のっぽそっぽ
そっと家を出た
雨降る午後三時
誰もいない町を
傘もささず
そっぽして歩く
気ままに風は吹いては
揺れるコート
猫はその傍らで伸びをする
あてもなく
煉瓦に肩を預け
遠くを見上げ
白い息が空に溶けていく
瞳を落とし
また錆びたガードレールを辿る
行きついた
灰の海で
滲んだ月が泣いていた
落ちた空き缶を
手元まで蹴り上げ
漆黒の空へはじき
月まで虹をかけた
そのまま
振り返らず
また彼方へ歩き出した
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