母の実家 side あやか
ちょっと不満な出来
今日は全員で母の家に来ました。
どうやら母はかなり光に執着しているようで、早く連れてこいとうるさかったのです。
「ママー、おばあちゃんて、なにー?」
「おばあちゃんって言うのはね、ママのお母さんのことよ。」
「へー。」
「楽しみですね!光様。」
「うーん?」
まあ、光からすればお母さんのお母さんというのはまだピンと来ないわね。
ちなみに、おばあちゃんと言っても、うちの母はまだ50手前です。いや、この前行ったかな?
女性の平均妊娠年齢が24,5歳程度であり、母は少し早く私が平均程度なので、おばあちゃんとは、まあ言いづらい年齢ではあります。
「しかし、久々に帰ってきたわね・・・。」
「良いのですか?私達まで・・・。」
「まあ、もうあなたたちが光と私の世話役みたいなものなんだから問題ないでしょう。光もあなたたちがいないと不安がるだろうし。」
「・・・そうですか。私達もあまり光様とは離れたくなかったので、ありがとうございます。」
「何回でも言うけど光に手を出してみなさい。二度と日の目見れなくするわよ。」
「肝に命じておくだけはします。」
「信用ならないわね・・・。」
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私の実家は京都にある、そこそこ大きい屋敷。
なんでも、昔から商人としてそこそこ成功を重ねてきた結果らしい。
「母さん、ただいま。」
「よく帰ってきたね。息災だったかい?」
「ええ。私も光も元気よ。・・・ところで、母さん。」
「そうよ!光ちゃんを見せてちょうだい!」
「母さん。少し飾りすぎじゃない?」
「なに言ってるの。初めて男の孫と会うんだよ?おめかしなんてどれくらいしても足りないよ。」
「度を過ぎた化粧はケバいだけよ。」
「そこら辺のさじ加減は分かってるさね。あんたの二倍は生きてるからね。で、光は?」
本当にわかってるのかしら。
「もう・・・。光、おばあちゃんに挨拶。」
「こ、こんにちは。光です。」モジモジ
「コゥッ」
「なに今の鳴き声。」
「私の孫・・・可愛すぎ・・・。」
このババァ、一目みて一声聞いたら鼻血吹きよった。
「お、おばあちゃんだいじょーぶ・・?」
「だ、大丈夫だよ。光の事を見たら、10年は若返りそうな気持ちになっただけだから。」
光エキスを煎じれば若返りの薬になるかもしれないわね。
「えっと、だいじょーぶということ?」
「そうだよ。だから、ばぁばの胸に飛び込んでおいで。」
ちょっと待て。
「うん。」
光ものこのこ狼の胸元に飛び込まない!
だきっ
「・・・あぁ~。私の中の不浄なものが全て流される・・・・。」
「うちの光の力すごいでしょ。」
「うちに光ちゃん置いていきなさいな。」
「母さんをぶん殴ってでも連れて帰るわ。」
「光の母さんはケチじゃのー。光、何かほしいものは無いか?ばぁばが買ってやるぞー?」
「うーん。とくになーい。」
「そうかそうか。」
そろそろ話を進めたい。
「母さん。光に何か大きな用事があったんじゃないの?」
「そうだった。まあ、光と触れあうのも大きな仕事ではあったが・・・。こっちについてこい。」
「どこに行くのよ。遠いなら車で・・」
「倉庫じゃよ。まあ、うちの物置の倉じゃ。」
倉?一年中閉めっぱなしで結局私も一度も入れなかったあそこ?
「そこに光にとっても、九衛家にとっても重要なものがある。」
重要な・・・もの?
「私達空気だね。」
「シッ。」
「ここが・・・・」
「結局、あやかは入ったことがなかったね。」
「母さんが入れてくれなかったからでしょ。」
「一応、二十歳を過ぎれば大丈夫だったんだよ。」
その頃にはもう興味なかったのよ。
「煙ったくて体に悪いから光はこっちにおいで。」
「ぁーい。」
「光ちゃんに見せたいのはこれだよ。」
「・・・?」
玉手箱?
「なーにーこれ?」
「これはの、九衛家に伝わる呪いじゃよ。」
呪い!?
「そんなの光に見せてどうするつもり!?」
「落ち着け。我が九衛家は代々、天皇家に仕えていた家じゃった。」
「元は九重家であり、宮中内での近衛のような役割をしておった。」
「だがある時。京に悪鬼が現れた。」
「我が家は京を守るために他の家と協力して、悪鬼をどうにか退治した。が、」
「悪鬼は最後の悪あがきとして、退治に参加した家すべてに呪いをかけたのじゃ。」
「その呪いは、男児が生まれなくなるというもの。」
「当時でも男児は貴重なものであったのに、この悪鬼のせいで尚更、特に呪いを受けた家では貴重な存在になったのじゃ。」
・・・
「じゃあ、なんで光は生まれたの・・?」
「当時の陰陽師の話では、もし男児が生まれたならば、その子は悪鬼の力を打ち破れる、神の加護を持った子供だろう。という話よ。かなり昔だからあれだけど。」
・・・光が。神の加護を持った子供・・・。ありえる(確信)
「その証かは知らないけど、当時から現代まで、一人たりとも男児は生まれていない。光が初めてよ。」
「?」キョトン
「・・・光に何をさせるの?」
「この箱に触れてもらうだけよ。普通の人はこの箱に触れないから。」
「・・光。あの箱さわれる?」
「うん?たぶんさわれる・・よ?」
「・・・本当に危険はないのよね?」
「伝承が正しければね。」
「・・・」
あんな胡散臭い話を信じるの?私。もし、本当だとしたら何が起こるか分かったものじゃない。そんなのに光が触るなんて・・・。
でも、ただの眉唾話なら特に何もなく終わる・・・。でも、1%でも危険性があるなら・・・
「あ!坊っちゃま!」
「えい。」
!?「光!?」
「ん?」ピカァァァァ
何!?光が!!
「光!?光!!」
「・・・。」
お願い!返事して!
「ん?なーに?」
「光!もう、勝手なことして!!」
「ご、ごめんなさい・・」シュン
「あなたが無事なら大丈夫よ・・・。よかった・・。」
光・・・。無事でよかった。・・・うん?
「光。そのネックレスなに?」
「?・・たぶん、鬼さんがくれたものー。」
鬼!?
「鬼じゃと!?」
「わっ」
「光。あの光の中で、何があったのだ?」
「えっと、鬼さんがでてきて、なんか、きみをまもろうって言ってたよ。」
・・・どういうこと?
「・・つまり、鬼が守護霊として光に憑いたということか?」
「そういうことよ。」
おばあちゃんの年齢は40代です。
なので、口調が・・・。
ワカンネ。