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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
12章 ファンタジー・トップ・シェフ編
109/150

109話 いい旅コンダート気分


 イスフェシア皇国から出て約14時間が経過した夜、ようやくコンダート王国の入り口ともいえるガレアに到着した。IMSPの長時間使用するわけにはいかないので途中で休憩を挟みながら走ったが、アーガイル大陸の端にあるイスフェシア皇国から一番南側にあるコンダート王国までフルマラソンをした人間は俺だけだろう。


 「まさか6日は掛かるはずの長旅がこんな速く終わるとは……」

 「し、死ぬかと思いました」

 「これで開催までの間はゆっくりと楽しめそうですね」

 「よっしゃ!コンダート王国を満喫するぜ!おいトリックス、宿は何処で泊まるんだ?」


 門を通過し今回の料理対決の主催者であるトリックス・メイは宿屋に向かう。しかし本来は6日後にコンダート王国に到着予定だったので当然この日に宿の予約なんて取っていない。


 「困ったな」

 「では私がお話しましょう」


 マリー様は宿屋の店主に袋を渡して耳元で何かを囁くと店主は袋の中身を確認しサムズアップした。


 「店主さんとお話して私達が帰るまでここの宿は貸し切りになりました」

 「流石マリー様です。やることがエグい!」

 「もうアルメリアったら、一応褒め言葉として受け取っておきますね」


 たまにこの人達のノリについていけない時があるが、気にしたらダメなんだろうなと俺は同じくこのノリについていけずに呆然としているトリックスの肩を叩いた。

 トリックスは我に返るとまずは予定より速く到着したことに感謝した。


 「では当日に皆様をお迎えに上がりますので、それまでごゆっくりとお過ごしください」

 「ありがとうございます。トリックスさん」


 トリックスは当日までの準備をすると言って宿を後にした。

 今日はもう遅いし流石に疲れた。明日は皆で王国巡りでもしよう。





 そして翌日、この国で最も盛んでいる場所だといわれている。アルダート駅に向かってショッピングを楽しむことにした。何でもこの国の民曰く、このアルダート駅は“迷宮”と呼べるぐらい広いらしい。

 実際に広過ぎて迷子になりかけている。そしてこの駅のビル“パルティナス”という名前らしいが、このビルの高さは220mもあり、この世界で一番高い建物になる。


 そしてこのビルのエレベーターは床と天井以外はほとんどガラスになっていて、まるで空中移動しているようだ。

 試しにこのエレベーターに乗って13階まで上がると皆は驚いた表情をしているが楽しんでいる。

 13階に到着するとそこは高級レストランがあったがマリー様は他にも周りってみたいと言い、皆はそれに同意して駅周辺を見て回る。


 他のフロアは元にいた世界で見たショーケースの中に服をきたマネキンが置いてある服屋がある。先程のエレベーターといいこの駅といいイスフェシア皇国にはない技術ばかりで皆は興味を持っている。


 「マリー様、イスフェシア皇国にもあの電車ってやつ作ろうぜ!」

 「あの乗り物はどうやって動いているのかしら?」

 「おそらくはこの国の国王の能力だと思いますので、我々の国で再現するのは不可能では?」

 「例えば魔石の魔力を動力源として乗り物を動かすのはどうでしょうか?」

 「名付けて“魔法電車”ってなるわけだ。しかしそうなると魔石不足になりそうだな」


 話が盛り上がる中、マリー様は洋服の店を見て「あそこに行ってもいいですか?」と指をさす。

 普段のマリー様はドレスが多い為、いわゆる国民的な服を持っていない。今回も料理対決に参加する時以外は真理から貸してもらった普段着を来て行動している。


 俺はいい機会なのでマリー様の外出用の服を買おうと提案するとアルメリアは賛同し、早速アルメリアとマリー様とモーレアは服屋に入って似合いそうな服を選び始めた。


 そして数十分が経過するとカーテンからマリー様が現れる。

 群青色のテーラードジャケット、黄土色のカラーパンツ、白いニットの組み合わせで、その姿はまるでビジネスカジュアルみたいなコーデだった。


 「エル、オゼットさん。どうでしょうか?」

 「とてもお似合いですよ。マリー様」

 「もちろん、もし似合っていないと言えば私がその節穴な目を凍らせるわ」


 アルメリアは微笑みながら右手を凍らせる。この人、普段はクールなお姉さんって感じの性格なんだけどマリー様が関わるとまるでヤンデレみたいに豹変する時があるんだよな……。

 素直に似合っていると伝えるとマリー様は顔を赤くする。アルメリアから殺気が伝わってくるが一旦は置いておいて選んだ服を購入し店を出た。





 時は流れ夕方、アルダート駅で買い物をした俺達はガレアにある宿屋に戻る。

 改めて考えるとコンダート王国はイスフェシア皇国にはない物や技術が多く、元にいた世界みたいでどこか懐かしく思えた。

 皆は「明日は何処に行こうか」と王国の地図を見ながら計画を立てている。本当に旅行気分な一日だった。


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