プロローグ〜出会い〜
七月二日
ーシャカシャカシャカシャカ
朝七時三十五分、いつもとなんら変わらない時間に歯を磨いてる。なんでか決まった時間に歯を磨くのが起きてからの日課だ。
ーもぐもぐ
朝七時四十分、いつものようにトースターで焼いた食パンを食べる。お気に入りのジャムはイチゴジャム。朝のテレビは決まってZOP!を見る。面白いからだ。
ーごそごそ
朝七時五十分、学校用の制服に着替える。まぁかっこいいかはわからないが学ランじゃない制服。
ーがちゃっ
朝七時五十五分、家を出る。誰もいないワンルームの部屋に挨拶をして学校へ向かう。
「いってきます」
そんないたって普通な中学生の名前は高坂太一。『学業優秀』で『運動神経抜群』。周りからは絵に描いたような天才と言われている。
中学二年生の俺は中だるみしやすいと言われている時期に差し掛かっているのだが、そんなこと知ったことではない。ただ平和に、何気ない日常がでいい。だから勉強して将来は世界有数の大企業に就職してなに不自由ない生活がしたい。を夢に見ている。
ーキーンコーンカーンコーン
「おら席につけお前ら!!!!」
担任教師が来た。如何にも熱血そうなその教師は叫ぶ。たるんだ生徒にさせないために。生徒はめんどくさそうに席に着く。
「よし、号令」
「きりーつ、きょーつけー、おはよーございまーす」
やる気のない日直の号令。こんな号令であの先生が許すかっ、と周りの生徒は思いつつ先生の方に顔を向け表情を見る。
「やる気のない挨拶だがまあいい。おはよう」
「「いいのかよ!」」
クラスのほとんどがツッこむ。ノリだけがよいクラスなのだ。
「時間がないんだ。突然だが、転校生を紹介する。」
(転校生?こんな時期に?)
太一は嫌そうな顔をしてドアの方を見る。
女子か〜!!フゥ〜〜!!!クラスの男子はこう言う時だけ団結するものなのだ。
「正解だ。女の子。入って来てくれ」
フォォ〜〜〜〜!!!
ドゥルルルルルルル
クラスの誰かがドラムロールを口でやっている。すげ〜特技だなと太一は思った。
ーガラッ
太一が見た人は、金髪で、髪がそこそこ長くて、アホ毛が目立っていて何とも眠たそうに教室に入って来た女の子。
(身長は150…あるかないかくらいか…て言うかクソうるせぇ)
クラスはバカのようにテンションが上がっていた。まるで授業が自習に変わった時みたいに。するとクラスの一人が金髪アホ毛女の子に飛びついてしまった。その子の名前は豚男である。
「ふふんふ…いい匂いぃぃい」
(変態だなあいつ)
流石にクラス中が引いていた時だった。
「しね」
バギィィィ!!!
まるで骨が折れたかのような音が出たかと思えば金髪アホ毛女の子は豚男に回し蹴りを繰り出して来た。
「あぐぅぅ」
ドサッ
宙に浮いた体は、地面に落ちるまで動かず、死んだかのような表情を浮かべて地面に落ちた。滞空時間、正に一.五秒。
凍りついていたクラス中が更に凍りついた。
「豚男ぉぉ!!」
クラス中の茶番が始まった。だが先生は時間がないので茶番を無視していく。
「え〜この子の名前は天使あういえうと言う名前だ。仲良くするように」
(???今なんて?天使…あういえう??何だあういえうって!!)
「じゃあ、あういえうさん、あそこの高坂太一って人の隣に座って」
「あい」
机と机の間を縫っていくように太一の方に近づいてくる。
(ま、まじかよ。訳わからん奴と隣かよ)
太一の席は隣などいない席なのだ。集中して勉強に取り組みたいと言う願いから隣には誰も座らせず、一人席だった。そんなことを知らずにあういえうは太一の隣に座る。
(こ、ここは挨拶とかしといたほうがいいのかな)
「よ、よろしくお願いします、あういえうさん」
「」
「はっえ…」
(無視かよ〜!!なんだよこいつは!!失礼だが名前がおかしいだろ!天使って苗字聞いたことねーよ!苗字天使で名前があういえうとか親のセンスどこ行ったんだよ!!おじいちゃんとかおばあちゃんつっこんでやれよ!!)
一人、ただ黙々とあういえうに対する文句とツッコミを考えていた。
この天使あういえうとの出会いが、高坂太一の人生を狂わせていくことになるなんて、太一は考えもしなかった。
初めて小説というものを描いて見ました。