赤ん坊 side菫
どうぞ。
皆さんはじめまして。菫と申します。
九衛家にてメイドとして働いております。
少し前、雇い主である奥様がご子息を産みました。男の子をです。なので、その男の子の世話も仕事に入り、幸せです。
このご子息というのが非常に、非常にとてつもなくかわいいです。もう、目に入れても痛くないをです。通り越して古傷が治りそうなくらいかわいいです。
古傷なんて無いんですけどね。
「光様。こちらへ。」
「あう。」
光様は警戒心が薄く、というか0で、抱こうと思えばいつでも抱けます。そのまま揺らしたりなんてすれば、お眠りになってしまいます。
かわいいです。
「あー。光様とられたー。」
「取るだなんて人聞き悪い。これからお掃除するので怪我をなさらないように抱き上げただけです。」
「じゃあ、私が光様抱く。」
「蛍はお掃除をどうぞ。」
「えぇぇーー。ぶー。私もいっぱい光様抱きたいのに・・・。」
光様を抱いていると非常に癒されるのでその気持ちは分かります。
「あうあう。」
「光様?」
「・・・私のこと呼んでる?」
「どうやらそのようですね。」
「私に抱かれる方が嬉しいのかしら!」
それはないでしょう。
しかし、光様はどうしたのでしょう?
「どーしましたか?光様。」
「あー。あう。」ナデナデ
「・・・光様に、頭撫でられた・・・。」
羨ま死い。
「ねぇ!みた!?光様が私の頭を!」
「ええ、怨念こもった目で見てたわ。私もしてもらったことないのに。」
「へっへーん!私の方が一歩リードかな!」
奥様の存在的に、そのリードはアウトになる前提のモノのように思えますが。
「?あー?」ナデ
「え?光様・・・。」
光様が私のことも撫でてくれました。
「・・・光様は非常に優しくて賢いお方になるわね。」
「私達がもう少し若ければねぇ・・・。チャンスもあっただろうに。」
「・・・そうですね。でも、若かったら、光様とは出会えていなかったかも知れませんし。この出会いを大切にして、生きていきましょう。」
それに、一生光様のお世話役で生きていくって道も希望がありそうですし。
ちなみに私達は乳母とかではありません。
まあ、光様のために出せと言われれば色々使って出せますけど。
普通のメイドなので光様とのふれあいはせいぜい抱っこくらいです。
これだけでも世の女性は変われと言って殴りかかってきそうですね。絶対に負けませんが。
なんせ、この世界は、男女比が1:20にもなる超女性過多な世界なのですから。
ありがとうございました。