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魔法の国と異世界転移者  作者: 旅人サン
11章 異世界とちびっこ三人組編
103/150

103話 浮かび上がる影


 小早川が亡くなった公園で小学生くらいの年齢の少女が泣いている。人々がそれを見て見ぬふりをしている中、一人の男が少女に近づきしゃがんで少女の目線を合わせてどうしたのかを尋ねると少女は「お姉ちゃんが殺された」と言ってその場でうずくまる。

 男は少女の頭を撫でてここは危ないから親のところに帰りなさいと言ってその場から離れようとすると少女は男にしがみついて「お姉ちゃん……」と泣くのをやめない。すると男は少女の頭をポンポンと優しく叩いてこう言った。

 

 「わかった。お前の姉ちゃんの無念を俺が晴らしてやるよ」

 「本当!?」

 「ああ、約束しよう」

 

 指切りをすると男はある少女を探していて特徴を説明した後に見たことがないか質問すると少女は首を横に振る。男はお礼を言ってその場を離れると風が強く吹く。少女は目にゴミが入って目をこするとその場にいたはずの男の姿は消えていた。

 

 

 

 

 五十嵐龍騎がいる妖精食堂に向かったミーアとラルマ、場所はラーシャの眷属によって特定出来ているので問題なくたどり着く。


 妖精食堂に入るとカレーを食べ終わった子供達が遊んで親や龍騎は食器を洗っていた。

 正直思うとこの男が犯人だと二人は考ええている。理由としてはあのエスタゾラムという睡眠薬を処方した張本人だからだ。彼なら睡眠薬を夕食後とか寝る前に飲んで欲しいなど時間帯を調整することが可能だ。そして寝ている間に放火したに違いない。後は証拠さえ見つければ龍騎が同じ世界から来た人間だと特定できる。

 

 「あれ?君達は酒鬼さんのところの……」

 「こんにちは!あたしはミーアでこっちはラルマ君だよ。ここに龍騎さんがいるって純也さんに聞いたから遊びに来ちゃった」

 「あははそうかい、まぁ俺は今お片付けしているから良かったら子供達と一緒に遊んでおいで」

 

 ラルマは龍騎を魔力探知で調べるが魔力は感じない……しかしミーア達の世界で魔法を使える者は自分の魔力を悟られない様に隠す者もいる。実際にミーア達も自分達が別の世界から来たことをバレない様に魔力を隠している。

 

 「ねえ龍騎さんはどうしてこの食堂のボランティアをしているの?」

 「ん~そうだね。ここは親と一緒に食べる事ができない子やそもそも食べる事ができない子達の為にあるんだ。」

 「素敵だね!」

 

 この人が犯人だとすれば動機は何だろう?例えばこのボランティアを続ける為にも食材は無料だとは考えにくい。その子達を食べさせる為に金が必要で被害者を殺害したとか?しかしそれならもっとお金持ちの人を選ぶと思うのだが……。


 「でもこのボランティアをしながらカウセリングもしているんですよね、大変じゃないですか?」

 「確かに大変だけど、それでも子供達や患者さんが笑顔になればやって良かったって思えるから俺は頑張るんだ」

 

 ……聞けば聞くほどこの人が犯人だと思えなくなっていくと二人は混乱する。だとすれば誰が連続放火事件の犯人なのだろうか?


 「ねえねえ、一緒に遊ぼう!」

 

 二人の前に子供達が集まって服の袖を引っ張る。その気はないと最初は嫌がるがその子供達が遊んでいる玩具やぬいぐるみを見てしまう。イスフェシア皇国にはない可愛いぬいぐるみや見たこともない玩具が二人の心を奪い、誘惑に負けて子供達と一緒に遊ぶのであった。

 

 

 

 

 一方、警視庁に戻った純也と鈴木は新たな情報が手に入る。それは2件目の事件で起きた松田聡について彼の働いていた職業と場所が特定したのだ。

 早速彼について知っている人物がいないか“味の花”という和菓子屋に向かった。


 そして店員に松田について聞き込みをすると3週間前、彼を店の外に呼び出し「うちで働かないか?」とスカウトしにやってきた人がいたと言う。松田は男の提案に断ったらしいがその後、店にゴミが置かれたりやお店のブログに中傷のコメントを書かれて炎上する等の悪質な嫌がらせを受ける様になり、精神的に病んだ松田は休職する事になったという。

 その人物は何者なのかはわからないが身長は160cmぐらいで20代後半か30代前半の男らしい。


 「防犯カメラを見せて頂けますでしょうか」

 

 店員にお願いして防犯カメラの映像を確認すると松田とその男らしき人物はちょうど防犯カメラでは見えない位置で話をしている。おそらくこの男はXYZマンションの近くにあった防犯カメラに映っていた人物と同一人物だろう。

 念の為にこの男について知っているかを尋ねるが誰も知らなく、この男が店で和菓子を買った所を見たこともないと言う。

 

 純也は一度警視庁に戻ると味の花のブログを見る。すると店員が言っていた通り悪口や店の評判を落とすコメントが残されている。


 「これは酷いですね」

 「ああ、だがこれは犯人にとって命取りになる」


 純也は技術班に連絡をとり、ブログの運営者にこの中傷コメントを記載した投稿者のIPアドレスを特定してもらうように依頼する。特定したらそのIPアドレスを利用者に割り当てているプロバイダを特定し、その後プロバイダに個人情報を開示してもらうように指示する。


 2時間後、技術班からIPアドレスを特定は出来たがそのIPアドレスを持つパソコンはどうやらネットカフェのパソコンらしいので個人情報まではわからなかったと連絡が来た。

 だがそれならそのネットカフェに行ってその時間帯に利用した人物を特定すれ良いだけのこと。純也達はそのネットカフェに行って店員に入店記録表を見せてもらう。


 すると意外な人物だとわかった。更にその後、捜査員から連絡が入り松田が使った睡眠薬が入った紙薬袋を発見した。しかし発見した場所は家ではなく松田が持つ車の中に入っており、そしておかしなことにその紙薬袋の中に入っている睡眠薬は一錠も使われていない状態だったと判明する。


 ということは……犯人は松田の家か別の場所で松田に睡眠薬を飲ませた可能性がある。

 純也は捜査本部に行き、玖珂にこれまでの情報を伝えると玖珂は最後にXYZマンションに行きたいと言い共にその場所に向かった。

 そして玖珂はポンプ室を見て「一つの仮説が出来上がった」と言い、捜査員にある依頼をした。

 

 

 

 

 依頼して5時間後、月が上って夜を迎えると捜査員から連絡があった。玖珂の睨んだ通り犯人はガソリンスタンドで大量のガソリンを購入していたことが判明した。

 

 「ありがとうございます」


 玖珂は連絡を終えると純也と鈴木と共にある場所へと向かった。この事件を終わらせるために……。

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