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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
3章 プリズンドリーム編
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24話 楽園の悪夢

 目が覚めると馬車の中にいた。さっきまでラピスが創り出した夢の世界にいたはずだがボーマが起こしてくれたらしい。


 「起きたか」

 「あら残念、もし起きなかったらチューをしてあげたのに」


 もし起きなかった場合はガイルの目覚めの熱いキスが待っていたらしい、全身の血が引いていく。

 オゼットは夢の世界で起きた事象をボーマ達に伝える、どうにかして彼女を見つけ出しこの事件を終わらせなければイスフェシアの民達は永遠に目が覚めないだろう。しかしどうやって彼女を見つけ出すことが出来るのか?この現象はイスフェシアだけで起きていてテレンには影響がないところを見ると恐らく彼女はイスフェシアの何処かにいると思われるが……。

 

 「で、イスフェシアに着いたらどうするんだ?」

 「まずはこちらを皆さんに渡します」


 オゼットは4人にエメラルド色の魔石を渡す、この魔石は周囲の魔力を探知すると輝く仕組みになっている。これを使ってラピスの居場所を探し出し捕まえる方針を伝える。


 「イスフェシアに着いたらボーマさんは北部を、ハンソンさんは東部、ナリタさんは西部で魔力が発生している場所を調べてください。見つかった場合はこれを使って真上に向けて打ってください」

 「オゼットちゃん、私は?」

 「ガイルさんは城に行って起きている人がいるかの確認をお願いします」


 オゼットは信号弾を4人に渡し、使い方を説明する。

 しばらくしてイスフェシアに到着し5人はそれぞれの場所に移動し探索を始めた。


 


 一方、真理は元にいた世界で普段の日常生活を送っている夢を見ている。何かを忘れているような気がするが、思い出せないので気にしないことにしている。

 仕事が終わり、明日からゴールデンウィークを迎えるので休日を何して過ごそうかを考えながら商店街を歩いているとイベントでくじ引きをやっている店があり、ガラポンを回すと金色の玉がでる。

 

 「おめでとう!一等賞だよ~。一等はネコネコランドの一年パスだ~」

 「……マジで!?」


 ネコネコランドとは、世界中で人気とされるテーマパークである。

 店員が鐘を鳴らしながらネコネコランドの一年パスを真理に渡す。真理は感激に浸りながら早速、家に帰って準備をする、一年パスは2枚あるので翼を誘ってみることにした。


 「翼~、明日からゴールデンウィークだけど予定ある?」

 「明日からファンタジー・ワールドで期間限定のレアモンスターが出てくるからそいつ狩って武器を作ろうと……」

 「よし、暇ね!あたしと一緒にネコネコランドに行くわよ!」

 「え~」

 

 真理は翼を強制的に参加させる。

 そして翌日。

 

 「さぁ、最初はあのアトラクションに行くわよ!!」

 「元気だな、お前……」

 

 ネコネコランドに到着してはしゃぐ真理に対して翼は呆れた様についていく。

 最初にたどり着いたところはキャット・ブースターと呼ばれるジェットコースター、ニトロエンジンを搭載した可愛い猫の顔が着いた乗り物に乗って、とんでもない速度で駆け抜ける絶叫マシンだ。


 「え、これに乗るの?やめない?」

 「何言ってんのよ、いつもゲームで高速移動している翼なら余裕でしょ?」


 そういう問題じゃないと翼は訴えるが、真理は翼の手を引っ張って入場する。乗り物に乗って発進と同時に物凄いスピードでレールの上を走る。悲鳴と歓声と共に駆け抜けていき一回転するレールを通過すると、再びブーストが掛かる。

 5分後、一周を終えてキャット・ブースターから降りると翼は具合が悪くなり近くのベンチに座り、真理は満足して次のアトラクションを何にしようかを考えながらネコネコランドの地図を見る。

 

 「なんっつー乗り物だよ!!よく今まで死者が出ていなかったな!?」

 「死者が出る可能性があるアトラクションなんてある訳ないじゃない、そんな安全性がないんだったらとっくにこの遊園地潰れているわよ。さ、次のアトラクションに行くわよ」


 真理は再び翼を連れてキャット・ボールというコーヒーカップのアトラクションに行く。このアトラクションは球状の乗り物に乗り、スタートすると床面自体が回転し、一定時間経過すると球状の乗り物が縦に回転する絶叫マシンだ。


 「あの、真理さん……他のアトラクションに行きません?」

 「何言ってんのよ、いつもゲームで縦回転切りする技を使っている翼なら余裕でしょ?」


 翼は嫌々真理と一緒にキャット・ボールに乗る。最初は床面が回転し、普通だなと思った瞬間、乗り物が縦に回転して翼は悲鳴をあげる。一方、真理は楽しんでいる。

 数分後、キャット・ボールを降りて翼は先程のベンチに座り込む。


 「真理……お前は俺に何の恨みがあるんだ?」

 「そんなのないわ。次のアトラクションは翼が決めていいわよ、どれにする?」


 真理は翼にネコネコランドの地図を見せる。内容を見ているとほとんどが絶叫マシン系のアトラクションしかないのを見て愕然とする。まともなアトラクションはないのかを辺りを見渡すと観覧車が目に映る。

 翼は真理に観覧車に行こうと提案し、真理は同意する。

 観覧車に向かうと人気がないのか、並んでいる客は少なくすんなりと乗ることができた。


 「なんだか久しぶりよね。二人で遊ぶの」

 「そうだなぁ、最近仕事が忙しかったからな」

 「翼の場合、仕事が忙しいじゃなくてゲームが忙しかったからでしょ?」

 「う、うるさいな……そういえば気になっていたんだけど」


 そう言うと翼は真理が付けているサファイア色に輝く宝石のペンダントを指さす。


 「それ、綺麗だね。その高そうなペンダント何処で買ってきたの?」

 「えっと……あれ?」


 一瞬、頭にノイズが走る。このペンダントを何処で手に入れたのだろうか?どうやって手に入れたのかを思い出そうとしても頭の中でノイズが走り、思い出せない。

 何か、大切な事を忘れているような気がする。


 「頭が……痛い」


 真理は頭を抱えて倒れこむ。ノイズが激しく、頭痛がひどくなり、過去の記憶が蘇る。

 確かあの仮面の男の誘拐によって異世界へ来て、崖から落ちて記憶喪失になって……異世界の国の王女になっていて、翼が私を助けてくれて……ああ、そうか。


 「これは……夢なんだ」


 さっきまで痛かった頭がすっきりする。胸に付けたペンダントが光だし、真理の背中から白い翼が生える。

 白い翼が光り出すと空間に亀裂が走り、ガラスが地面に落下して割れるように空間が割れる。

 さっきまでいた翼やネコネコランドで遊んでいた人々は消え、夢の世界が崩壊する。

 

 気が付けばさっきまでいたはずのネコネコランドは崩壊し、白い空間の床で横になっていた。

 目の前には一人の少女が立っている。

 

 「どうして異世界から来た人は皆、とんでもない力を持っているのかしら?」


 ラピスは首を傾げながら近づいてくる。真理は立ち上がってラピスに話をかける。

 

 「貴方が私にこの夢を?」

 「そうよ。はじめまして、イスフェシアの女皇……いえ、偽者さん」

 「目的は何?」

 「教えてもいいですけど、その前に聞かせてくださる?どうやって私が創り出した夢の世界を壊したのかを」

 「……わからないわ」

 

 真理の回答を聞いてラピスはクスっと笑う。


 「わからないのに壊せたの?冗談にしては面白いですね」

 「私だけこの空間に閉じ込めたの?他のみんなは?」

 

 ラピスは仲間達が見ている夢の映像を映し出す。

 

 「みんな!!」

 「貴方の仲間達なら良い夢を見ていますよ。さて、夢の世界を壊す貴方は私にとって危険な存在です。だから……」

 

 真理の目の前に複数の魔物が召喚される。ラピスが合図を出すと魔物は一斉に襲い掛かる。

 

 「死んでください」


 必死に逃げようとするが魔物の攻撃に圧倒され、真理の体はズタズタに引き裂かれた。

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