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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
12章 ファンタジー・トップ・シェフ編
118/150

118話 忍者みたいな料理人と赤い球体

 

 会場に向かうとモンスター達が暴れている。マリー様はアルメリアによって守られてモーレアはコンダート王国の軍人達と共に戦っている。

 

 「あ、オゼットさん」

 「マリー様!状況はどうなっているんです?」

 「今回の事件はエビファイさんの仕業で彼が観客達をモンスターにして暴れさせているのです」

 「わかりました。エビファイはどこに?」

 「国王と護衛が追ってあっちに行きました」


 マリー様が指さした方向に急いで向かう。





 走って奥に進むとエグザードの広場でエビファイと戦っているワタとエレザがいた。

エビファイが魔法を唱えるとエビファイが2人、10人……とどんどん増えていき、分身したエビファイが空高くジャンプし、一斉に両手に持ったサブマシンガンを乱射する。まるで雨のように弾丸が飛び交う。


 「ワタ!」

 「くそっ!」


 エレザはワタを庇うがこの広場では四方八方に飛んでくる弾丸を防ぐ方法はない。


 「『タキオンソニック』!!『龍炎双牙』!」


 俺は飛んでいる弾丸を灰にしながらライトセイバーで残りの弾丸を切り捨てる。ワタには見えていないが、エレザには俺の姿が見えているらしい。全ての弾丸を切り落として『タキオンソニック』を解除する。


 「全く、来るならさっさと来い」

 「お待たせしましたエレザさん、そしてお久しぶりですね。ワタ」



 エビファイは一瞬焦るが直ぐに冷静になってこちらを見る。よく見たらあの二丁のサブマシンガンは見覚えがある。


 「ちっ、しかし1人増えたところで私に勝てると思いで?」

 「2丁持ちサブマシンガンの男、お前があの時の!」

 「皆まとめて死になさい!!」


 分身が撃った弾幕は俺が『タキオンソニック』を発動して全て弾く。その間にエレザとワタでエビファイ達を撃っていくと姿が消えていく。どうやら分身は一撃を与えると消えるみたいだ。


 エレザは目を閉じて集中すると分身は周囲には魔力の塊が感じる、この魔力の塊が分身だと言う。そして1体だけ魔力とは別に気配を持った個体を感じると、エレザは気配を持った個体にSIGP226で撃つ。


 「そこだ!」


 撃たれてエビファイは倒れると周囲にいた分身は消えていく。

 俺とワタはエビファイに近づいて剣と銃を向ける。


 「終わりだ。エビファイ」

 「まさか私の『リアリティ・デコイ』を見破るとは……しかし私が負けても“私達”の勝利は揺るがない!」

 「何!?」

 「上を見なさい」


 エビファイが空中に指をさすと上空には赤い球体が浮いてどんどん大きくなっていく。


 「あれは先程、観客達や警備共をモンスターにした結界と同じ効果がある粒子の塊です。あれを爆発させればこのコンダート王国に住む全ての人はモンスターになり、獣の国へと変わるでしょう。そうなれば休戦協定も関係なく私の力でこの国全てを支配できます……私達の勝ちです!!」


 エビファイが話しているとモンスターが近づいて俺達を囲む。


 「おい、お前確かその魔石でモンスターを意のままに命令する事ができるって言ったよな?」


 ワタはエビファイからモンスターを操る魔石を奪ってモンスターを制止するように命じる。しかしモンスター達は暴れるのを止めない。


 「無駄ですよ。それは私にしか使えないし私が絶対にモンスターの暴走を止める気はありません!」

 「そうか……オゼット、ここは俺達に任せて君はメリア達のところに向かってくれ。すぐに追いつく」

 「わかりました」


 俺はメリア達がいる所に走っていく。





 一方、会場ではエレオノーラ、アルメリア、モーレア、そして王立警視庁首都警備師団がモンスター達を無力化している。マリー様はメリアと共にエグザードに張られている結界を解く方法を探すとエグザードの時計台の針が一瞬光った。双眼鏡でよく見ると針の先には魔石が埋め込まれている。


 「あ、あれが結界の原因ですね」

 「わかるの?」

 「はい、私は見えていませんがあそこだけ魔力が強く感じます。あれを破壊できれば結界を壊せそうです」


 ここから魔石まで距離があり過ぎる。魔法では狙って壊せそうもないとマリー様が言うとメリアは陸軍憲兵軍の1人にある物を持ってくるように命じる。それはM40A5というスナイパーライフルだ。

 バイポットを展開し狙いを定め、後ろでマリー様は「頑張れ」と応援する。


ダンッ!!


 「どう!?」

 「魔力が止まっていませんね。おそらく外したのかと」


 兵士は自分が撃ちましょうかと言うと熱くなっているのかメリアは「大丈夫よ」と言ってもう一度撃つ。


 「どう!?」

 「ダメです。魔力は止まっていません」


 モンスターがメリア達を襲おうとするとアルメリアが作った氷の壁に激突してそのまま凍っていく。

 しかしアルメリアはモンスター達の無力化で近くにいない為、この氷の壁もいつまでもつかわからない。


 メリアは集中してゆっくりとスコープを覗く。


ダンッ!!


 弾丸は時計の針に埋め込まれている魔石に命中し砕け散った。

 魔力が消えたことで結界が消えることを確認したマリー様はメリアに拍手をする。


 「凄いですね。ここからあの距離の魔石を壊すなんて……その“すないぱーらいふる”というのは便利ですね」

 「ワタの妻としてこれくらい当然よ」


 暴れていたモンスターの動きは止まり、次第に元の観客の姿へと戻っていく。

 結界を壊して安心したと思えば上空には巨大な赤い粒子の塊がこの国に落ちているように見える。


 「あの塊もすないぱーらいふるで撃ち落とせそうですか?」

 「無理に決まっているでしょ!?」


 まるでコントをしている2人に俺は近づく。


 「マリー様!ご無事ですか?」

 「ああ、オゼットさんあの球体のことはご存知ですか?」

 「はい。あれが爆発するとこの国の人間はモンスターになるそうです」

 「何ですって!?」


 思わずメリアが驚いている中、マリー様は冷静に質問する。


 「あれには膨大な魔力を感じます。あれを上回る魔力で破壊、または消滅させることができれば良さそうですが……できますか?」

 「もちろんです!!」


 俺は詠唱を始める。


 -目覚めよ、黄金の魂! その魂はあらゆる絶望から生命を守る希望の光なり! 降臨せよ! オメガ・アイギス!!-


 左手に光が集まっていきオメガ・アイギスを召喚して赤い球体にジャンプする。高さ900m先で浮いている球体にオメガ・アイギスをぶつける。

 すると盾から放たれる光が赤い粒子を金色の粒子へと変わっていく。

 

 「綺麗……」

 

 その光景を見たメリア達や観客達は上を向いてうっとりとしてしまう。ただ1人を除いて……。

 

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