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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
13章 テイク・バック・ザ・フューチャー編
126/150

126話 幸せだった日……

 

 急いで勝達のところに戻るとそこには有り得ない状況になっていた。ゲームとかアニメで見たことがあるミノタウロスや人狼、スキュラ等のモンスターが人々を襲っては喰っている。


 「た、助けてくれぇ!!」

 

 男の言葉は虚しくモンスターは男の肩を掴み頭から喰べていく。骨を砕く音がこちらまで聞こえる。

 

 「勝!圭太!八重樫!どこだ!!」

 

 皆を探すが近くにはいない。もしかしたら船が停泊している女木港にいるかもしれない。モンスターから逃げながら女木港へと向かう。するとそこには圭太と八重樫がいた。

 

 「圭太、八重樫、無事か!?」

 「蓮、お前も無事だったか!あれ、杉山は!?」

 「静香は……」


 俺の顔を見て二人は察した。勝は何処にいるのかを聞くと途中ではぐれてしまい、もしかしたらここにいるかもしれないと少し前に辿り着いたらしい。

 しかしここには勝はいない。まだあの海岸周辺にいるかもしれない。俺は急いで海岸に戻ろうとすると圭太もついていくと言う。八重樫は勝がここに辿り着くことも考え、ここに残ることにした。


 「二人気を付けて!」

 「お前もな!もし危なくなったら逃げるんだぞ!!」


 俺達は再び海岸へと戻ると辺りには肉の破片や骨が散らばっている。見ているだけで吐きそうになる。


 「ガアアアアアアアア!!!」


 モンスターがこちらに走って来た。圭太は近くに落ちていたパラソルを掴んで反撃をする。


 「やられてたまるかぁ!!」


 パラソルの先端がモンスターの目に刺さる。モンスターが怯んでいる間に俺達は逃げた。

 海岸と海にはモンスターが徘徊している。いったい勝は何処にいるんだ!?

 段々と焦りで冷静さがなくなっていく。あと心当たりがあるとすれば……。


 「あそこかもしれん」


 俺は静香と二人で向かった海岸に行く。もしかしたら勝は俺達の後をついて行ったかもしれない。

 一瞬、静香が喰われた光景が横切り思わず走るのを止めて膝をついてしまう。

 それを見た圭太はしっかりしろと喝を入れて無理やり俺を立たしてくれた。


 そしてあの海岸に到着する。辺りには人やモンスターは見当たらない。大声で勝を呼びかけたいが、それにモンスターが反応すると厄介だ。


 俺達は岩陰に隠れながら勝を探す。少し進んだ先に子どもしか入れない程の小さな隙間を見つける。


「勝、いるか!」


 俺は危険を覚悟してその隙間に叫ぶとひょこっと勝が出て来て俺に抱きついた。


 「お、お兄ちゃああん!!」

 「よしよし怖かったよな。もう大丈夫だ」

 「よし急いで八重樫に連絡して合流しよう!」


 圭太は八重樫に連絡して繋がる。


 「おい、麻里奈!大丈夫か?」

 『ええ、大丈夫よ。そっちは?』

 「勝君は見つかったぜ。今からそっちに行くから!」

 『わかったわ。まってい』


 途中で八重樫の声が途切れる。よく聞こうとすると人々の悲鳴が聞こえてくる。圭太は必死に八重樫に声をかけるが返事は帰って来ない……。

 圭太はその場で膝をついた。俺はまだ八重樫が死んだわけじゃないと言い、女木港に向かおうと提案する。

 俺達3人は再び女木港に向かう最中、一人の男を見かける。その男はアサルトライフルを持っている。


 「もしかして自衛隊か!?」

 「助かった!!」


 圭太はその男に助けを求めようと手を振りながら近づいていく。男は俺達を見るとトランシーバーみたいな通信機で連絡を取っている。


 「助けてください!海岸中にモンスターが!」

 「……」


 男の様子が何かおかしい。俺は圭太を止めようと肩を掴むと圭太は俺の手を払い、男に近づいた。

すると男はアサルトライフルを圭太に向ける。


 「へっ?」


ダダダダダッ!!!


 銃弾は圭太の体中を貫いた。圭太は倒れると男は圭太がまだ息をしている事を確認すると頭にアサルトライフルを近づけて止めを刺す。


 「圭太!!」


 次に男は俺達に銃口を向ける。俺は全力で近づいてアサルトライフルを掴み、銃口を上に向ける。

 必死に抵抗している中、勝は砂を掴んで男の顔に投げる。男が怯んでいる間に俺はアサルトライフルを奪って勝と一緒にその場から離れた。

 男は通信機で何か話している。何を言っているのかは日本語ではないので全然わからないがおそらくは増援を呼んでいるかもしれない。

 俺と勝は八重樫がいるはずの女木港まで走った。





 辿り着いた女木港にはモンスターはいなかったが船は半分に折られて沈没している。八重樫やモンスターから逃げた人々は見当たらない。


 「お兄ちゃん、怖いよ~」

 「大丈夫だ。俺達は絶対に死なない」


 勝を元気付けるために頭をなでると地面に薬莢が落ちている。まさか八重樫はモンスターではなく、さっきいた男の仲間に襲われたかもしれない。そう思うと段々怒りが高ぶってくる。

 しかし死体がないということは八重樫がまだ生きている可能性はある。俺達は周囲を歩いて八重樫を探した。

 そして合流できたとしてこの島から脱出できるようにボートがないかも探す。


 少しして歩き続けると銃を持った男の集団が話をしている。急いで俺達は物陰に隠れる。

 相変わらず何を言っているのかはわからないが男の一人が北西の方角に指をさす。あそこは鬼ヶ島大洞窟がある方向だ。もしかしたらそこに何かあるかもしれない。


 俺達はモンスターと男達に発見されないように鬼ヶ島大洞窟へと向かった。





 約一時間かけて目的地へと辿り着いた。勝は恐怖と疲れで現界を迎え始めている。早く何とかしなければ……。

 洞窟の中に入ると捕まっている人々がいる。どうやらあの男達がここに連れて来られたのだろう。

 助けたいが近くには見張りもいて迂闊には動けない状態である。

 

 「お兄ちゃん、あそこ」


 勝が指をさした先には八重樫が捕らわれていた。そして更に別の所には死体の山があり、その中には圭太もいる。


 「あいつら……ふざけやがって!!」


 俺はその光景を見て我慢の限界を迎えた。怒りが力へと変わる。

 勝にはここに隠れていろと言い。俺は飛び出して見張りしている男達にアサルトライフルをぶっ放す。

 

ダダダダダダダダダダッ!!!!

 

 男達も応戦し銃弾が飛び交う。捕まっている人々に流れ弾が当たらない様に移動し男達の体に命中していく。

 思ったより弾が当たらない。撃った反動が大きすぎて全然狙い通りにならないのだ。だったら……。

 俺は可能な限り男に近づいてその腹に目掛けて引き金をひく。この距離なら撃つのが下手くそでも当たる。

 そしてそのまま撃った男を盾にしてもう一人の男を狙う。これならそう簡単に撃つことができないはずだ。


 しかしもう一人の男は何の迷いも無しにこちらを撃ってきた。盾になった男は蜂の巣になる。あいつら仲間がどうなってもいいのか!?


カチッカチッ


 「ちっ!」


 どうやら弾が切れたらしい。それに気づいた男はこっちに走ってくる。俺はアサルトライフルを男に目掛けてぶん投げた。アサルトライフルは男の頭に直撃し、怯んだ瞬間に一気に近づいて男が持っていたハンドガンを奪い頭に向けて撃った。


ダンッ!!


 その一撃は確実に男を仕留めた。しかしその後に冷静になって我に返る。俺は二人も人を……殺した。

人殺しになってしまったんだ。勝はその俺の姿を見て怯える。


 「勝……」

 「こっちに来ないで!!」


 勝は泣きながら洞窟を抜けて逃げて走っていった。



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