表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
最終章 グランドフィナーレ・アルカディア編
149/150

149話 神様、この声が聞こえますか?

 

 黎明の塔の頂上にたどり着くと皆が集まってくる。

 

 「オゼット!見てたぜお前の活躍をよ。あの化物は光になって散ったみたいだな」

 「ああ、やってやったぜ」


 俺は拳を上げるとレイブンはその拳にフィスト・バンプする。

 アルメリアは直ぐに治療魔法で回復させようとするが全く負傷が見当たらない。黄金のIMSPのおかげなのか痛みも疲れも感じない。

 

 俺はレイブンにCCSを返すとレイブンはCCSの中にいるフェリシアに声をかける。


 「約束だ。亜紀とラピスを蘇らせろ!!」

 ―いいでしょう。しかし今はまだ魔力が完全に戻っていません。明日にはこの腕時計の中にいる魂全員を蘇らせますのでお時間くださいー

 「……わかった」

 

 レイブンはルアール達と一緒に黎明の塔から地上に降りようとするとミーアがラーシャの肩を掴む。

 

 「待って!!皆何処に行くの?」

 「そうね~。とりあえず野宿かな?あたしらお尋ね者だけじゃなくて帝国の軍にも追われているし、もしよかったらラーシャちゃんだけでもそっちに泊めていただけると嬉しいんだけど……」

 

 ルアールが答えるとミーアはいっそ皆でイスフェシア城に来ないかと提案する。

 モーレアとアルメリアは反対したがマリー様は別に良いと言ってレイブン達を歓迎する。

 ルアールはお言葉に甘えてイスフェシア城に行こうとジャックとラーシャを引っ張ってイスフェシア城に向かうとするとレイブンは一人になりたいと別行動を取ろうとする。

 

 「いいじゃないか、みんなで一緒に祝杯をあげようじゃないか」

 「祝杯をあげるなら亜紀とラピスが蘇ってからにしたい。俺はいいからお前達だけでイスフェシア城でゆっくり休め」

 「つれないな~」

 「そうだよ!レイ兄ぃがいないと寂しいよ!」

 「中佐殿、確かにイスフェシア皇国とは敵対関係でしたが今は共に戦った戦友です。もういがみ合う必要もありません。ここは友好関係を深めるためにも祝杯をあげましょう」

 「…………なぁジャック、それって俺達側が言うセリフじゃなくね?イスフェシアの奴らが言うならまだしもお前が言ってもただ図々しいだけだぞ」

 

 レイブン達の会話を聞いてマリー様は微笑む。

 「良いではありませんか。あなた達と私達、そしてこの戦い関わった全ての人達と協力して勝利したのですから是非私の城にいらしてゆっくりしていってください」

 「……勝手にしろ」

 「やった~!ありがとう中佐殿!」

 

 ルアールはレイブンに抱きつくとそれを振り払う様にレイブンは抵抗した。

 

 「なぁ女皇様、俺達も行っていいか?」

 「良いですよ」

 「おっしゃ!タダ飯が食える!!」

 「おいボーマ!無礼だぞ!」


 ボーマ、ハンソン、ナリタもイスフェシア城に行くことが決まった。モーレアはこうなったら盛大に宴をしようじゃないかと少しやけになる。それを見たガイルは笑いながら彼女の肩を叩く。


 「じゃあ皆で帰りますか」


 俺達は転移魔法でイスフェシア皇国に戻るのであった。





 戦いが終わって夜を迎える。カタカリ大草原で人形と魔物の軍勢と戦ったソルジェスの傭兵達やエンザント村の人達を集めイスフェシア城の食堂で祝杯をあげる。

 

 「いや~マジで今回は死んだと思ったわー」

 「斬っても斬っても魔物共はどっからともなく増えてきたからね、あのままだったら確実に負けていたわ」

 「俺は魔物よりも料理長の魔法で死ぬと思ったがな」

 「俺の戦術と魔法のおかげで勝ったようなもんだな」

 「いいや、私達エンザントの同士達が奴らの心臓を打ち抜いたおかげだ!」

 「いや、俺が手際よく人形共を斬り捨てたおかげだろ!」

 

 ディズヌフ、レバン、アーリーレッドはワインを飲みながら己の戦果を自慢し合う。

 エトがこの場から離脱しようとするとアーリーレッドが拘束して自慢話を続ける。エトは帰りたいと思いながら3人の話を聞く。

 

 「にしてもあなたよく生きていたわね」

 「大変だったのよ、ウインチェルに顔を焼かれて元の顔にするのは」

 「もしかして自分の顔を元に戻すのに時間がかかったから来るのが遅れたわけじゃねえよな?」

 「当たり前じゃない。あんな顔でマリー様にお会いなんてできないわよ」

 「お前……」

 「アルメリア、あなたが無事に帰って来てくれて嬉しいわ」

 「ありがとうございます!マリー様!!」

 

 モーレア、アルメリア、ガイル、マリーは料理長が作った料理を食べてゆっくりと話をしている。

 厨房では料理長とキュラスが料理人達と共に張り切って料理を作り提供している。

 

 「ありがとうございます。キュラスさんあなたのおかげで料理の提供が間に合っています」

 「私の触手が役に立てて良かったです」

 「マリー様に報酬金を弾んでいただけるようにお願いしていますのでよろしくお願いします!」

 「流石料理長、大好き!!」


 キュラスは料理長に抱きつく、触手が絡まって料理長は抜け出せない。

 それを遠くから見ているルアールはにやけている。


 「いいね~。青春しているー」

 「あの年齢で青春って……青春は20代前半までだと思っていました」

 「馬鹿だねー青春に年齢なんて関係ないよ。あたしらで証明してみる?」

 「酔っていますね。すぐに休まれた方が良いかと」

 「じゃあおぶって部屋まで連れていって~」

 「やれやれ、青春というよりも子守りですね」


 そして、別の席ではミーア、ラルマ、ラーシャがジュースを飲んでいる。しかし周りの雰囲気に馴染めないでいる。

 

 「なんかお酒臭いね」

 「ねぇ、良かったらあたしの部屋にいって遊ぼうよ」

 「そうだね。あ、でもその前に料理長に注文したプリンアラモードを取りに行ってからにしよう!」

 「流石ラルマ君!行こう!!」


 子ども達は厨房まで走り出し、プリンアラモードを取りに行く。

 

 

 

 

 一方、俺はのんびりしたいと外に出て散歩しているとレイブンが風にあたりながらCCSの中にいる亜紀と話をしていた。

 

 「何だ、お前も外に出ていたのか」

 「……ああ、俺は賑やかな場所は苦手なんでな」

 「根暗だな」

 「お前みたいなチーターゲーマーに言われたくねぇ」

 「チーターじゃねえし……ん?何で俺がゲーマーだと?」

 「こいつに聞いた」

 

 CCSから真理の声が聞こえる。


 ―世界の危機だったのに私、何もできなかった……―

 ―そんなことないですよ。真理さんはオゼットさんにペンダントを渡したからこそヴェノムを倒すことができたんですから。私なんか中佐殿のお荷物にしかならなかったです……―

 「……ちょうどいい。こいつらを何とかしてくれないか?」


 どうやら真理とラピスが落ち込んでいるので、レイブンと亜紀で励ましていたらしい。

 何とかして真理達を慰めている間にIMSPが鳴り出す。ある意味、初めて電話が鳴ったと驚くが通話を始めるとフェリシアから明日は黎明の塔で真理達を復活させるので昼に現地に集まってと言われる。いつの間にCCSからあの黒い空間に行ったのかは知らないが、どうやら彼女は魂になっても自身の体をいくらでも復活させることができるみたいだ。

 

 「いよいよか。この世界とお別れか……」

 「ほう、お前達は元の世界に帰るのか」

 「ん?そういうお前はどうするんの?」

 「亜紀と一緒に違う大陸に移住するつもりだ。ここにいては何かとめんどいことになるからな」

 ―あ~中佐殿!私も一緒に連れていってくださいね。そして新しい土地で新婚生活が始まるのです!―

 「は?お前何言って…」

 ―いいじゃん。ラピスさんがお義姉さんならあたしは文句ないよ!―

 ―愛していますよ。あ・な・た♡ー

 

 あの殺人鬼と呼ばれていたレイブンが戸惑っている。その姿を見て思わず笑ってしまう。

 レイブンは黙って俺の肩を叩く。他愛無い会話をしていたら夜遅くなって明日に備えようとレイブンと別れて寝ることにした。

 

 この世界とさよならをするのは寂しいけど、惜しんでいたら人生先に進まないよな。そう思って今夜はゆっくりと眠りについた。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ