無題
私は見たことがありませんが。
どこかに電話線の繋がっていない黒電話があるらしい。
私は見たことがありませんが。
どこかの地区はまだ人が入れないらしい。
私は見たことがありませんが。
どこかで誰かが大きな水の塊に飲み込まれたらしい。
私は当時を覚えていませんが。
それはもう、15年前の話らしい。
真っ昼間だったらしいです。
急に街の全てが止まった。
地面はどこもひび割れたそうです。
当たり前が壊れた。
大きな水が襲い掛かってきたそうです。
黒が全てを飲み込んだ。
大きな爆発があったそうです。
爪痕は今も残っている。
たくさんの人が、水と瓦礫と放射能と寒さと飢えに呑まれたそうです。
それだけじゃないかもしれない。
それでも。
時は流れ。
いつかは。
忘れられ。
その傷は。
無い事に。
なるのか?
皆様、こんにちは。猫じゃらし/大鋸屑です。
この話が公開されているということは、既にサイレンは鳴り終わったのでしょう。
3/11と日本人に聞けば、知らないと答える人は居ないはずです。
しかし、それらは“今”の話。
時間の流れとは恐ろしいもので、いつか風化していく。酷い例えですが、私が関東大震災の日にちを未だに覚えられないのと同じように。
15年が経ちました。
当時、私は3歳にギリギリまだならないくらいでした。おっと、年齢がバレてしまいましたね。まぁ、些細な事です。
先述の通り、私は当時のことをあまり覚えていません。母親曰く、私は呑気にアン○ンマンラムネをねだっていたそうです。
毎年、この時期になると、母校…小中高、どの母校でも、とある歌を歌っていました。
あの時の経験は、防災シミュレーションや訓練のための貴重なデータになりました。
まだ爪痕は残っています。しかし、それは悪い事ばかりではないのかもしれない。
きっとこの15年前の事は、歴史書に載るでしょう。完全に忘れ去られる、という事は起こり得ないと言えるかもしれません。
だからこそ、失われる情報を減らしたい。かつてこんな事があった、今でもこんなのが残っている。欲張りですね。
このエッセイモドキが何かしらの役に立つとは、思えません。もしかしたら、役に立つべきではないのかもしれません。未来の事など、分かりません。
それでも、忘れ去られる事が無いように。少しでも、誰かの記憶の“留め具”になれるように。
此処に、書き記しておきます。
2026/03/11 猫じゃらし/大鋸屑




