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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
2章 パッピーマジックパウダー編
18/150

18話 情報収集

 ウインチェルの転移魔法でテレン城にたどり着くと、正門前にはボーマ、イーゴ、ハンソンが立っていた。


 「よぉ、誰かと思えばイスフェシアの魔王と魔女じゃないか」


 ボーマは前回の戦争でオゼットに氷漬けにされた事を根に持っているらしい。テレンの騎士達のほとんどはオゼットの魔法を見て恐怖し、その結果オゼットの事を『イスフェシアの魔王』と呼ぶようになった。オゼットは3人にここ最近の出来事を聞いてみる。


ボーマの話によると最近テレン聖教皇国周辺の平原に生息しているモンスターが凶暴化して、この国のギルドとソルジェスと一緒に協力し合って討伐をしているが苦戦を強いられているとの事だ。ハンソンがゴブリンを討伐した際に所持品の中に白い粉を発見、現在解析中で国周辺の警備を強化している。

 

 「で、そのモンスター達がやたら強いのはその薬品が原因だと?」

 「はい、あれには鎮静効果、脳の活性化、あと肉体強化と再生能力などの魔法が込められているそうです」

 「あんな薬品でモンスター共があそこまで強くなるとはな……わかった、陛下には私から報告しておく。ギルドと連携してこの薬が何処から流出しているのか調べてみるよ」

 「ありがとうございます。こちらも何か情報が入り次第、連絡します」

 

 オゼットとウインチェルは他に情報がないか城を後にし、町を探索する。街の商店街を歩くと身に覚えのある店を発見する。店の看板には『Cafe&Bar・ネバーランド』と書かれている。ウインチェルは気になって店の窓を除くとガイルがお客と会話をしている。しばらくすると、こちらに気付いて店の外に出る。


 「あら、ウインチェルちゃんとオゼットちゃんじゃない。」

 「こんにちは、ガイルさん。テレンで新店を建てたんですね」

 「ええ、オープンしてから忙しいけど、なかなか楽しいわよ。良かったら店に入ってきなさいよ、奢るわよ♪」

 「ありがとうございます!では、お言葉に甘えて」


 二人は店に入り、ガイルに最近の噂話や白い粉について尋ねてみるのであった。

 

 

 

 一方、モーレアはソルジェスに向かい、ディズに白い粉について聞く。彼の話によるとテレンのギルドと騎士団と協力し、モンスターを討伐した時にゴブリンが白い粉を所持していた。この白い粉が何なのか、出所はどこなのかを突き止める為にテレンのギルドと連携して捜査をしている。モーレアは白い粉の作用についてディズに話した。


 「なるほどなー。こんなんでモンスターが強くなるなんてな」

 「ほぉ、流石の人狼様も苦戦を強いられていたか」

 「言ってろ半鬼人。お前からこの話が出たって事はお前も凶暴化したモンスターと戦ったんだろ?」

 「まぁな、もしあの凶暴化したモンスター共が国に入って大暴れなんかしたら間違いなく死者が出る。そうなる前に手を打ちたいんだが……」

 「……実は最近、デスニア帝国のアーザノイルって街で白い粉が出回っているって噂らしい」

 「アーザノイル?」


 モーレアが首をかしげるとディズは地図を開いてアーザノイルの場所に指をさす。アーザノイルはイスフェシア皇国から西の方角にあるデスニア帝国の街だ。ディズの話によると鍛冶屋や精肉工場などが盛んになっていたのだが、最近では行方不明者が多発しており住民が減ってきているらしい。


 「だけどよ、その街で出回っているってしてもデスニアの領地だぜ?簡単に入らせてくれるとは思えないな」

 「そしてあそこはデスニアの兵士達の武器を生産している所でもあるからな。デスニアの兵士以外は武器の所持を禁止されているんだ。だからお前みたいな堂々と剣を持っている奴なんかが街に入れば即、退場させられるぜ」

 「別に剣がなくたって素手で充分だけど、俺達じゃあ顔が割れているからな。誰かアーザノイルに行ける奴はいないものか…」

 

 二人はアーザノイルに行って調査できる人を考える。隠密に動けて尚且つモンスターやデスニアの兵士達との戦闘になっても戦える人を。

 少しすると二人は閃いて顔を上げた。




 一方、オゼットとウインチェルはガイルの店で白い粉についての情報を集める。ガイルが言うには最近、テレンの周辺に生息しているモンスターが街に入って暴れていて、騎士達が討伐しようとしたが苦戦を強いられていたので加勢して倒したところ、そのモンスターは白い粉が入った袋を所持していたらしい。

 

 「最近、その白い粉を持ったモンスター達のせいで街の外に出られないし、食材の発注もままならないわ」

 

 ガイルはため息をつきながら、食器を洗い始める。どうしたらいいものか三人が考えている最中に店の扉が開く、金髪のロングヘアの女性が入って来て席に座る。その女性をよく見ると前回ギルドでイスフェシアからテレンまで護衛任務の依頼したシャーナだ。


 「あらオゼットさん、こんにちは。その節は本当にありがとうございました」

 「こんにちは、あの時はいろいろと大変でしたね」

 

 シャーナはあの依頼の後、無事に姉の結婚式に列席することができ、今は観光を楽しんでいる。

 観光中に偶々この店を発見してガイルと仲良くなり、今では常連客となっている。


 「今度また依頼をする事があれば、その時はよろしくお願いします。出来ればラルマ君が一緒だと嬉しいわね」

 「ラルマ君も気に入れられてますなぁ(笑)」

 「あの子可愛くて強いし、もし可能でしたら私の召使いにしたいですわ」


 会話が盛り上がっている最中にウインチェルがオゼットにシャーナについて聞く。事情を説明するとウインチェルは軽く自己紹介をする。

 

 「ところで、オゼットさんってイスフェシア皇国の人でしょ?どうしてテレンにいるの?」


 オゼットはシャーナの護衛依頼後の話を説明する。


 「なるほど……あのゴブリンが持っていた粉ってかなり恐ろしい薬だったのね」

 「で、その出所を調べている最中なんです」

 「実は、噂話なのだけれどデスニア帝国のアーザノイルって街で薬をモンスターに届けるっていうバイトがあってね。その仕事をすると報酬金が大量に貰えるんですって」

 「それが本当なら行ってみる必要がありますね」

 

 シャーナの情報が確かなら一度アーザノイルに向かい真相を確かめる必要がある。それを聞いてガイルが口を挟む。


 「アーザノイルに向かうの?だったらお願いがあるのよ」


 ガイルが言うにはアーザノイルは豚肉とワインが産地として有名らしく、輸入したかったのだがモンスターに妨害されて輸入ができないでいた。ギルドに依頼をしてみたがモンスターの凶暴化の影響により、誰も依頼を受けてくれる人がいなかったらしい。

 オゼットはガイルのお願いを受け入れ、ウインチェルと共にイスフェシアの宮殿に戻る事にした。


 「シャーナさん、情報を教えて頂きありがとうございます」

 「いいえ、オゼットさん達もお元気で…ラルマ君に宜しくって伝えてくださいね♪」

 

 ウインチェルの転移魔法でイスフェシアに戻り、王宮の間に向かうとモーレアとアルメリアが話し合いをしている。モーレアが気付いて話しかけてくる。


 「ようお二人さん、白い粉について何かわかったか?」

 「アーザノイルって街に白い粉に関するバイトがあるって情報を聞きました」

 「そうか、なら話が早い。明日の朝にウインチェルの転移魔法でアーザノイルに向かってもらい、白い粉の出所について情報収集をしてもらい、その出所を叩いて欲しいんだ。メンバーはオゼット、ウインチェル、アルメリアの三人で、隠密行動で頼む」

 

 オゼットはモーレアに何故隠密行動なのかを尋ねるとアルメリアが代わりに説明をする。アーザノイルは他国の人が入る事を一部の商人や認められた人物を除き、禁止にしているらしい。武器に関してもデスニアの兵士やギルドの傭兵以外は所持することも認められていないため、ウインチェルみたいな魔法を得意とする者かオゼットみたいに空間から武器を取り出せる者の方が今回の任務は適任だと言う。


 「では明日、アーザノイルに向かってこの事件を終わらせましょう!!」

 「おー!」


 皆が手をあげて、早速アーザノイルに向かう事にした。


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