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Paradise Gate   作者: UNDERSON
幕間
12/20

セリアの闘技大会観察記

 クリス姉様との戦いの末に敗れた私は、闘技大会参加者の観察を行うことにしました。これからの戦いに役立ちそうな技術があるかもと思ったからです。これより以下戦闘のライブ&感想を書いていきます!少しでも参考になればいいなあ。


 闘技が終わった人は観客席の中でも結構良い席で見ることが出来るみたいで、いろんな方々が私を前の席へと譲ってくれました。お陰でより正確な観察が行えました。


 まず最初に観た試合はレヴィンさんと前回優勝者ディフェンディングチャンピオンのジョーンズ・マクウィリーさんの試合でした。ジョーンズさんは歓声に応えるように手を挙げたりしていて、余裕を感じました。一方のレヴィンさんはそんなジョーンズさんをジト目で見ていて、物を取られた子供のようで可愛いかったです。

 試合内容としては序盤からジョーンズさんが攻めていて、レヴィンさんの剣を氷漬けにしたり、『熱波ヒートウェーブ』で剣を一気に熱して剣の強度を一気に落とし、それを大剣で砕くなど中々魔物との戦いに使えそうな技ではありませんでしたが、周りの観客は歓声を挙げて興奮していました。どうやらパフォーマンスとしてレヴィンさんの剣を砕いたのが分かっていたようです。

 しかし、レヴィンさんの剣は近衛騎士に任命された時に貰ったという大切な剣でした。それを砕かれたレヴィンさんの表情が怒りに燃えて、殺気が立ち込めるのを私は見逃しませんでした。ジョーンズさんはそれを知ってかさらに挑発を仕掛けていましたが、やっぱり知らなかったのでしょう、レヴィンさんの怒りの炎に油を注ぎ、結果として激昴したレヴィンさんの『攻刃の豪雨(エッジ・テンペスト)』の前になす術なく倒れました。

 それにしてもレヴィンさんはやっぱり凄いなと思いました。剣を砕かれた事を逆手に取って相手を圧倒するなんて。最後の爆発で結局ジョーンズさんの装備がすべて消失ロストしたことを知ったジョーンズさんは、驚きと絶望を目の当たりにした鼠のような顔をして気絶してしまいました。どうやら戦闘中の記憶が殆ど無かったようでした。まるで誰かに操られていたかのようでした。まあソレに関しては後でレヴィンさんに報告した方が良さそうです。

 ちなみにレヴィンさんのオーバーキルが凄すぎて周りの観客の皆さんは口をあんぐりと開けて放心していました。ジョーンズさんのその後の様子を見たというのを除いても流石にあれはやり過ぎだと思います。


 次に観た試合はシャナルさんの試合で、相手は凄腕の猟師の方のようで、柄の長い斧を使っていました。ですが、流石グリーシアで速さナンバーワンを誇るシャナルさん、瞬く間に猟師さんの斧を槍で遠くへ弾き飛ばしてトドメを指していました。如何に猟師さんと言えども彼女のスピードには付いていけなかったようです。確かにあれは普通の人じゃ無理ですね…。


 姉様の試合も実にあっけないものでした。ガッチリとした体型の格闘家さんだったのですが、開始早々姉様が『火柱フレイムピラー』と『トルネード』で格闘家さんがノックアウトとなりました。あんなに気合い入っている姉様はレヴィンさんとの試合前にしか見たことありません。


 そしてレヴィンさんとエリーさんの試合が始まりました。エリーさんが『ソニックブーム』を基盤とした戦法を立ててレヴィンさんに詠唱の時間を与えようとしませんでしたが、まさかダメージ覚悟で詠唱するとは。実際『ソニックブーム』の嵐の中で詠唱出来るのレヴィンさんだけじゃないですかね?あれ、見た目に反して喰らうとけっこう痛いんですよ?

 終盤は『狂想ラプソディ』を使ったレヴィンさんが押していましたが、エリーさんも中々でした。『多重防御壁ファランクス』を敵を抑えるために使うとは。戦闘中にそんな発想が出るなんてやっぱりトップレベルの戦闘力を持ってる人は凄いんですねー。あ、これは僻みじゃありませんよ?

 しかし、レヴィンさんにも変化があってどうやら魂と身体を一時的に分離させたみたいですね。レヴィンさん的に言えば『魂魄こんぱく分離』とかですかね?そして最後にトドメを指しました。でもあれは人外の力だと思います。多分12の神徒の特殊能力でしょうか?でも発動する時に若干人が変わったように見えたのは私だけでしょうか……?


 準決勝に入りました。今闘技ホールには姉様とのレヴィンさんがいます。横にはエリーさんがいて「どんな試合になるかワクワクが止まりませんね!!」と始まる前からテンション高いです。

 試合が始まってから今に至るまで魔法の激突が絶えません。どちらが勝っているというわけでなく全くの互角の試合です。というより、姉様の詠唱が早くてレヴィンさんが防戦一方になってます。それでも威力を相殺して隙を伺っているのを見ると急展開がいつ起きてもおかしくない感じで目が離せません。周りの観客の方もそわそわしているようです。

 試合に急展開が起きました!レヴィンさんの『水流盾アクアガード』を姉様の『雷撃光線サンダーレイ』によって霧散させて『火雨フレイムレイン』を放ちました!それに対して『水傘ウォータードーム』で間一髪防ぎましたが、魔力量の差なのか姉様の『火雨フレイムレイン』が『水傘ウォータードーム』を削り始めました!周りの観客もどよめいて歓声を挙げています!このまま姉様がごり押す……っ!?ものすごい爆発が空中で起きました!どうやら空気中の水素と酸素を操作して爆発を起こしたみたいです!レヴィンさんが剣を姉様に突きつけて……、勝者が決まりました、レヴィンさんの勝利です。いやーとても面白い試合でした!

 ちなみに姉様、学園にいた頃に度々レヴィンさんと模擬戦で戦っていたのですが、魔法ではレヴィンさんに負けることはおろか、相殺されたこともなかったのにと地団駄踏んでいました。そういえばレヴィンさんは元々姉様と同じ『魔術部門 攻撃魔法科』の授業だけを履修していたらしいのですが、お父様に「護衛に入りたければ、魔術だけでなく武術も会得するように」と言われたらしく、途中から『武術部門 剣術科』の授業も履修するようになって、模擬戦等でギルさんやシャナルさん、エリーさんと出会ったようです。武術を取り入れてからは比較的姉様から勝利を手にすることが多くなってましたね。

 追記、姉様が戻ってこられてからの第一声は「次こそはレヴィンを倒すんだからぁ!!」

 でした。普段からあまり努力をされない姉様が遂に、遂に修行をすると言い始めました!それだけでも今回の大会は意義があったと思います。これにて姉様の課題終了ですね。


 そして、シャナルさんの試合が始まりました。相手は太刀を使う侍のようです。まずシャナルさんが仕掛けました。それを…太刀を使わずに避けてます!あのシャナルさんの攻撃を体術で避けてます!!

 その後の展開は……壮絶でした。相手の侍さんが小太刀を使ってシャナルさんの攻撃を避けて、長い太刀で攻撃を仕掛けていき、シャナルさんが疲弊してきたところで槍を長い太刀で弾き、小太刀で身体を貫き、試合終了。シャナルさんの動きについていくだけでなく攻撃を当てられる人がいるなんて…世界は広いですね。

 追記、試合後のシャナルさんに聞いたところ、「元サクラノ王国軍元帥のサムシン殿だったー」そうです。『電光石火』の異名を持つサムシンさんとあれだけの死闘を繰り広げたシャナルさんも充分凄いと思います。


 ついに決勝戦です。サムシンさんとレヴィンさんの試合でしたが、ある事件の影響であまり試合が観れていないので、観ていたところだけ記しておきます。

 サムシンさんを警戒しているようで、レヴィンさんは先程から初級魔法を連発しています。シャナルさんを倒したということでタイプを見極めているのだと姉様が教えて下さいました。でも普段は余裕が伺えるレヴィンさんですが、今は余裕が無いように感じます。それほどサムシンさんの秘めている実力が凄いということなのでしょう。おっと、サムシンさんが仕掛けてきました!流石シャナルさんを倒しただけあって、レヴィンさんに少しずつダメージを与えていきます。あ、決めに来ました!ですが、流石レヴィンさん、『錬金アルケミー』で足を奪って追撃を……!?サムシンさんが、小太刀を投擲しました!まさか、罠があると分かっていて踏み込んだのでしょうか…?すごい自信です…。

 レヴィンさんの様子がおかしいです。なんと言うか雰囲気が変わりました。いえ、雰囲気だけでなく髪の色が緑色から紅色になりました!他の変化はここからは見て取れませんが明らかにいつものレヴィンさんではありません!何が起きたのでしょうか?ここで2人が激突


 この直後にバジリスクが乱入してきたためここまでしか書いておりませんが、観客の皆さんの避難をしている時に様子を伺ってみたところ、サムシンさんが投擲した小太刀を使ってバジリスクの鱗を凄まじい速さで剥いでいました。人が変わったかのような動きでした。このことについては後でレヴィンさんに聞いてみることにします。

 追記、私たちの知らないところで対決が行われたみたいでサムシンさんが勝利したみたいです。何が起きていたのか、結局のところよくわかりませんでした……。


 全ての試合を見るとことが出来たわけではありませんが、課題は沢山見つかったように思います。これで少しはお役に立てるでしょうか?


        セリアの闘技大会観察記   完

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