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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
最終章 グランドフィナーレ・アルカディア編
136/150

136話 黎明の塔


 イスフェシア皇国に戻りオゼットはメシアにやられた傷を治療するために緊急手術室に運ばれる。レイブンはラーシャの治療魔法で回復してもらい、先程頼んだルアール達の捜索はどうなったかを聞く。するとラーシャは首を振って涙目になる。レイブンはそんなラーシャの頭を撫でる。


 「心配するなラーシャ、お前が必死に探してあいつらがいなかったということは生きて何処かに移動している可能性があるということだ。だからあいつらを信じろ」

 「うん……」


 一方、モーレア達は料理長がメシアに仕込ませた石で彼らが何処にいるのかを調べている。その結果、イスフェシア皇国から北東にある“黎明の塔”と呼ばれる所にいることがわかった。


 黎明の塔とは特殊な魔石で作られた約300mも高さがある塔で空気中の酸素を取り込んでそれを地面に流し込むことによって豊かな自然を維持し、付近から魔石が採取できるようになる世界遺産的な場所だ。イスフェシア皇国に住む魔術師達はこの黎明の塔で修行することで一人前になれるとも言われている。


 イスフェシア皇国の真下にも同じ巨大な魔石が埋まっており、魔石から発生している魔力は地面に流れ、木や植物から酸素が放出される。そして国中に魔力の酸素が充満するためこの国に滞在している間は魔力の回復が早いのだ。そしてイスフェシア皇国の周りにある高山から採取できる魔石もこの魔石による影響らしい。

 

 「あそこならこの国と同レベルで魔法が使い放題だからな、ある意味でウインチェルはあそこにいる間は転移者とも張り合えるだろうよ」

 「で、どうするのよ?何か作戦はないの?」

 「コンダート王国に救援を求めようとしたところ、どうやらこの国から南の隣国との国境に結界が張られているらしくその影響で連絡もできねぇし、国境を越えることもできねぇぜ」

 

 モーレアは笑いながら言うがガイルはシャレにならんと肩を叩く。

 レイブンは黎明の塔にウインチェル達がいるとわかると王宮の間に出ようとする。


 「おい、一人でいったところで何もできねぇだろ」

 「ここで何もしないよりはマシだ。ラーシャ、お前はここにいろ」

 「なんで!?あたしも一緒に行く!!」

 「お前はルアール達と合流したら敵が黎明の塔にいると伝えてほしい。それまでは再びあいつらを探してくれ」

 「でも一人じゃ危ないよ!皆で一緒に戦えば……」

 「確かにそうかもな、だがイスフェシアの勇者の回復を待っている間にあの魔女共はあの月の魔獣を目覚めさせる。そうなればもう打つ手がなく俺達は何もできず仲良死って訳だ……そんなのごめんだ」

 「待て、俺達も共に行こう。少しでも時間を稼ぐことができれば打開策もひらめくはずだ」


 ハンソン、ボーマ、ナリタがレイブンの後についていくと言う。


 「お前達はテレン聖教皇国の騎士団だろう?いいのか自分の国を守らなくて?」

 「我が国は騎士団が守りを固めている。それに守っているだけでは解決もできないだろう?」


 レイブンは勝手にしろと黒い空間を出現させて共に黎明の塔に向かった。





 一方、オゼットは手術が終わりベッドで意識を取り戻す。


 「ここは……っつ!?」

 「まだ安静にしてなきゃダメだよ!」


近くにはミーアとラルマがいた。どうやら心配してここで見守っていたらしい。

 状況を聞くとついさっきラーシャからレイブンとテレンの三騎士達はさきにウインチェルがいるところに向かったと連絡があった。それを聞いて起き上がろうとするが全身に痛みが走る。


 「無理しちゃダメだよ!」

 「悪いな、ここでのんびりしていたら真理はあの月の魔獣の生贄にされてしまう。その前に絶対に阻止しなきゃならないんだ」

 「でも……」

 「まあ見てな」


 IMSPのアイテムメニューを開きファンタジー・ワールドから購入したギガポーションを召喚し、それを一気飲みする。飲み終えたら再びギガポーションを召喚して体力と魔力を回復し続ける。


 「すごい、まるでドーピングみたい」

 「おいやめろ、そう言われるとなんか悪いことしているみたいで罪悪感がでる」


 メシアによって与えられた傷は塞がり痛みは消える。ベッドから起き上がり王宮の間に向かうとモーレア達はオゼットを見て驚いた。


 「おいおいあんなに重傷だったのに何をしたらそんなに元気になるんだよ?」

 「ドリンクを飲みまくっただけさ」

 「まったく、勇者様は常識が通用しないな」


 モーレアは驚きを通り越して呆れるとガイルは涙を流しながらオゼットを抱きしめる。抱きしめが強い所為かミシミシと良くない音が聞こえてくる。


 「オゼットちゃん~治って良かったわ!」

 「ちょ、ガイルさん。ダメージが入っている、入っているから!」

 「んもぅ、そんなに恥ずかしがることなんてないのに……」


 ガイルはオゼットから離れるとモーレアは気を取り直して説明をしようとする。


 「……では、俺達三人は黎明の塔に行きウインチェルの暴走を止める。ミーアとラルマはラーシャと共にレイブンが言っていた奴らの捜索に協力してやってくれ」

 「わかったよ!!」

 「行こうラーシャちゃん!」


 ミーア達はワイバーンに乗って再びルアール達の捜索に行く。


 「伝令!ソルジェスに行ってこの国の守りを固める様に伝えろ!そして第二、第三騎士団には国の守りを徹底させ第一騎士団は俺達の後に黎明の塔に攻め込め。作戦は今から40分後だ。それまでに準備させろ!!」

 「はっ!」


 伝令は直ぐに王宮の間から出て戦いの準備を始める。そしてオゼット達はワイバーンに乗って黎明の塔に向かうのであった。


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