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転生したら校長だった件   全校生徒が勇者でした  作者: 双鶴


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7/10

第7話 勇者、進路希望「世界をやり直したい」

 進路希望調査票の束をめくっていた俺は、ついに沈黙した。


 「……世界をやり直したい?」


 生徒の名前は、カイ。

 時間魔法科の孤高の天才。

 授業中はいつも時計を見ていて、模擬戦では“時間停止”で無双している。

 でも進路希望欄には、こう書かれていた。


 「世界をやり直したい。過去を変えたい。教育を、最初から作り直したい」


 俺は職員室で、元・時空魔導士の歴史教師に尋ねた。


 「彼、何かあったのか?」


 「いえ、本人は真剣です。昨日の授業で“教育の起源”について、涙を流していました」


 「……それ、俺も泣くわ」


---


 校長室にカイがやってきた。

 制服の袖には、古代魔法文字が浮かんでいた。


 「校長先生、僕は“時間魔法”で過去に戻りたいんです。

 この世界の教育が、間違った方向に進んでしまった気がして」


 「……過去に戻って、何をするつもりだ?」


 「勇者制度が始まる前の時代に行って、“戦わない教育”を提案したい。

 子どもたちが剣を持つ前に、言葉を持てるようにしたいんです」


 俺は、ちょっと泣きそうになった。

 でも、頭も痛かった。


 「時間魔法って、そんな簡単に使えるのか?」


 「理論上は可能です。ただし、校長の許可が必要です」


---


 その日の午後、時間魔法科の実験室で“過去視”の儀式が行われた。

 カイは魔法陣の中心に立ち、俺は“教育者の記憶”を提供する役割を担った。


 「校長先生の記憶を、魔法に流します。

 あなたが教育に感じた“最初の違和感”を、過去に届けます」


 俺は目を閉じた。

 ブラック企業で、部下が泣いていた日。

 「教育って、もっと優しくていいはずだ」と思った日。


 魔法陣が光り、カイの瞳が過去を映した。


---


 放課後、カイが校長室に戻ってきた。


 「校長先生、過去には行けませんでした。

 でも、あなたの記憶を見て、今を変えることにしました」


 「……今を?」


 「はい。“世界をやり直す”んじゃなくて、“世界を育て直す”んです。

 僕は、教育者になります。時間魔法で、子どもたちの“余白”を守ります」


 俺は、深くうなずいた。


 「……定時で帰れる日は、まだ遠いけど。

 お前が時間を守ってくれるなら、俺は未来を信じる」


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