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スパイス
これまでの出来事をただただ傍観していた神々達であったが、繰り返される進歩の無い食物連鎖に飽きが生じ始めていた。
ただ己達の集落を守り、必要な食糧だけの狩りをする人。
そこで神々は考えた。
『どうすれば、このどうしようもない生物を進化させられるだろう?』
弾き出された答えは言語だった。これまで人は思考はしても、それを他者に伝える術を持ち合わせていなかった。ここに言語というスパイスと投入してみようというのである。言語を用いる事で、集落の結束も高まるであろうし、敵味方の分別も可能となる。その他に、人には未知なる可能性があると考えていたのだった。
言語を人に与えて数週間後、そのスパイスにおける変化は徐々に起こり始めていた。ある者は武器の作り方を研究し、ある者は食物を川や池に入れ貯蔵する事を覚えた。
言葉の投入は、人に思慮という連鎖を呼び込む形となり、神々は大いに喜んだ。




