赤ん坊 side蛍
どうぞ。
どうも!私は蛍と言います!
主に九衛家のメイドとして住み込みで働いていて、菫さんは私のお姉ちゃんです。
基本的に私は洗濯や掃除担当で、特に水場なんかはよく私に割り振られました。料理がそんなに得意じゃないからなんですけどね。
でも、My天使もとい、お坊っちゃまである光様が来てからは光様最優先で、他の仕事は光様の世話をしていない方がやることになりました。
なので、互いに光様に触れたいという欲望と少しでも仕事を減らしたいという欲望が入り交じった結果、光様の世話役を奪い合うという戦いが生まれた。
でも、これも仕方ないこと。後者の理由も確かにあるのだが、せいぜい1割あるかないか。
前者の光様と触れあうというこの世界最高峰の役職を手にいれることがひじょーに重要なのだ。
なんせ超かわいい。テレビに出てくる天才子役と並べたら100人中100人が光様に群がる。それくらい、もう、最高。
例えばこんなことがあった。乳離れして少しした頃・・・
「光様ー、美味しいですかー?」
「あー!」
「うふふ。よかったです。」
「あー。」
「?どうされましたか?」
「あー?」
何かが気になっている様子の光様は、質問に対してご自分のスプーンをこちらに向けました。
「・・・もしかして、私にお裾分けですか?」
「う。」コクン
な・・・なんてこと・・・。いくらまだ幼児とは言え、男の人からアーンをしてもらうチャンスが来るだなんて・・・。
アーン。この世界ではこの行為を許可してくれる男性というのは国宝認定されてもおかしくないほどに理想な人間と噂されている。
なんせ、子供の頃から各家庭で女親から女性に対する厳しい対処方法を学ぶので、例え結婚までたどり着いてもアーンなんていう、互いの唾液を絡ませるような行為は許可してくれない。
男性がよほど女性に惚れればあり得るようだが、そこまで愛される女性なんて世界に何人いて、もっと言えば歴史上に何人いるのか。
そんな行為を(幼児とはいえ)勧めてくるだなんて・・・!?
「で、では・・・!?」
まて、私。ここで欲望に任せて食べてしまったら、私は死ぬんじゃないだろうか。
奥様には東京湾に沈められそうだし、姉には体の皮膚と舌を持ってかれそうだ。
そうじゃないとしても、世話役なんて出来なくなるだろうし、警察にマークされて光様に近づけなくなるだろう。
そんなことになれば私の人生は終わりだ。酸素の含まれてない大気で生きていけと言われるような物だ。死ぬ。
もう私は光様という酸素がないとろくに生きていけない体に改造されてしまったのだ。1週間見ず会わずなんてしたら酸素不足で脳から死んでしまうかもしれない。ありえる。
だから、ここは我慢するんだ、私!アーンが出来なくても、光様とほっぺたすりすりしたり、お手々にぎにぎしたりすればもう人生万馬券みたいなものだろう!
:ここまで0.5秒
「・・光様。私は後でお姉ちゃんと食べますので、大丈夫ですよ!」
「・・・うー?」
「はい!大丈夫です!」
「あ!」ハムハム
・・・お分かりでしょうか。かわいさ?そんなもん一目みて、一声聞いたらゲージマックスですよ。
そんなことより、光様は非常に優しいのです。これ以外にも、少し仕事失敗して凹んだときも、頭をなでなでしてくれたりしますし、抱いていたら寝てることがあったりするほど私達のことを信頼して下さっているんです!
これはもう、光様教を作ったら世界第二位の宗教くらいには行けそうなレベルですよ。
奥様とお姉ちゃんはある程度女性に厳しくすべきという教育方針のようなのですが、私と触れあっているときは女性に対しての優しさも忘れないように上手く誘導したいと思います。
光様が10年後くらいに、「おい、ババァ」とか言い出したらショックで失血死しそうですし。
あぁ、奇跡の存在、光様・・・。いつまでも付いていきます・・・!
※個人の見解です。