人間オークション〜悪夢の始まり〜
人間オークション〜悪夢の始まり〜
作:ラインハルト
※:○○の部分は司会者を演じる方の名前でも、適当な名前でも大丈夫です。
※拍手、歓声等はしてもしなくても構わないです。
※本筋が崩れない程度のアドリブならして貰っても構いません。
ただし、過度なアドリブは御遠慮下さい。
※台本使用時は、台本タイトル、台本URL、作者名記載をお願いします。
司会者:年齢性別共に不詳
オークション開催中は常に仮面をつけ、怪しい雰囲気を醸し出し、出品された者や客を煽り盛り上げようとする人物
お嬢様:10〜20代 容姿端麗
名門貴族のお嬢様、勝手気まま自己中心的な性格、気位が高く罪なき平民を虐げている
落札者:年齢性別共に不詳
オークション参加者であり、復活以前のオークションを知る人物
お父様:40〜50代
心優しき貴族の当主、娘の行動に耐えられず
自分の娘をオークションに売った張本人
役表
司会者:不問
お嬢様:♀
落札者:不問
お父様:♂
司会者:ふふふっ…遂に、この忌まわしいオークションの復活の時が来たのですね…
前回オークションから復活までに数百年…
オークション復活に心が踊ってしまいますね。
愚かな人間共を集め、貪り尽くす時が…ふふ…はははは!
おっと、私とした事がまだ興奮は抑えなければ。
こんな所を誰かに目撃されてしまうと、愚かな人間共を集めれなくなってしまいますね…
ふふふっ…
……おや?貴方様は?
お父様:急に声を掛けてしまい済まない。
君は、今夜開催される、あのオークションの関係者でよろしいのかな?
司会者:えぇ、私は本日開催されるオークション関係者で、本日の司会でもございます。
どうなさいましたか?
お父様:やっと見つけることが出来た。
実は、私の娘をオークションに売りたいのだが…出品する事は可能なのかね?
今夜開催されるオークションは、人間も出品する事が可能だと噂に聞いたのだが。
司会者:なるほど、なるほど…
実の子である娘をオークションに売りたいと…
もちろん、人間を出品する事も可能でございますが…後悔致しませんか?
お父様:後悔などしようはずもない…
いや…後悔はしないつもりだ…
私達家族は、あれにはほとほと愛想が尽きていてね。
勝手気まま自己中心的な性格のあれを、このままにしておくと…
我が家系は没落してしまう。
没落してしまう位なら、私は娘を売り払う。
たとえそれが、親として、貴族としてあるまじき行為だとしても。
司会者:ほうほう…そうでございますか。
没落するよりも、貴族としての誇りを取り
娘をオークションに売り払ってしまう…と…
クククッ…
では、お嬢様を買い取らせて頂きましょう。
ですが…お嬢様が落札された後、復讐に会われましても、私共は一切関与しませんので…
ご了承下さいませ。
よろしいですか?
お父様:おぉ…買い取ってくれるのか。
復讐…か…
確かに…あの娘ならば、復讐に走るやもしれぬな…
そうだとしても、没落してしまうよりはましだ。
では、頼んだぞ。
お父様:(これで、少しでも人として娘が変わってくれればよいが…
いや…期待するのはやめておこう。
あれ程言っても分からなかった娘なのだから今更期待等したとしても…。)
司会者:お任せ下さいませ。
オークション復活、第1回目から楽しくなりそうですね。
間
お父様:はぁ……どうして分からない…
いったい何度言えば分かるのだ!
なぜ、お前は平民達を虐げるのだ…
何もしていない…罪なき民をなぜそんなに虐げるのだ!?
あの者達が、お前に何をしたというのだ!?
お嬢様:何もされて等おりませんわ。
私がそうしたいからしているだけですわ。
何がいけないと言うのですかお父様?
私達貴族のおかげで、この国に暮らす事が出来ている平民をどうしようと、何も問題がないでしょう?
何を怒っているのですか?
何故、私がお父様に叱られないといけないのですか?
お父様:何度も言っているであろう…
平民が居るからこそ、私達貴族も、貴族としての生活が出来ているのだと…
何故、それが分からぬのだ!
民なくして国は成り立たぬ!
国がなければ私達も貴族として、存在する事が出来ぬと分からぬのか!?
どうして、お前は…
お嬢様:分かりたくありませんわ。
お父様は何故、平民の肩を持つのですか?
私達貴族と平民では、身分が違うのですから当然でありましょう?
私は何もおかしい事等しておりませんわお父様。
他の貴族もしていることではありませんか。
この国では当たり前のことではありませんか。
お父様:この国では当たり前だからと言って…
他の貴族がしているからと言って、していい事ではないと…なぜ分からぬ…
なぜ分かろうとせぬ…
どうしてそのように育ってしまったのか…
我が子ながら辟易してしまうな…そのような考えには…
それならば、私にも考えがある。
お嬢様:考えがある…?
どのような考えがあるというのですか?
何を言われようとも、私は変わりませんよ、お父様。
たとえ、誰に何を言われようと、お父様にどのような考えがありましょうと。
お父様:もう…変わらずともよい。
お前には何を言った所で無駄だと言うことが分かった。
これ以上、お前が変わる事等望まぬ…。
望んだ所で変わらぬのなら、仕方あるまい。
出来ることならば、こんな事はしたくなかったが…。
仕方あるまい…さらばだ娘よ…
許せ。
お父様:(娘との最後の会話がこのようなものになろうとはな。
だが…これでよかったのかもしれぬ。
私にはもう、これ以上耐える事は出来ぬ。
何もしていない罪なき平民が虐げられ、奴隷のように扱われる様は見てられぬ。)
間
司会者:さぁて、お嬢様の誘拐にも成功しました事ですし…
しかし…美しいお嬢様ですね。
これ程、美しければ幼少の頃より重宝され育てられたのでしょうね。
ふふ…そろそろオークション会場に向かいましょうか。
お嬢様が目覚める前に…ね。
落札者:えぇっと…そこの貴方、少し尋ねたいことがあるのですが。
司会者:私ですか?
どうかなさいましたか?
落札者:今夜、開催されるオークションに行きたいのですが、会場が分からなくて…
よろしければ、オークション会場までの道を教えて貰えればと思って、声を掛けさせて頂いたのですが。
司会者:オークション会場…ですか。
お任せ下さい、私、オークション関係者ですので、着いてきてくださいませ。
落札者:オークション関係者だったのですね、それは助かります。
何分この辺りの土地勘がなく道がわからなかったもので。
司会者:そういうことでございましたか。
それでは、こちらでございます。
落札者:ありがとうございます。
今回の人間オークションの復活…大変喜ばしく思いますよ。
まさか…忌み嫌われたオークションが復活するとは思ってもいませんでしたよ。
また、あの時のように楽しませて頂くとしましょうか…ふふ
司会者:(復活する以前の人間オークションを知っているようですね…
今、生きている人間で復活以前のオークションを知る人物は居ないはずでは…
まぁ、いいでしょう…
どこかで噂でも聞いたのでしょう、人間も出品する事の出来るオークションだと。)
間
司会者:こちらが、オークション会場になります。
オークションが開催されるまで、少々お待ちくださいませ。
落札者:道案内ありがとうございました。
ついに辿り着きましたね、オークション会場に…ふふ
司会者:おや?
笑みが零れていますが…どうかなさいましたか?
落札者:いえいえ…なんでもありませんよ。
どのようなオークションなのか、楽しみなだけですよ。
落札者:(ふふ…私がこのオークションで司会をしていた時から、数百年経っても変わりませんね。
人間とは、どれだけ月日が過ぎようといつの世も…変わらず、愚かで憐れですね。
いつまでも経っても人間という生き物は…ふふ…)
間
司会者:さて、皆様!
遂に、あの忌まわしいオークションの復活の時でございます!
永きに渡り開催する事の出来なかった、世の闇に紛れ開催されるオークション!
そう!人間オークションでございます!
オークション復活の為に御協力、御支援して頂いた皆様、大変ありがとうございます!
本日、司会進行を務めさせて頂きます○○でございます。
誇り高きオークションの司会進行を任せられ…
大変緊張している所存でございますが…
恐悦至極でございます。
さて皆様!復活第1回目の人間オークションは、どのようなオークションとなるのか…
どのような商品が出品され、落札者となるお客様はどのような人物なのか…
楽しみですねぇ…
おっと…お喋りが過ぎたようですねぇ…
お客様皆様から、早く始めろとの声が沢山聞こえ始めてきましたので。
それでは、はじめて参りましょうか…
今宵怪しく輝く月を背に!
星の瞬く夜に大歓声を!
人間オークション開幕でございます!!
盛り上がって参りましょう!
拍手、歓声
司会者:では、本日復活を遂げました人間オークション初商品のご紹介をしていきましょう。
それでは、初商品はこちらです!
名門貴族のお嬢様でございます!
…おや?お嬢様はまだ目覚めていないようですね。
お嬢様:んん…ここは…どこですの?
私は確か、お父様と一緒に居たはずなのに…
どうしてこんな所に。
…っ!思い出せませんわ…。
司会者:おやおや?
今宵初商品で、目玉商品とも言える、麗しいお嬢様がお目覚めのようですねぇ。
皆様ご注目ください!
落札者:おぉ…これはなんとも美しい
初商品から、なんと素晴らしい。
やはり、このオークションの出品物は素晴らしい物ばかりですね。
おや?あの司会者は…
道案内してくれた人ではないですか。
まさかオークション司会者だったとは。
お嬢様:……っ!なっ…なんですかここは!?
なぜ、私が!どうして、このオークションに!?
司会者:お嬢様、こちらをご覧くださいませ。
お嬢様:だっ…誰ですか貴方は!?
どういう事なのですか!?
私をどうしようというのですか!?
今すぐ私を解放しなさい!
司会者:落ち着いてくださいませ、お嬢様。
貴女様は今宵、人間オークションの商品となってしまわれたのです。
ご理解出来ますか?
お嬢様:私が…人間オークションの……商品?
な…何を言っていますの?
冗談はよしてくださいませ!
こんな事が許されると思っているのですか!?
私を誰だと思っているのです!
貴方の様な、下賎な者とは身分が違う貴族と分かっているのですか!?
司会者:おやおや、これはこれは酷い言われようですねぇ。
残念ながら、冗談でも嘘でも、ましてや夢や幻でもございませんよ、お嬢様。
現実でございます。
その目でよく会場をご覧下さいませ。
お嬢様:そ…そんな…どうして…
お父様!お母様!お姉様!
助けてくださいませ…いや…助けて…
どうして…なぜ…
落札者:見れば見る程、美しい…
…しかし…どうも様子がおかしい感じがしますね。
もしや…あの娘は売られた事を理解していないのでは…
もし、売られた事を理解していないのだとすれば…これは初商品から面白いものが見れそうですね…ふふ。
司会者:現状のご理解を頂けたようですねお嬢様。
貴女様は、お父様に見離されて、この人間オークションに売られてしまったのですよ。
逃れる事の叶わぬ…この人間オークションにね…ふふ。
お父様:(済まぬな娘よ…いつまでもお前を家に置いておくと、我が家系は没落してしまう。
それに、何度言っても私の言葉を理解しようともせずに、平民を虐げ奴隷のように扱うのも見てられぬのだ。)
お嬢様:お父様が私を!?
そんなの…うっ、嘘よ!
お父様が私を見離すはずがありません!
冗談はよしなさい!
何故、お父様が私を見離す理由があるのです!
司会者:お嬢様…先程も申したように
冗談でも嘘でも、ましてや夢や幻でもございません。
現実でございます。
現実逃避等なされても意味はありませんよ。
貴女様は、人間オークションの商品として出品されているのですからねぇ…ふふふっ
落札者:なるほど…やはり、父親に見離されオークションに売られてしまったという訳ですか。
もし落札すれば、これは面白い復讐が見られる可能性もある…ということですね…ふふ。
必ず落札しなくては。
司会者:さて!お嬢様が現状のご理解をされました様なので、オークションを再開致しましょう!
それでは、こちらの商品のご説明をさせて頂きます。
こちらのお嬢様、あまりの勝手気まま自己中心的な気位の高い性格で
何も罪のない平民達を虐げ、奴隷のように扱っていたのです!
そして遂には、父親が娘のその行為に耐え切れず…
本日!人間オークションの商品として出品されてしまいました!
お嬢様:うぅ…なぜ私が…
どうしてお父様が…
許しませんお父様…必ず復讐してみせます。
たかが、貴族として没落してしまうと言うだけで…何故、私がオークションの商品にならなければいけないのです…
お父様…私は貴方を許しません!
司会者:さぁ、お嬢様はどのようなお客様に競り落とされてしまうのか!?
良きお客様に競り落とされ、復讐する事が出来るのか?
それとも…奴隷の様に扱われる結末を迎えてしまうのか。
落札者:やはり、復讐心が芽生えたようですね。
これは面白い…ふふ。
幾ら金を積もうとも必ず競り落としてみせましょう。
まさか、初商品からこのように、面白いものが見られようとは。
久しぶりの復活でしたが、このオークションは変わらず素晴らしい!
しかし、人間達も変わらず愚かで憐れな卑しき存在ですねぇ。
どこまでも私を楽しませてくれる…あの時のように…ふふふ。
司会者:ではでは、人間オークション始めて参りましょう!
それでは、1億からスタートしましょうか。
さぁさぁ、皆様!
オークションに奮ってご参加くださいませ!
皆様!盛り上がって参りましょう!
お嬢様:ふふふっ…許しませんお父様…
必ず復讐し、お父様にも同じ苦しみを。
もう一度必ず戻ってきます…もう一度…
私は…必ず…
落札者:ついにオークションが始まりましたね。
私が必ず競り落としましょう!
たとえ、幾ら金を積もうとも必ず競り落とし、復讐を見届けなければならないですね。
10億!10億出します!
司会者:おぉっと!いきなり10億の値が付きました!!
さぁさぁ!他にはいませんか?
居ないのであれば決定となります!
よろしいのですか皆様?
これ程の商品は中々お目にかかることはございませんよ?
落札者:ふふっ…10億以上出す者はなかなか居ないでしょう。
これで決まればよし、決まらずとも必ずや落としてみせましょう。
これでまた、私の楽しみが1つ増えそうですね。
司会者:さてさて、他にはいないようですねぇ…さぁて、これで決まってしまうのか!?
おっと!15億出ました!
さぁ、先程のお客様は諦めてしまうのか!?
それとも!
落札者:くっ!やはり、競り合う者がいましたか。
あれ程に美しければ、競り合う者がいて当たり前ですね。
仕方ないですね…それならば、20億!20億だ!司会者!!
司会者:20億出ました!
他にはいないでしょうか!?
いないのであれば決定となります!
先程のお客様はどうなさるのでしょうか!?
競り合うのか、それとも諦めてしまうのか!?
落札者:これで決まりそうですね。
必ず復讐を成功させてあげましょうお嬢様…
必ずや、貴女の願いを叶えてみせましょう。
そうしなければ、私の楽しみが1つ減ってしまうのでね。
ふふふっ
司会者:他には、いません様なので20億で決定でございます!
競り落とされたお客様おめでとうございます!
これで、お嬢様の所有権は貴方様の物となりますので、どのように扱うかは貴方様次第となります。
お嬢様を奴隷のように扱うもよし、復讐に協力し楽しむのもよし…
全てはお客様次第となります。
お嬢様:まさか、私がこのオークションで売られてしまうとは…
ふふっ…お父様、必ず貴方に復讐し、このオークションに出品してみせます!
覚悟していてくださいませ…お父様…
貴方を貴族の座から、必ずや引きずり落としてみせます…ふふ
落札者:競り落とすことが出来ました…か…ふふ…
さぁ、これから忙しくなりそうですね。
お嬢様の復讐劇に協力しなければ。
どのような復讐が見られるのか楽しみでならないですね。
ふふっ…まずはお嬢様の復讐心を煽り、上手くお嬢様を誘導し、そして…くっ…ふふふっ
お父様:落札されたか…これからどうなってしまうのか…
しかし…あの娘の事だ、必ず復讐してくるだろう。
さて、どうしたものか…
貴族としての汚点になりうるであろう、この事実を消さなくては。
このような事が、他の貴族連中に知れ渡ってしまっては、それこそ、我が家系は…
いや、しかし…これは仕方の無いことなのだ。
娘1人の為に、家族と使用人皆が共倒れするのなら、こうするしかなかったのだ。
許せ…娘よ。
司会者:お嬢様を落札されたお客様はどういった人物なのか!?
そして、お嬢様は残りの人生をどのように過ごすのか…私大変興味がございます。
願わくば、良きお客様であり、復讐が成功する事を私…
心より願っております…ふふふっ…はははは!
お嬢様:こんな事くらいで私は終わりません!
必ず復讐しますお父様!
貴方に、この世の地獄を…あらゆる苦痛と恥辱を…たとえ!
泥水を啜ってでも…
必ず味合わせてみせましょう…ふふふっ
司会者:さて皆様!今宵の人間オークション大変盛り上がっております!
怪しく輝く月を背に!
星の瞬く夜に大歓声を!
まだまだオークションは続きます故、皆様この後も引き続き、オークションに奮ってご参加くださいませ!
私も会場にいます皆様とご一緒に、最高の一時を!
甘美な夜をご堪能致したいと思います!!
お嬢様:お父様だけでなく、いつかこのオークションにも復讐してみせます!
私をこんな目に遭わせて嘲笑っている者達は許しません!!
覚悟していなさい!
お嬢様:(許しませんわ、お父様…
お父様だけでなく、このオークションに関わった者全て許しません…
私をこの様な目に遭わせた事を必ず後悔させます…。)
間
司会者:では、本日のオークションはこの辺りで閉幕となります。
皆様、次回の人間オークションにも乞うご期待下さいませ…
必ずや、皆様のご期待、ご希望に添える商品を揃えてみせましょう。
ではでは、第2回人間オークションはどのようなオークションになってしまうのか…
お父様はお嬢様に復讐されてしまうのか…ふふふっ。
もしかすると、この会場にいるお客様の中から商品として、出品されてしまう人がいるかもしれませんねぇ…
それでは、次回オークションまで、しばしのお別れと致しましょうか…。
ふふふ…はははははははは!
それでは、次回人間オークションまで、お別れです。
human auction see you next time。