第1話 転生したら校長だった件
目が覚めたら、俺は校長だった。
しかも、異世界の。
「……は?」
目の前には、豪華すぎる机。
壁には剣と魔法の紋章。
窓の外には、ドラゴンが飛んでいた。
俺は、ブラック企業で働いていた。
毎日終電、休日出勤、上司の「気合が足りない」攻撃。
そして、過労で倒れた——はずだった。
なのに今、俺は「セント・ブレイヴ学園」の校長室にいる。
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「校長先生! 朝の魔王討伐、遅れます!」
ドアを開けて飛び込んできたのは、金髪の少年。
肩に剣を担ぎ、制服の袖から火の魔法が漏れてる。
「勇者候補のリオンです! 昨日の模擬戦で左腕が燃えちゃって!」
「……模擬戦で燃えるなよ」
「すみません! でも、魔王の分身は倒しました!」
俺は思った。
この学校、ヤバい。
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職員室に行くと、教師陣もカオスだった。
「おはようございます、校長。今日の授業は“闇属性の使い方”です」
「校長、保健室のベッドが爆発しました」
「校長、購買部が“呪われたパン”を販売してます」
俺は、深呼吸した。
「まず……進路希望調査票を配ろう」
教師たちはざわついた。
「進路希望? 勇者は魔王を倒すのが仕事では?」
「校長、それは……教育改革ですか?」
俺はうなずいた。
「勇者にも、進路希望がある。俺は、定時で帰りたい」
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調査票を配ると、生徒たちの回答が返ってきた。
「魔王軍に就職したいです」
「勇者、もう飽きました」
「猫になりたい」
「農業やりたい」
「魔王と恋愛したい」
「校長になりたい」
俺は、頭を抱えた。
「お前ら、自由すぎるだろ……!」
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その日の放課後、俺は校長室で一人つぶやいた。
「この学校、変えてやる。教育って、もっと自由でいいはずだ」
窓の外では、夕焼けの中をドラゴンが飛んでいた。
その背に乗っていたのは、生徒の一人——魔法科のエルフ女子。
「校長! 空飛ぶ進路、希望します!」
俺は、笑った。
「よし。まずは、空飛ぶ進路指導からだな」




