お前の名前は…
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
(変異種なのは分かったが、こいつは何がしたいんだ?)
そう考えていると右腕に近寄ってきてすりすりと肌を擦り合わせてきた。それを見て一つの考えに着く。
「もしかして……俺についてきたいと言うことか?」
「正解だよ!」とでも言わんばかりに鳴き声をあげた。驚き半分、やはりというのが半分だった。何故かわからないが、このスライムは俺に懐いてるようだった。
「俺についてくるというなら、従魔の扱いになるんだが…それでいいならついてきてもいいぞ」
従魔とはお互いの同意を得た上で主と魔物同士でパスをつないだ、魔物のことをさす。
中には魔法器具と呼ばれる、魔法器具とは簡単に言えば、何かしらの魔法がかかった道具のことで、作れるのはごく一部の職人しか作れないらしい。そして、魔法器具の中には魔物の同意なくパスをつなぐものもあるという。
「キュルルル‼︎‼︎」
とても喜んでいるらしい。従魔との契約は口だけのものから、死ぬまでなくなることのない、契約も神殿に行けばできる。そんなめんどくさいことはいいというのが本音だった。
ここで俺は告げなければいけないことを言う。スライムと目を合わせた。
「お前が俺の従魔になるってことは、俺の指示に従わなければならないのはもちろん、お前が街で暴れるようなことがあったらお前を殺さなくてはいけない。まあ…俺にも責任とかくるんだけどね。(小声)それでも、俺と一緒に来ると言うんだったら!俺に飛びついてきてくれ‼︎」
「キュルルル‼︎‼︎‼︎」
スライムは迷うことなく、俺に飛びついてきてくれた。正直俺は嬉しかった。目を覚ましたらよくわからない草原にいて、初めてあったのがこのスライムだったから。そして、従魔が欲しいと子供の頃に思っていたからだ。
そのあとしばらくスライムとの遊びを堪能して、決めなければいけないことを思い出した。
「そう言えば名前つけないとな…〈ルイ〉てのはどうだ?」
名前の由来は特にない。たまたま思いついた名前だがどうだ?
「キュイ!」
どうやら喜んでくれたらしい。もしかしたら俺って名付け親のセンスあるのかなーなんて思ってたら、ある気配に気づいた。
「盗賊か…襲われているのは……貴族か?」
「貴族」正直あまり会いたくない相手だ。同じ人間なのに、自分より立場の下の人をいちゃもんつけて嫌がらせをしたり、税金を普通ならあり得ないくらいまで取っているところもある。中には裏社会と繋がっていて、気にくわない相手の始末などを依頼している貴族もいるという。
気がすすまないが、襲われているのを見過ごすほど心は汚れてない。ついでにルイの強さも見れるからな。まあ、気楽でいればいいや。
「さあ、行こうか」
そういってルイに手を伸ばすと器用に腕を登って右肩に乗ってきた。それからルイは移動するときはいつも俺の右肩に乗るようになった。
気がついていますか?……まだ主人公の名前が分かってないこと!