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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
12章 ファンタジー・トップ・シェフ編
108/150

108話 王国で行われる祭り

いつもご覧になっていただき誠にありがとうございます。

この章は経蔵と国416さんの作品である”サバゲーマーが、異世界転移して、王に成り上がって、現代兵器無双!”「外伝 異国の料理人編」のイスフェシア側視点になります。


そちらの作品と合わせてお読みいただけるとこの章では1つの物語を別々の視点で見ていき、2つの視点を見ることで物語が更に面白くなっていきます。


 ちびっ子達が無事帰って来てから一週間が経ち、王宮の間では女皇マリー・イスフェシアが民達からの声を聞いている。民達の依頼を聞き必要に応じて騎士達を使って解決するのも女皇の役目でもある。

 

 この国の復興作業も騎士達とギルドの傭兵達によって大分元通りになってきている。しかしそんな中でも生きる為とはいえ、盗賊達が民から食料や物資が奪われる事件が起きている。

 

 俺は騎士達と共にその盗賊が住んでいると思われるアジトに行く。そこには盗賊達によって盗まれた物資や性欲処理として使われたと思われる女性達の死体が転がっていた。

 思わず俺は怒りが込みあがる。


 「生存者がいないか探してください」

 「承知しました。オゼットさんは?」

 「盗賊達の捕獲、その後このアジトを破壊します」

 

 奥に進むと酒の臭いが強くなっていき笑い声が聞こえる。どうやら近くに盗賊達がいるようだ。

 魔力探知を行うと12人いることが分かり、見つからない様に……いいや、ここまで来たらもう派手にやってしまおうと考えた。

 

 盗賊達が宴会している最中に堂々と剣を抜いて歩くと頭領らしき人物を特定が俺を見ていう。


 「誰だてめえ!」

 「お前らを駆逐する者だ」

 「野郎共!やっちまえ!!」


 盗賊達が一斉に襲い掛かる中、俺は『タキオンソニック』を発動し盗賊達の武器を壊した後、腹パンで気絶させていく。

 残るは頭領だけになり尻もちをついて怯えた。彼からすれば何が起きたか全然わからないだろう。


 「一瞬にして仲間達が………まさかお前は!?」

 「お前に名乗る名はない」


 頭領の首に峰打ちをして気絶させる。盗賊達を騎士達と合流する場所まで運ぶと彼らも生存者と物資の回収は終えたと報告を受ける。

 俺は魔法陣を展開し詠唱を唱える。


 「全てを更地にせよ―『ブロウクン・ガイアアウト』!!」


 唱え終えると強い地震が発生し、盗賊達がアジトとして使っていた洞窟は崩れていく。やがて洞窟だった所は平地に変わった。それを見た騎士達は驚くと同時に声を上げた。

 

 「流石はイスフェシアの勇者殿!これで我らが皇国に平穏が訪れるでしょう」

 「全てはマリー女皇とこの国の為に!」

 「皆さんありがとうございます。さあ帰還しましょう」

 

 無事に依頼は達成した。騎士達と共に帰ろうとすると頭がふわふわとし始めて倒れそうになる。騎士の一人が慌てて俺を支える。


 「大丈夫ですか?」

 「ええ、少しめまいがしてしまいました。ありがとうございます。」


 最近はIMSPの使用を控えているつもりではあるが、まだ疲れが溜まっているのかもしれない。

 今日は帰ったらご飯食べてとっとと寝る事にしよう。





 そして時は経過して夜、王宮の間ではいつものメンツが騒いでいた。どうしたのかを内容を聞くと今から一週間後にコンダート王国で催しの一環として無名のシェフ達が集い料理対決を行うというのだ。優勝者には“アーガイル・ブランド”という称号を得られる。

 この称号は王の一族が顧客となっており、王族への商品の納入を行っていることを指す証であり、王室御用達の店はこの称号を掲げることが許される。そしてその“王の一族のお墨付き”を与えられた店は客が増え、売り上げが確実に上昇する。

 その料理対決の審査員をしてマリー様に来て欲しいとの事だそうだ。

 

 「アーガイル中の料理が食べられるかもしれないとか羨ましいぜ」

 「じゃあ皆で行きます?」

 「マリー様、それは困ります。少なくてもマリー様がコンダート王国に行かれる間、帝国からの攻撃も考えられますので真理さんは残る必要があります」

 「え、マジ!?」


 このメンバーの中で一番楽しみな顔をしていた真理はウインチェルの一言で一気に絶望した顔になる。


 「マジです。そして真理さんを守るために私も残ります。後、子供達もお留守番ですね」

 「「「え~!コンダート王国に行きたいよー!!」」」

 「貴方達、自分達が以前皆さんに大変なご迷惑をお掛けしたばかりでしょう。私とみっちり勉強しましょうね」

 「「「えぇ」」」


 ミーアとラルマとラーシャは真理の隣に移動して同じく絶望した顔になる。一緒に連れて行きたいのは山々だが、ウインチェルの言い分にも一理あると思う。

 

 「じゃあ、マリー様と一緒に行く奴は誰にするんだ?」

 「そうですね。まずは騎士団隊長である貴方とオゼットさんは必須ですね。後はアルメリアさんでしょうか」

 「私は構わないけど三人でマリー様を護衛するとしても足りないわね。まだ誰かいないかしら?」

 「騎士団を連れていくにしてもコンダート王国はかなり遠いからなー。それにイスフェシア皇国に騎士団がいないのも不自然だし……」


 皆が悩む中、王宮の間に誰かが入ってくる。このチョビ髭で小太りな人物はこのイスフェシア城の食堂兼マリー様の料理を担当している料理長だった。


 「失礼します。陛下、ご食事の用意ができました」

 「もう、エルったら私の事は“マリー”でいいって言っているじゃない」

 「そ、それは恐れ多く存じます」

 「なら皆みたいにマリー様でいいですのよ?“陛下”だなんて他人行儀で気分が悪くなるもの」

 「すみません。マリー様」

 

 料理長とマリー様が話している光景も珍しいが、それよりも料理長の名前を“エル”と呼んでいたよな?料理長は今まで誰にも名前を教えてくれなかったので知らなかったがマリー様だけは彼の名前を知っているらしい。

 ふとアルメリアは思いついた。護衛としてこの料理長も一緒に行くのはどうだろうと言う。モーレアは「この料理長がマリー様の護衛できんのかよ」と笑いながら料理長の肩を叩くが、マリー様が「いいわよ」と言うとアルメリアとマリー様以外全員驚いた。

 

 

 

 

 そして翌朝、主催者であるトリックス・メイという人物が馬車で迎えに来た。イスフェシア皇国からコンダート王国に向かう際、馬車だと6日は掛かってしまう。それだと6日間馬車の中で過ごすのはあまりにも暇だと考えた皆は作戦を立てることにした。

 ウインチェルの転移魔法は一度その場所に行かないと転移出来ない条件があるのでコンダート王国に転移はできないらしい。そこで皆はある手段を思いついて鉄の馬車にありったけの強化魔法をかけて耐久力を上げる。


「トリックスさんも馬車にお乗りください」

「え?わかりました」

「後は任せたぞ。オゼット」

「お土産よろしく~」

「……ホント皆は勇者使い荒いよなー」

「それでは皆、行って来ますねー」

「お気を付けてくださいね。マリー様」

「「「いってらっしゃーい!!」」」


 ウインチェルはマリー様に黄色い魔法石を渡す。これは何かあった時にこの石に魔力を込めるとイスフェシア城に緊急転移できる様に転移魔法が込められているそうだ。イスフェシア皇国に帰る時にも使えるので、できればその目的で使用したい。


 俺はIMSPを起動し、『タキオンソニック』を発動、すぐに『ソニックバリア』の展開範囲を広げて馬車が壊れないように引っ張って走る。最早馬車ではなく人力車である。

 馬車の中にいる5人が酔わない様に時速約300kmで走りコンダート王国に向かうのであった。


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