扉の外
後ろでパタン、とドアが閉じた音がした。
止まっていたあいつらはまだ止まったままだった。しかし、ゆっくりスローモーションのように動きだし、そして・・・
ガキンッ!!!!
金属バットが地面に叩きつけられた音が響いた。周りもいつも通り動き出したのだ。
「なっ・・・?!!」
振り下ろした男が驚いた顔をして私の顔を見た。
そうだ。今まさに殴ろうとしていた、地面に転んでいるはずだった私が目の前に立っているのだ。しかも、頭の袋はとっている。
「いま・・・何が起こったんだ?」
5人は私を引きつった顔で見ていた。
「ん?あーーーー!!!!」
「え、どうしたのー?」
「ライブ配信してたのに!切れてる!」
5人は女がもっていたケータイの画面をのぞき込んでいた。
どうやら私がとられていた間の記録が、すべて消えているらしい。
理由はわからないが、おそらくあの不思議な部屋にいた男たちの仕業だろう。
「なんでー?さっきまで普通に動いてたじゃんよー」
「そうだけど・・・絶対あいつのせいだよ。だって、気持ち悪い動き方してたじゃん」
再び視線が私のほうに向けられた。気味の悪いものをみるような目だ。
そんな目で見られていても、さきほどの目隠しの状態と比べると何も怖くない。
「あー、気分のらねぇ。俺は帰る」
「え?!じゃあ私もかーえろ」
私も、俺も、と5人でぞろぞろと屋上を去っていった。どうやら今日は終わりらしい。
「・・・今日は不思議な体験したな」
後ろを振り返っても、そこにはもう扉は存在しなかった。