第2話 魔王との就職面談、はじまる
「校長先生、進路希望の件ですが……」
職員室で、進路指導担当の先生が震えていた。
彼は元・盗賊。今は“進路指導”という名の情報屋だ。
「魔王軍に就職したいって生徒が、今年は……37人です」
「多すぎるだろ」
俺は頭を抱えた。
勇者養成学校なのに、魔王軍に就職希望ってどういうことだ。
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「校長、魔王との面談を設定しました」
「え、面談って……俺が行くの?」
「はい。魔王様は“人材確保”に積極的でして。面談は“中立の会議室”で行われます」
俺は、魔王と面談することになった。
命がけの進路指導、開幕である。
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会議室は、異世界の“中立領域”にあった。
壁には「面談は平和的に」「武器の持ち込み禁止」と書かれている。
魔王は、スーツ姿だった。
「初めまして、校長殿。魔王軍人事部のマオと申します」
「……魔王、スーツ似合うな」
「ありがとうございます。最近は“勇者の即戦力化”が課題でして。御校の生徒は優秀ですね」
俺は進路希望調査票を差し出した。
「この中から、誰を採用したいですか?」
魔王は目を通しながら、うなずいた。
「この“炎属性のリオンくん”、いいですね。魔王軍の“火山部隊”にぴったりです」
「いやいや、彼はまだ左腕燃えてるんで……」
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面談は、意外と穏やかだった。
魔王は“ブラック企業”ではなかった。福利厚生も充実してるらしい。
「校長殿。勇者という職業も、今や多様化の時代です。倒されるだけが魔王ではない。共に働く未来もあるのです」
俺は、少し考えた。
「……生徒の希望を、否定するのは教育じゃない。でも、魔王軍に就職ってのは、保護者説明会が地獄だぞ」
魔王は笑った。
「では、インターンから始めましょう。“魔王軍体験学習”という形で」
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学校に戻ると、生徒たちが集まっていた。
「校長! 魔王軍、受かりましたか!?」
「火山部隊、かっこいい!」
「魔王様、優しそうだった?」
俺は言った。
「まずはインターンだ。魔王軍体験学習、来週から開始する」
生徒たちは歓声を上げた。
俺は、進路指導室の椅子に座り、深くため息をついた。
「……定時で帰れる日は、遠いな」




