起
はじめまして!
UNDERSONと申します!
今回が小説執筆初めてとなります!
表現等で至らぬ部分もあります、コメント欄にてアドバイス等戴ければ幸いです。
また学生ですので投稿が不定期となりますが、
なるべく早く投稿が出来るよう頑張ります!
よろしくお願いしますm(_ _)m
オーリングリス暦1200年、人類はこの世という名の牢獄から抜け出す為の方法を探っていた。
それは太古からの悲願であり、成すべきものだと誰もが思っていた。
そして遂に彼らはその術を発見する。その術とは自らの命を絶つことであり、それこそが牢獄脱出の最善策であると誰もが信じ込み、実践した。
人類にこの世界を託そうと考えていた神々は、人類が自らの命を絶っていくのを観測し、その理由が分かると12の神の力を宿す神徒を送った。
そしてその神徒達を世界で最も神聖であるところに集め、術式を完成させると、Paradise Gateが開かれると説き、人類は滅亡を免れた。
彼らは 牢獄から抜け出すことを決意し 、 12の神徒を探し出すことを己が宿命と考えるようになった────
ーグリーシア王立学園ー
「今日の講義はここまで。それでは日直、号令を。」
暖かい日差しとさえずる小鳥の鳴き声が今年も春がやってきたことを物語っている。
皆は日直の号令によって立ち上がり、令をしている。
この後の事を考えるとこのまま講義を続けてくれた方が俺としては嬉しいところなのだが。
どうせこの後呼び出されて、本来ならば行かなければならなかった模擬戦をサボったことでみっちりと絞られることだろう。
俺────レヴィン・シーケイドはここグリーシア王国で戦術や魔術、武術を学んでいる。
俺が通っているこの学園は遥かな昔に偉大なる賢者様と錬金術師によって建造されたらしい。そのせいかなのか至るところで、「歴史ある学園なのだから大切にしろ」だの、「このような学園に入学出来たことを誇りに思え」だの鬱陶しくてたまらない。
「18番、レヴィン・シーケイド。あなたは職員室に来てください」
いつものように聞き流そうと思っていたが、その後教師の口から昔から馴染みのある名前が飛び出してきたことにより、不本意ながら耳が次のセリフを捕らえた。
「クリス・グリーシア王女殿下がお呼びです。あなたにどうしても伝えたいことがあると」
これはいったいどうしたことだろうか。昔から呼び出されたことはあったが、教師伝いで俺を呼ぶとは。まあここで無視すると後が面倒だからここはおとなしく職員室へ向かうとするか。
クリス・グリーシア───ここグリーシア王国の第1王女。容姿端麗で、黙っていれば可愛いのに、どこでどう間違えたのか、とても立派に性格がひねくれていらっしゃる。
職員室の扉を潜るとやはり彼女が腕を組んで立っていた。
太陽を思わせる眩い限りの金色の長い髪を2つに結び、王女なのに果たしてそれで気品を問われんのか、と思わず突っ込みたくなるくらい短いスカートから覗く脚は白く、雪を思わせる。黒いニーハイソックスも相成ってなんかもう目のやり場に困るくらいだ。
「お・そ・い!この私をいつまで待たせるつもりなのかしら?礼儀作法も知らないこの男は!」
いつも通り、会って間もなく挨拶の如く罵声を浴びせてくる。勝手に呼んでおきながらこういう事言うのだから、ブーメランもいいところである。だが確かに王女様を待たせたことは事実なので否定はしない。否定した後の後処理が大変だということもあるが。
「今さっき聞いたところなんだが。ところで伝えたいこととはなんだ。お前が俺を呼び出すなんてどうせろくなこと考えてないんだろう?」
「はあ!?あんたは私を何だと思っているわけ!?あんたを呼ぶ理由なんて扱き使う以外の何があるっていうのよ!」
いつも通りにコミュニケーションを済ませ、いつも通りに茶々を入れる。
「それもだろうが、他にもあるんだろう?どうせ、また成績が振るわずエドモンド卿に小言でももらって成績優秀者であるこの俺に勉強を教え」
「わ、分かったから!大きな声で言わないでちょうだい!?支持率に響いたらどうするのよ!?」
「な・ら・ば!!もーっと勉強を頑張らないとですねえ?クリス王女殿下?」
そう言うと彼女は俯いてしまった。しかも体全体を震わせているではないか。泣いているのか?あまりの悔しさに泣いているのか!?
そして、その通りです教えて下さい、とそのまま両腕を地につけて土下座でもするのか?
だが、俺の予想に反して彼女が起こした行動は俺への右ストレートだった。うん、これは世界を狙える、いい拳だ。そう心の中で頷きながら、俺の意識は闇に薄れていった。
ーグリーシア城 医務室ー
気が付くと、俺は王城の一室の簡易ベッドで横たわっていた。
どれくらい気を失っていたのかと、周りを見渡すと、俺の枕元には先程、必殺右ストレートで俺を一発K.O.させたクリス嬢と瓜二つ、しかし出るところは出たボブカットの少女が慈愛に満ちた微笑みを浮かべて俺を看病してくれていた。
「良かった。お目覚めになったのですね、レヴィンさん。」
どうやら、必殺右ストレートを食らった俺をここまで運び、介抱してくれたのは彼女らしい。ひとまず礼を述べ、俺はこれまでの経緯を話すことにした。
「なるほど、それは災難でしたね…。でも、レヴィンさんもレヴィンさんです。わざと姉様を怒らせるようなことを言うから痛い目にあうんですよ?」
「悪かったよ、セリア。結局お前に迷惑をかけてしまった」
そう、彼女────セリア・グリーシアはグリーシア王国第2王女で、クリス・グリーシアの双子の妹である。最も姉とは違って性格だけでなく、身体の発育も良いのだが。
このままずっとセリアを見つめていてもいいのだが、それでは何の解決の糸口にならないため、俺はここにきて一番の疑問を口にした。
「俺は学園でK.O.されたと思うんだが、何故このようなところにいるんですかね?クリスの用事は俺に家庭教師を頼む事じゃなかったのか?」
セリアは一瞬驚いたような仕草を見せたが、何かを思い出したのか、ふふっと微笑んだ。
「まあ…!姉様はてっきりお父様のお言葉を信用されたのかと思っていたのですけど…」
どうやらクリスとセリアは、父であるゼルギウス・グリーシア陛下から俺についての話を聞いたらしい。それも教師を使って呼び出しをするくらい、急を要するレベルの。
一体どんな話を聞かされたのだろうと俺が思案するのを見て、セリアは話の内容を教えてくれた。
「レヴィンさんを私達の旅の供候補、つまり今行われている選考会から外そうとご提案なされたんです。姉様ったら顔を真っ青にして飛び出していったんですよ?」
「ふむ、クリスの行動もよく分からんが、そもそもだ。何故俺が外されるという話が出てるんだ?何かまずいことでもしたか?」
「いえ、そういう訳ではありません。ですが、これは直接お父様からお聞きした方が納得が出来るものかと。この話は本当ならばレヴィンさんをお招きしてからする予定だったらしいのですが、姉様がどうしても先に聞いておきたいと譲らなくて。早速ですが、謁見の間に向かいましょう。お父様がお待ちです」
ーグリーシア城 謁見の間ー
俺達が謁見の間に到着すると、陛下は親しげな笑みを浮かべて迎えてくれた。クリスも既に到着していて、バツの悪そうな表情をしていた。
「レヴィン・シーケイド。ただいま参りました。セリア王女からお聞きしましたが、私に重要な知らせがあるとお伺いしました。どのようなご要件でしょうか?」
「ふむ、よく来てくれた。面を上げよ。そなたは幼き時から我が娘とよく交流をもっていた。そなたは最早、息子同然だからな。そう畏まらんでもよい。早速だが、本題に入るがよろしいかな?」
話はセリアが話した通りで、俺を供候補の選考会から除外するとのことだった。しかし、陛下の話を聞いているうちに俺はある考えに至った。
「…陛下、私を選考会から除外するということの理由は分かりました。しかし、これが本当なのであれば私に残された選択肢は2つ…ということになりますが?」
陛下は頷いた。その表情は先程までの真剣なものではなく、まるで我が子の成長を喜ぶ親の、温かく慈愛に満ちたものだった。そして、再び真剣な表情に戻ると、もうその目は子供を見ているときの優しい目ではなく、大人を見ているときの厳しい目をしていた。
「そなたの言う通り、そなたには2つの選択肢がある。1つは言葉通り選考会から外れ、騎士団に入団するか、学園で教官になってもらう。そしてもう1つは……レヴィン。そなたがクリス、セリアの近衛騎士このえきしとなること」
後ろで王女2人が驚き、息を呑むのが分かった。そしてやはりというか、クリスがすかさず反応した。
「どういう事ですか、お父様!?レヴィンには近衛騎士となる資格があるとおっしゃるのですか!?」
陛下は大きく頷くと落ち着いた表情で今にも食ってかかりそうなクリスに諭すように告げられた。
「あるとも。なぜならば彼、レヴィン・シーケイドは12の神徒の力を受け継ぎし者なのだから」