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プロローグ

 わたし、岡本(おかもと)千夏(ちなつ)です。わたしが、高校二年生になる頃、この文芸部は部員が少なくて、同好会への格下げの危機にありました。それを、同級生の那智(なち)しずるちゃんや、新たに入部してくれた新一年生達のおかげで、危機を乗り越えられたのです。


 そうして今は、新年を迎えたところ。先の歳は色々な事があって、てんてこ舞いだったよ。


 まず驚かされたのは、同じ二年生の那智しずるちゃん。実は、ペンネーム『清水なちる』としてヒット作を次々と世に送り出している小説家さんだったのだ。ストレートの長い黒髪と、丸渕眼鏡がチャームポイントの美少女で、あまり他の人とも話をしない堅物だと思っていたら、そんな秘密があったなんて……。もうびっくりだよ。背も高くてモデルさんのようなプロポーションの彼女は、今では我校のアイドルとして、向かうところ敵なしであった。


 それから、一年生で唯一の男子である里見(さとみ)大作(だいさく)──大ちゃん。最初はプロレスラーのような大柄な体つきと、群を抜いたオタク度で、さすがのわたしも引いてしまっていた。でも、根は優しい純真な男の子だった。それに気がついた今では、わたしの大事な彼氏さんである。ただ、わたしとの身長差があり過ぎて、キスをするのにハシゴが必要になることが悩みの種である。


 そして、高橋(たかはし)舞衣(まい)ちゃん。大ちゃんを重度のオタクに育て上げた、究極のオタクにして、最悪の守銭奴である。お金のためなら、部員やクラスメイトでも平気で売り飛ばすような外道だ。しかし、写真部とタイアップして文芸部のプライベート写真集を作ったり、わたしやしずるちゃんのマネージメントをこなしたりと、実は凄腕の敏腕プロデューサーであり、利益から新たな利益を生み出す企業家でもある。

 まあ、去年の大騒ぎの一連の原因は、実は彼女の所為でもあるのだが。でも、傍若無人な舞衣ちゃんを、何故かわたしは嫌いになれないでいる。彼女も文芸部の立派な一員なのだ。


 そして、そして、驚きのメンバーは、一卵性双生児の西条(さいじょう)久美(くみ)ちゃんと美久(みく)ちゃん。顔も容姿も、名前すら鏡合わせのこの姉妹。最初はどっちがどっちだか、全然分からなくって苦労したよ。今でもだけど……。えと、見分け方は、右側でサイドテールに結んでいるのが美久ちゃん。左で縛っているのが久美ちゃんなんだ。でも、時々は入れ替わっているんだって。そんなことされちゃ、ますます分かんないよね。でも、オシャレや仕立てのセンスが良かったり、コスプレも平気だったりと、可愛らしい彼女達。しかも、ITに強かったりと、意外な一面も持っている。わたし達がピンチの時には、縁の下で支えてくれる、頼りになる後輩達だ。


 そんな仲間に囲まれて、わたしは文芸部の部長として、毎日をほのぼのと過ごしている一般市民なのだ。

 ……と、思っていたら、え? あれ? いつの間にか、青年漫画週刊誌で小説を紹介するコラムニストにされてしまった。しかも、写真入りで。来年は受験なのに、大丈夫なのかな、わたし?


 そんなこんなで、今年も文芸部は大忙しなのだ。




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