈夫だよ」

 「えぇ、でも……」

 「心配ならここで待っててよ、すぐに戻るからね」


 ミーアは足跡が続いている道に向かって進み始める。ラルマはここで待っているよりも彼女がどこか行く方が心配だと思い後に続く。

 足跡を辿って先に進むと途中で川にたどり着く。足跡は川の向こう側に続いているが、二人の身長では川を進むことは出来ない。なにか川を渡る為の方法はないだろうか。

 ラルマは辺りを見回すと一人の少女を見つける、肌が白くミーアと同じくらいの身長だ。

 

 「君は誰?」

 

 ラルマに気付いて少女は二人に近づく。


 「あなた達は?」

 「僕はラルマ・ポーラン、こっちが」

 「ミーア・プレリーだよ、あたし達は妖精さんを探しに来たの!」

 「妖精さん? じゃああなたも盗賊達を追っているのね」


 盗賊?どういうことか少女に聞いてみると泉に暮らしていた妖精は盗賊達が誘拐し、逃げていったところを目撃したという。彼女はその盗賊達を追い妖精を救出しようと考えていたらしい。

 ミーアとラルマは彼女の話を聞いて協力して盗賊達から妖精さんを助けようと提案する。少女は同意して二人について行く事にした。


 「よし、皆で悪い盗賊をやっつけて妖精さんを助けよう!!」

 「ミーアちゃん……盗賊に悪い人とか良い人っているの?」

 「細かいことは気にしない!」


 二人のやり取りを聞いて少女は笑いだす。


 「ふふふ、面白いわねあなた達、私はラーシャ・コレンダリー、よろしくね」


 三人は協力して、盗賊達の後を追う。まずはどうやって川の反対側に行くかを考える、ミーアはワイバーンを召喚して一人ずつ乗って渡ろうと提案するが、ラルマはサイコキネシスで空中移動し先に渡る。ラーシャも自身が宙に浮いて、反対側まで飛ぶ。ミーアはワイバーンを召喚して反対側に移るが少し不機嫌になる。


 「二人共ずるい、空に飛べるなら最初からそう言えばいいじゃん…」

 「ごめん」


 ラルマはミーアに謝り、気を取り直して先に進もうと言い三人はさらに森の奥に進むのであった。


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