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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
最終章 グランドフィナーレ・アルカディア編
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最終話 この世界に感謝を!!

 

 目を覚ました俺は皆と一緒に朝食を取り、会話を楽しんだ後に黎明の塔に向かう。

 入り口にはレイブン、ルアール、ジャックが待っていた。

 

 「さあ今こそ約束を果たせ、女神フェリシアよ!」

 

 レイブンがCCSを空にかざすとフェリシアが姿を表す。

 フェリシアは魔法陣を展開すると魔法陣は金色に輝きCCSに入っていた魂達は魔法陣に吸い込まれていく。

 

 「さぁ魂達よ、帰るべき場所に行きなさい」

 

 大量の魂は空高く飛んでそれぞれ別の方向に散っていき、その内真理達の魂はこの場所に留まる。段々と体が浮かび上がっていく。

 

 「……ん……」

 「真理!!」

 「おはよう翼……」

 

 寝ぼけているのかはわからないが真理は俺に抱きついてきた。

 そして、ラピスと亜紀も現界する。レイブンは亜紀の頭を撫でる。


 「待たせたな亜紀」

 「えっと、こういう時なんて言ったら良いかわからないんだけど、とりあえず……ただいま!」

 「……ああ、おかえり。これからはこの世界でまた一緒に暮らそう」

 「中佐殿、私には?」

 「ラピスもおかえり。お前は自由に生きろっと言いたいんだが…………俺と一緒に来ないか?」

 「!? 中佐殿が優しい!!」

 

 ラピスは驚いて一瞬、意識を失いそうになるがレイブンが倒れそうになったラピスを抱えるとラピスは顔が真っ赤になって完全に意識を失ってしまった。

 

 「あ~ラピスちゃんには刺激が強かったみたいだね」

 「お前達はどうする?」

 「そうね。昨日の一件であたし達はイスフェシア皇国に居ても犯罪者扱いにならなくなったし、この国のギルド長からスカウトされたんだよね」

 「我々はここに残ることにしました。中佐殿もこの国で暮らしませんか?」

 「ありがとう。だが俺がこの大陸にいると亜紀が安心して住めないからな。だからここから北の大陸に移住するつもりだ」

 「そうですか……あなたと共に戦えて私は誇りに思います中佐殿」

 

 ジャックはレイブンに握手をして敬礼をする。

 そしてここに現界したのは真理、ラピス、亜紀だけではない。入り口の端に二人ほど現界している。

 

 「……」

 

 フェリシアは端にいるウインチェルと蓮に話を掛ける。

 

 「ごきげんようウインチェル」

 「フェリシア様……何故私を蘇らせたのですか?」

 「あなたは今回大罪を犯したからね。その罪滅ぼしをしてもらいます」

 「……何なりと」


 フェリシアと話している最中にマリー様が入ってくる。


 「待ってくださいフェリシア様、彼女をどうするおつもりです?」

 「彼女がした事はとても重い。その罪に見合った罰を与えなければなりません」

 

 フェリシアはウインチェルに魔法を掛ける。煙に覆われ姿が変わったとマリー様は嘆くがアルメリアはよく見てと指をさす。それは魔女と呼ばれた者とはとても思えない……メイドの格好になっていたのだ。


 「…………はい?」

 「あなたはこれから私の専属のメイドになってもらいます」

 「え?」

 「女神のメイドになった以上、寿命や事故、病等で死ねるとは思わないことです。雄一の友として私に付き合ってもらうので覚悟しなさい」

 

 メイドの格好を鏡でみたウインチェルは恥ずかしくなる。正直、魔女の格好も恥ずかしいと思っていたんだけど本人からすればあれが私服だったから何とも思わなかったんだな……。

 

 「早速ですが命じます。彼を元の世界に帰らせてください」

 「いいのか?俺も同罪だろ」

 「あなたは帝国から自分の世界を守る為に戦った。そしてその活躍のおかげで5年後の翼様達の世界に帝国が来ることはなくなった。よってあなたの罪は軽減し、元の世界に帰ってこの世界での記憶を抹消することで罪の償いとします。それともあなたもメイドになりますか?」

 「いいやメイドは遠慮させてもらう。しかし随分と甘く優しいんだな女神様は」

 「女神ですので鬼でも悪魔でもありません」

 「そうか……ありがとう」

 

 蓮はフェリシアに頭を下げるとウインチェルは魔法陣を展開して転移魔法で元の世界に帰るのであった。


 そしていよいよ俺達も元の世界に帰ると皆にお別れを言う。ミーアとラルマは泣きながら抱きつくと俺は二人を撫でながらいつか遊びに行くと約束をした。

 

 「それでは二人共、準備はよろしいでしょうか?」

 「はい。お願いします」


 フェリシアが転移魔法を発動し皆に手を振って挨拶をするとIMSPが黒いオーラが湧き出る。


 「何だ!?」


 IMSPから声が聞こえる。


 ―フハハハハハ。まだだ、まだ終わっていないぞ!!―

 「その声、ヴェノムか!?」

 ―我を倒したと思ったのか?甘いなイスフェシアの勇者よ!―

 

 あの時確かにアームスヴァルトニルごと光粒子に変えたと思っていたが、奴は光粒子になる直前に魂を体と分離させてIMSPに憑依したらしい。

 

「邪神ともあろう者が疫病神になるとは落ちたものだな」

 ―ふん、何とでも言うがいい。今にこの男の体を乗っ取り今度こそこの世界を滅ぼして我が世界を創ってくれるわ!!―

 

 IMSPからでる黒いオーラが俺を包み始め、抵抗すると心臓が鷲掴みされたかの様に苦しくなる。


 「ぐっ!!」

 「翼!」

 「オゼット!」

 ―無駄だ。まもなくこの者はイスフェシアの勇者ではなくイスフェシアの魔王として我が手駒にしてくれる!―


 フェリシアが魔力をIMSPに注ぎ込んでヴェノムを消滅させようとするが通用しない。何か方法がないのかとミーアとラルマとラーシャは焦る。

 

 「何故、私の魔力が利かないのです!?」

 ―今の我はこのIMSPとかいうアイテムのデータとして生きている。つまり貴様らの世界でいうところのウイルスのようなものだ―

 「!?」

 ―おっとこのアイテムのことはある程度調べさせてもらった。“しゃっとだうん”をしても我から無理やり起動してこの者を乗っ取れるし“あぷり”を消すとかいう方法も我はウイルス故に消すことはできぬ!!―


 ヴェノムは高笑いし皆が絶望している中、俺とレイブンと真理はきょとんと啞然している。3人の顔を見てついに諦めたのかと勝利を確信したヴェノムは笑いが止まらないでいる。


 ―さぁ、今こそこの世界に絶望を!!―

 「……なんつーかお前、邪神でも疫病神でもない残念神だな」

 ―負け惜しみを。イスフェシアの勇者を乗っ取ったら次はお前だ圭一!覚悟しろ!!―

 「ねぇフェリシアさん。このIMSPって私達のスマホと変わらないのよね?」

 「はい。IMSPは特殊な2つの魔石を組み込むことによって適合した人の魔力を無尽蔵にする事ができるのと翼様がやっていたゲームのキャラクターの能力、武器と魔術、アイテムを使う事ができます。それ以外はあなた達がいた世界の物と変わりありません」

 

 真理が確認したおかげで俺はこいつを倒す方法を確信した。

 黒いオーラに抵抗しながらIMSPの詳細設定画面を開き、“オプション”から“リセット”を選択する。すると警告のポップアップが表示されてその中にある“はい”を迷わず選択した。

 “しばらくお待ちください”のメッセージが表示されるとヴェノムは急に苦しみ出した。


 ―ぐあああ!!貴様ら何をした!?―

 「何ってフォーマットだよ。初期化して最初の出荷時状態にするんだ」

 ―……は?―

 「分かってねぁから説明するとフォーマットするとアプリやウイルス関係なく全てのデータを削除するんだ。つまりウイルスというデータになったお前は死ぬ」

 ―ば、馬鹿な!?それではこやつの力も消えるということになるのだぞ!!―

 「もうこの力を使うことはないだろうし、人々が望むなら俺はこの力を捨てることもできるよ」

 ―何故だ!何故我がこんな人間如きに二度も負ける!!―

 「今度こそさよならだヴェノム」

 ―何故だああああああああ!!!!!―


 “完了”の文字と共にヴェノムの声は途切れIMSPは再起動を始める。画面が再び明るくなると“こんにちは”の文字が表示される、フォーマットは無事に完了したみたいだ。


 フェリシア達は何が起きたのか理解が追いついていないが真理はとりあえず邪神は死んだと説明する。

 気を取り直して俺と真理はフェリシアに元の世界に帰る為に転移魔法を発動してくれと頼む。

 モーレア達は近づいて別れの挨拶をする。


 「最後の最後で邪魔が入ったが今度こそお別れだな。お前と一緒にいれて楽しかったぜ!」

 「いつでもまた遊びにいらっしゃい。お店に来たらサービスしちゃうわよ」

 「今度フェリシア様にお願いしてお兄ちゃんの世界に旅行しに行くよ!そしたらいつでも会えるよね!」

 「だから僕たちのこと忘れないでくださいね」

 「ラルマ君、この世界の出来事を忘れるなんて出来ないと思うわよ。もし忘れたら私が思い出させるために解剖手術をしてあげる」

 「オゼットさん、真理さん。本当にこの国を……世界を救っていただきありがとうございました」



 転移魔法で体が段々と消え始める。ミーアとラルマは泣きながら手を振ってくれる。

 

 「皆、ありがとう!!」

 「また遊びにくるからね!」


 俺と真理は光に包まれてこの世界から消えた。






 あれから数ヶ月が経った。新しい会社に入って今は仕事を覚えるので忙しいが、たまにIMSPでフェリシアと連絡を取っている。

 フェリシア曰はく。あれからイスフェシア皇国とテレン聖教皇国はデスニア帝国からの侵略はなくなったらしい。帝国には俺と真理とレイブン率いる919小隊がまだあの国にいるという偽の情報を流しているみたいで、そのおかげでちょっかいを出したら国を滅ぼしかねないと判断しているようだ。


 マリー様はハーゲン皇帝と協力して国の復興と進展を目指している。彼女を支えるためにモーレアとアルメリアは仕事をこなしている。ガイルは自分が持つお店の3号店をオープンさせることに成功し忙しいそうだ。


 ミーアとラルマとラーシャは仲良く遊んで最近はオルトカリス学園で魔術を学んでおり、よくいたずらをして先生に怒られているらしいが楽しくやっているようだ。


 フェリシアのメイドとなったウインチェルは彼女のご奉仕と並行して世界の秩序を守る仕事をしている。そしてたまに2人で秋葉原に遊びにいっており今度真理と一緒に遊ぶ約束をした。


 レイブンは黒井圭一として妹の亜紀さんとラピスさんと一緒にアーガイル大陸から北にある大陸に移住して平和に過ごしているらしい。CCSはまだ所持しているがフェリシアが改造して魂ではなく魔力を消費することで時を止める能力を発動できる様になったとのことだ。その為時を止められる時間は短くなったそうだが非常時以外は使わないと彼は言っている。


 メシア……来須蓮は元の世界に帰えると帝国が転移魔法で彼の世界に転移して世界を滅ぼしたという歴史が変わって今は弟の勝君と友達でキャンプをしているらしい。彼は俺達と違い5年後の未来の人間だから彼に会うことはなく彼についての細かな詳細や未来の話は出来ないとフェリシアに釘を刺される。


 真理は俺と同棲し今はIT業界の開発部に入社しプログラミングの勉強をしている。

 正直、お互いに仕事で忙しいが今はとても幸せだ。

 いつかまたあの異世界に遊びに行こうと俺達は約束する。俺の机の上には皆との思い出が詰まったIMSPを大切に飾っているのであった。



ここまで読んでいただき誠にありがとうございます!

これにて魔法の国と異世界転移者はおしまいになります。


経蔵と国416さんの依頼でこの作品を書きましていろいろありましたが、おかげさまで想像力豊かになって楽しく書くことができました。

またご縁がありましたらよろしくお願い致します。


この2年間、本当にありがとうございました!!

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